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王都編
長崎赴任
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『長崎奉行所』
「次席大臣閣下、次席大臣添え役閣下、御役目御苦労様にございます。」
俺と彩は盥空船を使って長崎まで飛んだ。一杯になった魔法袋の中の海魔獣・海魔竜を売り払わなければいけないからだ。長崎の出島と商売を独占している長崎会所は、幸いにして多数の魔法袋を保有しており、莫大な保管量を誇っていた。
長崎会所は建前上長崎奉行の支配下にあるが、それを鵜呑みには出来ない。莫大な資金力を誇る長崎会所の商人達は、金で長崎奉行を懐柔している可能性が有るし、新井火石が支配していた海外貿易に携わる者達は信用できない。必要と有れば奉行と会所の商人全てを皆殺しにする覚悟は出来ている。
今回は奉行所である西役所で、奉行・駒木根政方の挨拶を受けることになった。本来なら直属の上司である外務大臣による内部調査か、目付による査察程度で済むものが、今回は国王陛下の勅命による俺・次席大臣と彩・次席大臣添役による直々の査察だ。そもそも今まで次席大臣などと言う役職はなかったのに、陛下の勅命で信任厚き間部筆頭大臣に次ぐポストが新設されたのだ。陛下の俺と彩への期待と信頼がどれほど高いか伺えようと言うものだ。
長崎奉行は戦々恐々としていた。長崎会所と冒険者組合からの情報では、査察に来た2人は王国始まって以来の大魔法使いであり、その魔法で陛下を襲撃した者達を撃退し、御命を御守りした強者でもあるというのだ、新井火石と結託して法を曲げ、多くの民を異国に売り飛ばしている奉行は生きた心地がしなかった。何より魔法使いの念話での緊急連絡なら今までもあったものの、普通は王都から海路と陸路で1カ月半の長い時間を掛けて長崎まで来るのだ。それを1日もかからずに空を飛んでやってきたのだ。いやそれだけでは無い、空を飛ぶ船を創りあげているのだ。恐れるなと言うのが無理な話であろう。
「出迎え御苦労である、単刀直入に言おう、長崎に不正不義が無いか改めに来た。其方達のような異国と交易する者達の制度を改めた新井火石の不正が判明した、いや、其方達も聞き及んでいるだろうが、国王陛下をしぎゃくせんと刃向ける暴挙に及んだ、よってその一味同心を見つけ出し捕縛する為に我らは参った。皆全身全霊を持って捜査に当たっるように。」
「承りました。」
「最初に軍資金、いや、捜査費用を調達する為に海魔獣・海魔竜の競売を致す。長崎冒険者組合長はいるか?」
「此方に控えまするが、念話の御指示で御拝謁に栄誉を賜りました、長崎冒険者組合長のもりすけにございます。」
長崎奉行の紹介を受けて、立礼で面を上げずに待っていたもりすけが、一歩前に進み更に深々と腰を折り、そのまま挨拶をした。
「只今ご紹介の栄誉を賜りました長崎冒険者組合長のもりすけにございます、これより幾久しく御厚情を賜りますよう御願い申し上げます。」
「うむ、面体を確かめておきたい、もりすけも他の者も全員の面をあげよ。」
公式の場での前代未聞の指示に皆が面を上げるべきか戸惑っている。
「これも捜査の一環である。その方達の面体と挙措によって新井火石との交友の有無、心にやましいところがないか確かめる、早くて顔を確認させよ!」
俺の怒りを含んだ命令に、皆は雷に打たれたように背筋を伸ばして直立不動の姿勢になった。皆一癖も二癖も有りそうな面構えだ、予想通り気を引き締めてかからないと足元をすくわれる可能性がある。
「もりすけ、王都の組合本部から競売の指示が来ておろう、用意は出来ているのか?」
「は! 出島の商館長・唐人屋敷の商人達・長崎会所の面々を集めております。」
「もりすけ! 愚か者! この度の競売は異国の物を我が国が買い入れるのでは無いぞ、我が国の物を長崎冒険者組合で競売に掛けるのだ、全ての者に公平に行うのが当然である。その方の責任で85名の長崎乙名と255名の組頭を今直ぐ集めよ。」
「今直ぐと申されましても人手がございませんし、競売の時間も取れません。」
もりすけは必至の思いで言葉を紡いでいるようだが、恐らく事前に不正に落札値を決めていたのであろう。
「限られた人数での競売を謀らんとしたのは不正である、これは新井火石と同心し王国謀反の軍資金稼ぎと断じ、加担したる長崎奉行以下全ての役人・会所所属の者達は全員斬首とする、政方それに相違ないな!」
「御待ち下さりませ! そのような大逆に身に覚えなど御座いません!」
長崎奉行の駒木根政方は必至の言い訳をするが、威圧の手を緩める気はない。
「ならばその証明を致せ、今より1時間の内に全ての乙名・組頭を集めよ。不在の者がいるなら家族の者を代理に立てよ。爆!」
俺は必要も無い呪文を唱えて大きな庭石を指差し爆散させた。これで集まっている者達を威し付ける為だが、彩もこの演技に付き合ってくれた。
「爆!」
俺に続いて彩が庭石を爆散させたことで恐怖に縮み上がってしまったのだろう、幾人かのおっさんが小便を垂れてしまっていた。
「それと明日に、近隣諸侯領も含めた全ての希望者を入れた競売を行う、そこで今日の競売落札額と著しい違いが有った場合は、今日の競売参加者全てを王都に送り厳しく吟味いたす、左様心得よ!」
俺の再度の脅迫に頭の切れる者は戸惑っていた。この言葉を不正の証拠集めと取るべきか? それとも出品された物を高値で買えと言う賄賂の要求と取るべきか? 判断を間違えれば処罰されるからだ。
「早くて人を集めてこい!」
俺の怒気を受けて皆が一斉に走り出した。長崎奉行などは魂が抜けたように口を開けて棒立ちになっている。
必死で走り回って全員を集めたのだろう、1時間で約束の人数が揃った。もしかしたら偽物もいるかもしれないが、そんな事は些細な問題だ。大切なのは多くの証人を集めて、公平と思える状態での競売を根付かせることにある。
競売は白熱したが、それは当然だろう命が懸かっている者がいるのだから。長崎会所で今まで異国との交易を独占して来た者達は必至で高値を付けた。王都で競売を掛けた時の値と同等か1・2割高値を付けている。今までは長崎で入札した価格を数倍にして各地の商人にで売り払っていたのだ。それが王都商人と同じかそれ以上の値で落札するなど大損だ。
後半に、我が国に輸入されたことが無く、王都の競売で値が付けられないと言われた海魔獣・海魔竜が出て来た。この段階になって今まで我関せずと言った風情だった清国商人が動いた。恐らく清国でも狩られたことの無い海魔獣・海魔竜だったのだろう、長崎会所の商人達が驚くほどの高値で落札されていった。深夜まで続いた競売は色々は思惑の中で終わった。
競売代金を受け取った俺と彩は、皆に見送られて盥空船で王都に戻った。深夜にもかかわらず念話で状況を確認していた国王陛下は、俺と彩に王城に参上する様に命じられた。
「御尊顔を拝し奉り、恐悦至極に存じます。」
「尊、彩、堅苦しい挨拶はしなくてよい、簡単明瞭に問題を片付けたいのだ。大臣達もその心算でいる様に!」
国王陛下の厳命に居並ぶ大臣・重臣達が一様に座礼をする。正直困ってしまう、今回の長崎での競売は威圧の意味が強く、取りようによっては賄賂の強要と糾弾される可能性が有る。ここは保身を図っておくべきだ。
「御言葉甘えまして簡潔に御報告させて頂きます。長崎に着きましたところ、長崎奉行以下役人と長崎会所商人どもは他者を排除して安値での競売を画策しておりました。そこで威圧を掛ける為に初日は強引な手法を使い、明日以降の公平な競売に至る様に図りました。」
「うむ、その仔細は念話で奉公を受けておる、別段差し障り無しとここに集まった皆が納得しておる。して王国謀叛・国王陛下暗殺未遂に一味同心した者はいそうか?」
間部筆頭大臣が国王陛下に成り代わり場を仕切って話を進められるようだ。
「不正による蓄財、王国財貨横領罪はほぼ全員が加担しておりますが、王国謀叛・国王陛下暗殺未遂に関しては綿密な調査が必要と思われます。その為には念話で送りましたように、専門家の目付を補佐に付けて頂きたい。」
「相分かった、大和殿の報告を受けて多門重共 を目付に登用の上で、徒目付(かちめつけ)・御小人目付・中間目付を付けて役目を助けさせる。」
「承った。明日長崎に赴く際は重共以下の者達を伴って参る事にいたしましょう。」
「大和殿、1つ確認しておきたいのだが、異国との取引は無制限とすると思っていいのだろうか?」
異国大臣の土屋政直殿が確認して来た。
「いえ、制限は設けます。ただそれは王国の財貨を異国に奪われないと言う簡単なものでございます。」
「具体的にはどうする御心算か?」
「これまでの異国との取引は、我が国に必要な物と異国が必要とするものの差が大きく、何時も金銀を持って異国の物を買う必要が有り、我が国の財貨が常に不足する事態と成っておりましたが。これからは魔獣・海竜の品々は輸入する必要が無いばかりか、輸出する事も可能となります。」
「だがそれは魔獣・魔竜の値崩れを起こすことになり、大和殿は大きな損をする事になるのではないか?」
財務大臣の井上正岑殿が俺を案じてか、それとも何か思惑が有るのか確認して来た。
「案じて頂き有り難き事でですが、我は商人では無く国王陛下に御仕えする貴族です。軍役に必要な財貨と、領内に善政を敷く財貨を得れれば十分でござる。」
「天晴な御言葉ですな、だが王国の財政を預かる身としては、王国と王室が備蓄している魔獣・魔竜の値崩れを心配せねばならんのだ。」
「成ればこう致しましょう、これから狩る魔獣・魔竜の献上分は、王国・王室に必要な備蓄品分は現物で献納し、財務上必要な金銀銅は貨幣に献金致しましょう。」
「そうして頂ければ財務大臣として助かります。」
俺と彩は次席大臣と次席大臣添役就任に伴い言葉遣いを改めた。少なくとも俺は王国2番目の役人となったのだ。王族・貴族の序列は兎も角、役人の中ではそれに相応しい尊大な言動が求められる場面も出て来てしまう。
国王陛下御臨席の大臣・重臣会議において、今後の異国との貿易の有り方について喧々諤々の論争が有ったが、武と忠を持って成り上がった俺に面と向かって喧嘩を売れる者はいなかった。最終的には輸出代価以内であれば輸入無制限と言うう形で落ち着いた。
「次席大臣閣下、次席大臣添え役閣下、御役目御苦労様にございます。」
俺と彩は盥空船を使って長崎まで飛んだ。一杯になった魔法袋の中の海魔獣・海魔竜を売り払わなければいけないからだ。長崎の出島と商売を独占している長崎会所は、幸いにして多数の魔法袋を保有しており、莫大な保管量を誇っていた。
長崎会所は建前上長崎奉行の支配下にあるが、それを鵜呑みには出来ない。莫大な資金力を誇る長崎会所の商人達は、金で長崎奉行を懐柔している可能性が有るし、新井火石が支配していた海外貿易に携わる者達は信用できない。必要と有れば奉行と会所の商人全てを皆殺しにする覚悟は出来ている。
今回は奉行所である西役所で、奉行・駒木根政方の挨拶を受けることになった。本来なら直属の上司である外務大臣による内部調査か、目付による査察程度で済むものが、今回は国王陛下の勅命による俺・次席大臣と彩・次席大臣添役による直々の査察だ。そもそも今まで次席大臣などと言う役職はなかったのに、陛下の勅命で信任厚き間部筆頭大臣に次ぐポストが新設されたのだ。陛下の俺と彩への期待と信頼がどれほど高いか伺えようと言うものだ。
長崎奉行は戦々恐々としていた。長崎会所と冒険者組合からの情報では、査察に来た2人は王国始まって以来の大魔法使いであり、その魔法で陛下を襲撃した者達を撃退し、御命を御守りした強者でもあるというのだ、新井火石と結託して法を曲げ、多くの民を異国に売り飛ばしている奉行は生きた心地がしなかった。何より魔法使いの念話での緊急連絡なら今までもあったものの、普通は王都から海路と陸路で1カ月半の長い時間を掛けて長崎まで来るのだ。それを1日もかからずに空を飛んでやってきたのだ。いやそれだけでは無い、空を飛ぶ船を創りあげているのだ。恐れるなと言うのが無理な話であろう。
「出迎え御苦労である、単刀直入に言おう、長崎に不正不義が無いか改めに来た。其方達のような異国と交易する者達の制度を改めた新井火石の不正が判明した、いや、其方達も聞き及んでいるだろうが、国王陛下をしぎゃくせんと刃向ける暴挙に及んだ、よってその一味同心を見つけ出し捕縛する為に我らは参った。皆全身全霊を持って捜査に当たっるように。」
「承りました。」
「最初に軍資金、いや、捜査費用を調達する為に海魔獣・海魔竜の競売を致す。長崎冒険者組合長はいるか?」
「此方に控えまするが、念話の御指示で御拝謁に栄誉を賜りました、長崎冒険者組合長のもりすけにございます。」
長崎奉行の紹介を受けて、立礼で面を上げずに待っていたもりすけが、一歩前に進み更に深々と腰を折り、そのまま挨拶をした。
「只今ご紹介の栄誉を賜りました長崎冒険者組合長のもりすけにございます、これより幾久しく御厚情を賜りますよう御願い申し上げます。」
「うむ、面体を確かめておきたい、もりすけも他の者も全員の面をあげよ。」
公式の場での前代未聞の指示に皆が面を上げるべきか戸惑っている。
「これも捜査の一環である。その方達の面体と挙措によって新井火石との交友の有無、心にやましいところがないか確かめる、早くて顔を確認させよ!」
俺の怒りを含んだ命令に、皆は雷に打たれたように背筋を伸ばして直立不動の姿勢になった。皆一癖も二癖も有りそうな面構えだ、予想通り気を引き締めてかからないと足元をすくわれる可能性がある。
「もりすけ、王都の組合本部から競売の指示が来ておろう、用意は出来ているのか?」
「は! 出島の商館長・唐人屋敷の商人達・長崎会所の面々を集めております。」
「もりすけ! 愚か者! この度の競売は異国の物を我が国が買い入れるのでは無いぞ、我が国の物を長崎冒険者組合で競売に掛けるのだ、全ての者に公平に行うのが当然である。その方の責任で85名の長崎乙名と255名の組頭を今直ぐ集めよ。」
「今直ぐと申されましても人手がございませんし、競売の時間も取れません。」
もりすけは必至の思いで言葉を紡いでいるようだが、恐らく事前に不正に落札値を決めていたのであろう。
「限られた人数での競売を謀らんとしたのは不正である、これは新井火石と同心し王国謀反の軍資金稼ぎと断じ、加担したる長崎奉行以下全ての役人・会所所属の者達は全員斬首とする、政方それに相違ないな!」
「御待ち下さりませ! そのような大逆に身に覚えなど御座いません!」
長崎奉行の駒木根政方は必至の言い訳をするが、威圧の手を緩める気はない。
「ならばその証明を致せ、今より1時間の内に全ての乙名・組頭を集めよ。不在の者がいるなら家族の者を代理に立てよ。爆!」
俺は必要も無い呪文を唱えて大きな庭石を指差し爆散させた。これで集まっている者達を威し付ける為だが、彩もこの演技に付き合ってくれた。
「爆!」
俺に続いて彩が庭石を爆散させたことで恐怖に縮み上がってしまったのだろう、幾人かのおっさんが小便を垂れてしまっていた。
「それと明日に、近隣諸侯領も含めた全ての希望者を入れた競売を行う、そこで今日の競売落札額と著しい違いが有った場合は、今日の競売参加者全てを王都に送り厳しく吟味いたす、左様心得よ!」
俺の再度の脅迫に頭の切れる者は戸惑っていた。この言葉を不正の証拠集めと取るべきか? それとも出品された物を高値で買えと言う賄賂の要求と取るべきか? 判断を間違えれば処罰されるからだ。
「早くて人を集めてこい!」
俺の怒気を受けて皆が一斉に走り出した。長崎奉行などは魂が抜けたように口を開けて棒立ちになっている。
必死で走り回って全員を集めたのだろう、1時間で約束の人数が揃った。もしかしたら偽物もいるかもしれないが、そんな事は些細な問題だ。大切なのは多くの証人を集めて、公平と思える状態での競売を根付かせることにある。
競売は白熱したが、それは当然だろう命が懸かっている者がいるのだから。長崎会所で今まで異国との交易を独占して来た者達は必至で高値を付けた。王都で競売を掛けた時の値と同等か1・2割高値を付けている。今までは長崎で入札した価格を数倍にして各地の商人にで売り払っていたのだ。それが王都商人と同じかそれ以上の値で落札するなど大損だ。
後半に、我が国に輸入されたことが無く、王都の競売で値が付けられないと言われた海魔獣・海魔竜が出て来た。この段階になって今まで我関せずと言った風情だった清国商人が動いた。恐らく清国でも狩られたことの無い海魔獣・海魔竜だったのだろう、長崎会所の商人達が驚くほどの高値で落札されていった。深夜まで続いた競売は色々は思惑の中で終わった。
競売代金を受け取った俺と彩は、皆に見送られて盥空船で王都に戻った。深夜にもかかわらず念話で状況を確認していた国王陛下は、俺と彩に王城に参上する様に命じられた。
「御尊顔を拝し奉り、恐悦至極に存じます。」
「尊、彩、堅苦しい挨拶はしなくてよい、簡単明瞭に問題を片付けたいのだ。大臣達もその心算でいる様に!」
国王陛下の厳命に居並ぶ大臣・重臣達が一様に座礼をする。正直困ってしまう、今回の長崎での競売は威圧の意味が強く、取りようによっては賄賂の強要と糾弾される可能性が有る。ここは保身を図っておくべきだ。
「御言葉甘えまして簡潔に御報告させて頂きます。長崎に着きましたところ、長崎奉行以下役人と長崎会所商人どもは他者を排除して安値での競売を画策しておりました。そこで威圧を掛ける為に初日は強引な手法を使い、明日以降の公平な競売に至る様に図りました。」
「うむ、その仔細は念話で奉公を受けておる、別段差し障り無しとここに集まった皆が納得しておる。して王国謀叛・国王陛下暗殺未遂に一味同心した者はいそうか?」
間部筆頭大臣が国王陛下に成り代わり場を仕切って話を進められるようだ。
「不正による蓄財、王国財貨横領罪はほぼ全員が加担しておりますが、王国謀叛・国王陛下暗殺未遂に関しては綿密な調査が必要と思われます。その為には念話で送りましたように、専門家の目付を補佐に付けて頂きたい。」
「相分かった、大和殿の報告を受けて多門重共 を目付に登用の上で、徒目付(かちめつけ)・御小人目付・中間目付を付けて役目を助けさせる。」
「承った。明日長崎に赴く際は重共以下の者達を伴って参る事にいたしましょう。」
「大和殿、1つ確認しておきたいのだが、異国との取引は無制限とすると思っていいのだろうか?」
異国大臣の土屋政直殿が確認して来た。
「いえ、制限は設けます。ただそれは王国の財貨を異国に奪われないと言う簡単なものでございます。」
「具体的にはどうする御心算か?」
「これまでの異国との取引は、我が国に必要な物と異国が必要とするものの差が大きく、何時も金銀を持って異国の物を買う必要が有り、我が国の財貨が常に不足する事態と成っておりましたが。これからは魔獣・海竜の品々は輸入する必要が無いばかりか、輸出する事も可能となります。」
「だがそれは魔獣・魔竜の値崩れを起こすことになり、大和殿は大きな損をする事になるのではないか?」
財務大臣の井上正岑殿が俺を案じてか、それとも何か思惑が有るのか確認して来た。
「案じて頂き有り難き事でですが、我は商人では無く国王陛下に御仕えする貴族です。軍役に必要な財貨と、領内に善政を敷く財貨を得れれば十分でござる。」
「天晴な御言葉ですな、だが王国の財政を預かる身としては、王国と王室が備蓄している魔獣・魔竜の値崩れを心配せねばならんのだ。」
「成ればこう致しましょう、これから狩る魔獣・魔竜の献上分は、王国・王室に必要な備蓄品分は現物で献納し、財務上必要な金銀銅は貨幣に献金致しましょう。」
「そうして頂ければ財務大臣として助かります。」
俺と彩は次席大臣と次席大臣添役就任に伴い言葉遣いを改めた。少なくとも俺は王国2番目の役人となったのだ。王族・貴族の序列は兎も角、役人の中ではそれに相応しい尊大な言動が求められる場面も出て来てしまう。
国王陛下御臨席の大臣・重臣会議において、今後の異国との貿易の有り方について喧々諤々の論争が有ったが、武と忠を持って成り上がった俺に面と向かって喧嘩を売れる者はいなかった。最終的には輸出代価以内であれば輸入無制限と言うう形で落ち着いた。
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