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第1章

第6話:スライムの個別進化と検証結果

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 俺は国境線ギリギリにある王家直轄領近くに向かった。
 大魔境の奥深くを移動しているので、人間と出会う危険は少なかった。

 よほどレベルの高い冒険者やパーティーや猟師達でなければ、大魔境の奥深くは危険過ぎて入って来られない。

 俺だってレベル9にまで成長したヒュージスライムがいなければ、とてもこんな奥深くまで来ることができなかった。
 大魔境に入り込んだことで、移動中に数多くのスライムを従魔にできた成果だ。

「少しここで休もう、それに、ベビースライムとリトルスライムを成長させたい」

 今日も人間を相手にするようにスライムに話しかける。
 スライムから言葉は返ってこないけれど、想いは返ってくる。

 成体スライムなら合体統合させることができるが、1人前になっていないベビースライムやリトルスライムは成体まで成長させなければいけない。

 だから移動中にベビースライムとリトルスライムが斃せる虫や魔蟲を選んで集め、休憩時間にヒュージスライムの身体に作った闘技場で戦わせる。
 戦わせるは大袈裟で、確実に勝てる餌を与えていると言った方がいい。

「さて、問題はラノベやアニメのようにメタルスライムやポイズンスライムに進化するかだが、大切な成体スライムで試す事はできないから、ベビーから試そう」

 俺はヒュージスライムに話しかけて、ベビースライムとリトルスライムに与える餌を、いや、食事を個体ごとに変えることにした。

 個体ごとの好き嫌いなどなく、何でも食べるのがスライムなのだが、それを石なら石だけ、木なら木だけ、毒草なら毒草だけ与える実験をした。

 本当なら何でも色々と食べさせてあげた方が成長が早い。
 いや、そもそも経験値のある虫や魔蟲を斃させないと成長しないかもしれない。
 そこから実験を始めなければいけない状態だった。

「だが、俺が使ったスキルをスライムが忘れない事は分かったのは僥倖だった。
 俺が適度にスキルを使っていれば、スライムに無理をさせる必要がなくなる」

 俺がそう話しかけると、スライムから嬉しそうな想いが伝わって来た。
 スキルを覚えて敵の攻撃を防いだり受け流したりすることができても、盾術や槍術はあまり好きではないようだ。

 本来なら2本しかない人間の腕を数百本も再現して、剣術や槍術を駆使するのは、合体統合したスライムの核に負担がかかるのかもしれない。

 でも、それができれば、スライムの攻撃力と防御力が飛躍的に向上する。
 大切なスライムが殺されてしまうようなことがあったら、俺は生きていけない。
 だから、辛くても少し頑張って欲しい。

「なんだって、ゴブリンの大集落があるだって」

 俺とスライムが最後の野営地と定めた場所で、とんでもない情報を持った成体スライムと出会ってしまった。
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