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第一章
第60話:我儘・リアナ視点
兄上様が新しい事を始められました。
ゴードン王国とロスリン王国を護る将兵を育てる軍学校を設立されました。
大陸中の王侯貴族や平民の間に瞬く間に真実が広まりました。
それもそうでしょう、王侯貴族には自分達の特権を否定される大問題です。
そして平民には、今までにない絶好の機会なのですから。
普通の軍は貴族がいて士族がいて最後に平民がいるのです。
いえ、その平民の枠にすら、士族家を継げない子弟が殺到します。
しかもその採用基準は個人の能力ではなく身分が優先です。
まずあり得ない事ですが公爵家の子弟が応募してきた場合には、どれほど公爵家子弟が無能でも優先的に採用されます。
それ以下の貴族が採用されるのは公爵家子弟の後になります。
そんな事が延々と続けられたら、どれほど優秀な平民がいたとしても、平民が採用されることはありません。
ただ実際には、読み書きや武芸を学ぶ機会があるのは王侯貴族と士族、それに豊かな平民に限られます。
身分差別の激しい大陸各国の王国軍では、酷い扱いを受けると分かっているので、下級士族や平民が志願する事はまずありません。
ですが今回兄上様が設立された軍学校は、身分制を完全に否定されておられます。
例え王族であっても、軍学校内では平民と同等に扱うと断言されています。
もし能力が劣るのに平民に差別的言動をすれば、問答無用でズメイ人が処罰すると宣言されているのです。
兄上様が嘘や冗談を言うはずがないのは、大陸中の人間が知っています。
兄上様に絶対服従のズメイ人は、相手が王子でも問答無用で殺します。
大陸中の王侯貴族が、兄上様の身分制度破壊を恐れています。
大陸中の平民が、兄上様の身分制度破壊に期待しています。
ですが、兄上様の本当の目的が身分制度の破壊でない事は、妹である私が誰よりもよく知っています。
兄上様の目的は、私の王配に相応しい漢を育てる事です。
これはうかうかしていられません。
兄上様が本気で平民を直接指導されたら、凡才も秀才になってしまいます。
私のような愚かな妹を、聖女と呼ばれるまでに育て上げたのは兄上様です。
いえ、聖女どころか女王に戴冠させてしまわれるほどなのです。
ここは兄上様が平民を直接指導できないようにしなければいけません。
「兄上様、お願いしたい事があるのです」
「何だいリアナ、リアナのお願いなら何だって聞いてあげたいが、もう互いに戴冠した身だから、やれない事もあるかもしれないよ」
「その戴冠した身だからこそ、女王に相応しい立ち振る舞いが分からないのです。
女王に相応しい立ち振る舞いを学びたいので、教えてくださいませ」
「いや、いや、いや、そんな事は俺にだって分からないよ。
それに王権者に必要なのは表向きの立ち振る舞いじゃない。
表向きどのような態度をとろうと関係ないよ。
必要なのは民が平穏に暮らせる国にできるかどうかの政治力だよ」
「ですからそれを学びたいのです。
兄上様の側にいて、どうすることが王権者に相応しいのか学びたいのです」
こう言えば、兄上様は絶対に断ることなく私を側に置いてくださいます。
ゴードン王国とロスリン王国を護る将兵を育てる軍学校を設立されました。
大陸中の王侯貴族や平民の間に瞬く間に真実が広まりました。
それもそうでしょう、王侯貴族には自分達の特権を否定される大問題です。
そして平民には、今までにない絶好の機会なのですから。
普通の軍は貴族がいて士族がいて最後に平民がいるのです。
いえ、その平民の枠にすら、士族家を継げない子弟が殺到します。
しかもその採用基準は個人の能力ではなく身分が優先です。
まずあり得ない事ですが公爵家の子弟が応募してきた場合には、どれほど公爵家子弟が無能でも優先的に採用されます。
それ以下の貴族が採用されるのは公爵家子弟の後になります。
そんな事が延々と続けられたら、どれほど優秀な平民がいたとしても、平民が採用されることはありません。
ただ実際には、読み書きや武芸を学ぶ機会があるのは王侯貴族と士族、それに豊かな平民に限られます。
身分差別の激しい大陸各国の王国軍では、酷い扱いを受けると分かっているので、下級士族や平民が志願する事はまずありません。
ですが今回兄上様が設立された軍学校は、身分制を完全に否定されておられます。
例え王族であっても、軍学校内では平民と同等に扱うと断言されています。
もし能力が劣るのに平民に差別的言動をすれば、問答無用でズメイ人が処罰すると宣言されているのです。
兄上様が嘘や冗談を言うはずがないのは、大陸中の人間が知っています。
兄上様に絶対服従のズメイ人は、相手が王子でも問答無用で殺します。
大陸中の王侯貴族が、兄上様の身分制度破壊を恐れています。
大陸中の平民が、兄上様の身分制度破壊に期待しています。
ですが、兄上様の本当の目的が身分制度の破壊でない事は、妹である私が誰よりもよく知っています。
兄上様の目的は、私の王配に相応しい漢を育てる事です。
これはうかうかしていられません。
兄上様が本気で平民を直接指導されたら、凡才も秀才になってしまいます。
私のような愚かな妹を、聖女と呼ばれるまでに育て上げたのは兄上様です。
いえ、聖女どころか女王に戴冠させてしまわれるほどなのです。
ここは兄上様が平民を直接指導できないようにしなければいけません。
「兄上様、お願いしたい事があるのです」
「何だいリアナ、リアナのお願いなら何だって聞いてあげたいが、もう互いに戴冠した身だから、やれない事もあるかもしれないよ」
「その戴冠した身だからこそ、女王に相応しい立ち振る舞いが分からないのです。
女王に相応しい立ち振る舞いを学びたいので、教えてくださいませ」
「いや、いや、いや、そんな事は俺にだって分からないよ。
それに王権者に必要なのは表向きの立ち振る舞いじゃない。
表向きどのような態度をとろうと関係ないよ。
必要なのは民が平穏に暮らせる国にできるかどうかの政治力だよ」
「ですからそれを学びたいのです。
兄上様の側にいて、どうすることが王権者に相応しいのか学びたいのです」
こう言えば、兄上様は絶対に断ることなく私を側に置いてくださいます。
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