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第一章
第4話:神罰・ルーカ国王視点
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『神の教えを蔑ろにしたばかりか、勝手に神から王権を与えられたと、神の名を騙った事許し難し、神罰として生き地獄の刑とする』
ある日、突然、後宮で愛人たちと戯れている余の頭の中に、激しい痛みと共に忘れ難い激烈なメッセージが伝えられた。
太陽王とまで褒め称えられている余に対して、余りの不遜な行い。
本来ならば国中の魔術士を集めて元凶を探し出し、極刑に処すところだ。
だが、余りの痛みにベッドの上をのたうちまわり、そのあまりに激しさに、ついにベッドの上から落ちて絨毯の上で長時間のたうちまわることになった。
「お前たち何故余を助けなかった」
ようやく頭の激痛が収まり、身体中の痛みに耐えながら、余を介抱しなかった愛人たちを罵ったが、彼女たちは無残なありさまだった。
余と同じような頭痛に耐えるために、見境なく頭を掻きむしり、ついには自ら髪の毛を引き抜いてしまったのだろう。
髪の毛の無くなった血塗れの頭と、あちらこちらをぶつけた時に顔も激しくぶつけたのか、真っ赤に腫れあがっているだけでなく、長く深く醜い傷まであった。
「ギャアアアアア、来るな、近づくな、化け物め」
余はあまりに醜くなった愛人たちに恐怖を覚えて部屋から逃げ出した。
他の愛人や侍女に、見る影もなく醜くなった者たちを処分させる心算だった。
だが後宮内のどこに行っても、化物となったモノしかいなかった。
あれほど美しかった愛人たちも、何時でも手を付けられるように集めた、美人ばかりの侍女も、余と一緒に部屋にいた愛人と同じ姿になっていた。
「ギャアアアアア、来るな、近づくな、化け物め、死ね、醜い者などいらぬ」
余がそう言って近づいてき化け物を斬り殺そうとした時、再び激烈な頭痛に襲われ、とてもではないが剣など振るえなかった。
その時にまた神を名乗る者のイメージが激烈な痛みと共に伝えられた。
『今と同じように他者を傷つけるような気持になった時、激しい痛みがお前を襲い、徐々に身体が腐っていく。
さらに今まで行った罪に相応しい腐敗が身体を侵す』
余は、このような脅しに屈したりはしなかった。
後宮の女たちだけではこの苦境を乗り越える事などできない。
久しぶりに表にでて、将軍や大臣たちに今回の叛逆に対する報復を命じる。
あるいは他国の介入かもしれないが、余は負けん。
太陽王とまで呼ばれる余に敗北などない。
「いたい、苦しい、助けて、助けてくれ」
どこに行っても、王宮中を探し回っても、立っている者は一人もいなかった。
それどころか、五体満足な身体を持った者がいなかった。
一番まともな者でも、身体中に打ち身や切り傷が刻まれ、倒れていた。
酷い者は、手足どころか顔まで腐敗し、骨が見えるほどだった。
余はあまりの恐ろしさに、王宮を出て王城の警備兵を探した。
だが、完全武装の警備兵まで地に倒れ痛みに泣きわめいていた。
「ギャアアアアア、なんだこれは、なんだこれは、なんだこれは」
半狂乱となった余は、王城をでて城下町に逃げた。
そこでようやく五体満足な人間を見つけることができた。
「助けよ、余を助けよ、余は王である」
「きゃあああああ、化け物よ、化け物が現れたわ」
ある日、突然、後宮で愛人たちと戯れている余の頭の中に、激しい痛みと共に忘れ難い激烈なメッセージが伝えられた。
太陽王とまで褒め称えられている余に対して、余りの不遜な行い。
本来ならば国中の魔術士を集めて元凶を探し出し、極刑に処すところだ。
だが、余りの痛みにベッドの上をのたうちまわり、そのあまりに激しさに、ついにベッドの上から落ちて絨毯の上で長時間のたうちまわることになった。
「お前たち何故余を助けなかった」
ようやく頭の激痛が収まり、身体中の痛みに耐えながら、余を介抱しなかった愛人たちを罵ったが、彼女たちは無残なありさまだった。
余と同じような頭痛に耐えるために、見境なく頭を掻きむしり、ついには自ら髪の毛を引き抜いてしまったのだろう。
髪の毛の無くなった血塗れの頭と、あちらこちらをぶつけた時に顔も激しくぶつけたのか、真っ赤に腫れあがっているだけでなく、長く深く醜い傷まであった。
「ギャアアアアア、来るな、近づくな、化け物め」
余はあまりに醜くなった愛人たちに恐怖を覚えて部屋から逃げ出した。
他の愛人や侍女に、見る影もなく醜くなった者たちを処分させる心算だった。
だが後宮内のどこに行っても、化物となったモノしかいなかった。
あれほど美しかった愛人たちも、何時でも手を付けられるように集めた、美人ばかりの侍女も、余と一緒に部屋にいた愛人と同じ姿になっていた。
「ギャアアアアア、来るな、近づくな、化け物め、死ね、醜い者などいらぬ」
余がそう言って近づいてき化け物を斬り殺そうとした時、再び激烈な頭痛に襲われ、とてもではないが剣など振るえなかった。
その時にまた神を名乗る者のイメージが激烈な痛みと共に伝えられた。
『今と同じように他者を傷つけるような気持になった時、激しい痛みがお前を襲い、徐々に身体が腐っていく。
さらに今まで行った罪に相応しい腐敗が身体を侵す』
余は、このような脅しに屈したりはしなかった。
後宮の女たちだけではこの苦境を乗り越える事などできない。
久しぶりに表にでて、将軍や大臣たちに今回の叛逆に対する報復を命じる。
あるいは他国の介入かもしれないが、余は負けん。
太陽王とまで呼ばれる余に敗北などない。
「いたい、苦しい、助けて、助けてくれ」
どこに行っても、王宮中を探し回っても、立っている者は一人もいなかった。
それどころか、五体満足な身体を持った者がいなかった。
一番まともな者でも、身体中に打ち身や切り傷が刻まれ、倒れていた。
酷い者は、手足どころか顔まで腐敗し、骨が見えるほどだった。
余はあまりの恐ろしさに、王宮を出て王城の警備兵を探した。
だが、完全武装の警備兵まで地に倒れ痛みに泣きわめいていた。
「ギャアアアアア、なんだこれは、なんだこれは、なんだこれは」
半狂乱となった余は、王城をでて城下町に逃げた。
そこでようやく五体満足な人間を見つけることができた。
「助けよ、余を助けよ、余は王である」
「きゃあああああ、化け物よ、化け物が現れたわ」
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