50 / 94
第一章
第49話:勅使
しおりを挟む
皇紀2221年・王歴225年・早春・ロスリン城
俺は満十二歳、当年とって十三歳になったが、未だ戦いの日々だ。
少しでも状況がよくなればよかったのだが、全然改善されていない。
それどころか日々悪くなっていく一方だが、俺に文句を言う資格はない。
このような状況になったのは、自分のせいだと言う自覚があるからだ。
こうなると分かっていてやったのだから、自業自得なのだ。
海が欲しくて手に入れたバーリー地方の北側、スティントン地方ではアザエル教団がゴーマンストン子爵領に入り込んでいた。
俺がキャヴェンディッシュ侯爵軍とフェアファクス地方の騎士達を誘い込むためにやった、二万五千兵をスティントン地方との領境に集めた事。
これによってゴーマンストン子爵は、兵力の半分しかアザエル教団軍の迎撃に使えなくなり、国境線を突破されてしまったのだ。
そして俺が大軍を率いて山を越え、プランケット地方を離れてバーリー地方に駐屯した事で、エクセター侯爵家とトリムレストン子爵家の戦いが激化した。
両家とも生き残りをかけて、来年の収穫を無視した泥沼の消耗戦を行ったのだ。
その結果が、エクセター侯爵家がプランケット地方以外で支配下に置いていた属臣達、貴族や騎士の完全離脱だった。
しかもこの原因を作った嫡男に対する弟と家臣の叛意を増大させていたのだ。
その結果、この国で二番目に力を持っていた家が弱くなり、一番力を持っているカンリフ公爵がさらに力を持ち、敵対していた相手との戦争がとても楽になっていた。
バルフォア地方とヘプバーン地方の二つの地方で盟主を務めていた、フィッツジェラルド宰相家と血で血を洗うような激烈な戦いを続けていたのだが、その戦争がとても楽になっていた。
馬鹿王の勅命で首都をうかがっていたキャヴェンディッシュ侯爵家を俺が滅ぼし、フェアファクス地方の騎士達は俺に備えなければいけなくなった。
それによってカンリフ公爵は、フェアファクス地方の騎士達に備えていた一万の兵力を、フィッツジェラルド宰相家との戦いに転戦させる事ができるようになった。
エクセター侯爵家を警戒していた兵力五千も転戦させられた。
一時は長弟のクルシー侯爵イーサンが戦死しそうになるくらい苦戦していたカンリフ公爵が、有利に戦えるようになっていた。
だが俺にも思惑があったので、このような状況になる事は仕方のない事だった。
最初にバルフォア地方とヘプバーン地方を手に入れ、ゴーマンストン子爵家をアザエル教団に滅ぼさせてから、俺がアザエル教団を攻め滅ぼす。
そんな長期計画を立てていたのだが、その前にカンリフ公爵家が力をつけすぎてしまうかもしれない状況だったのだ。
それが予測できたからやった事だが、調子に乗り過ぎていたかもしれない。
カンリフ公爵の能力を低く見積もり過ぎていたかもしれない。
こんな事ではトリムレストン子爵を馬鹿になどできない。
自分望むように敵の能力を低く見積もっていたのは、トリムレストン子爵ではなく俺だと言う事になる。
そんな風に反省していたら、首都から皇帝陛下の勅使が下向してこられた。
しかも相手は皇帝陛下の公式な愛人で、俺の叔母だった。
首都で何かとんでもない事を勃発してしまったのかもしれない。
俺は満十二歳、当年とって十三歳になったが、未だ戦いの日々だ。
少しでも状況がよくなればよかったのだが、全然改善されていない。
それどころか日々悪くなっていく一方だが、俺に文句を言う資格はない。
このような状況になったのは、自分のせいだと言う自覚があるからだ。
こうなると分かっていてやったのだから、自業自得なのだ。
海が欲しくて手に入れたバーリー地方の北側、スティントン地方ではアザエル教団がゴーマンストン子爵領に入り込んでいた。
俺がキャヴェンディッシュ侯爵軍とフェアファクス地方の騎士達を誘い込むためにやった、二万五千兵をスティントン地方との領境に集めた事。
これによってゴーマンストン子爵は、兵力の半分しかアザエル教団軍の迎撃に使えなくなり、国境線を突破されてしまったのだ。
そして俺が大軍を率いて山を越え、プランケット地方を離れてバーリー地方に駐屯した事で、エクセター侯爵家とトリムレストン子爵家の戦いが激化した。
両家とも生き残りをかけて、来年の収穫を無視した泥沼の消耗戦を行ったのだ。
その結果が、エクセター侯爵家がプランケット地方以外で支配下に置いていた属臣達、貴族や騎士の完全離脱だった。
しかもこの原因を作った嫡男に対する弟と家臣の叛意を増大させていたのだ。
その結果、この国で二番目に力を持っていた家が弱くなり、一番力を持っているカンリフ公爵がさらに力を持ち、敵対していた相手との戦争がとても楽になっていた。
バルフォア地方とヘプバーン地方の二つの地方で盟主を務めていた、フィッツジェラルド宰相家と血で血を洗うような激烈な戦いを続けていたのだが、その戦争がとても楽になっていた。
馬鹿王の勅命で首都をうかがっていたキャヴェンディッシュ侯爵家を俺が滅ぼし、フェアファクス地方の騎士達は俺に備えなければいけなくなった。
それによってカンリフ公爵は、フェアファクス地方の騎士達に備えていた一万の兵力を、フィッツジェラルド宰相家との戦いに転戦させる事ができるようになった。
エクセター侯爵家を警戒していた兵力五千も転戦させられた。
一時は長弟のクルシー侯爵イーサンが戦死しそうになるくらい苦戦していたカンリフ公爵が、有利に戦えるようになっていた。
だが俺にも思惑があったので、このような状況になる事は仕方のない事だった。
最初にバルフォア地方とヘプバーン地方を手に入れ、ゴーマンストン子爵家をアザエル教団に滅ぼさせてから、俺がアザエル教団を攻め滅ぼす。
そんな長期計画を立てていたのだが、その前にカンリフ公爵家が力をつけすぎてしまうかもしれない状況だったのだ。
それが予測できたからやった事だが、調子に乗り過ぎていたかもしれない。
カンリフ公爵の能力を低く見積もり過ぎていたかもしれない。
こんな事ではトリムレストン子爵を馬鹿になどできない。
自分望むように敵の能力を低く見積もっていたのは、トリムレストン子爵ではなく俺だと言う事になる。
そんな風に反省していたら、首都から皇帝陛下の勅使が下向してこられた。
しかも相手は皇帝陛下の公式な愛人で、俺の叔母だった。
首都で何かとんでもない事を勃発してしまったのかもしれない。
119
あなたにおすすめの小説
転生貴族のスローライフ
マツユキ
ファンタジー
現代の日本で、病気により若くして死んでしまった主人公。気づいたら異世界で貴族の三男として転生していた
しかし、生まれた家は力主義を掲げる辺境伯家。自分の力を上手く使えない主人公は、追放されてしまう事に。しかも、追放先は誰も足を踏み入れようとはしない場所だった
これは、転生者である主人公が最凶の地で、国よりも最強の街を起こす物語である
*基本は1日空けて更新したいと思っています。連日更新をする場合もありますので、よろしくお願いします
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
追放されたので田舎でスローライフするはずが、いつの間にか最強領主になっていた件
言諮 アイ
ファンタジー
「お前のような無能はいらない!」
──そう言われ、レオンは王都から盛大に追放された。
だが彼は思った。
「やった!最高のスローライフの始まりだ!!」
そして辺境の村に移住し、畑を耕し、温泉を掘り当て、牧場を開き、ついでに商売を始めたら……
気づけば村が巨大都市になっていた。
農業改革を進めたら周囲の貴族が土下座し、交易を始めたら王国経済をぶっ壊し、温泉を作ったら各国の王族が観光に押し寄せる。
「俺はただ、のんびり暮らしたいだけなんだが……?」
一方、レオンを追放した王国は、バカ王のせいで経済崩壊&敵国に占領寸前!
慌てて「レオン様、助けてください!!」と泣きついてくるが……
「ん? ちょっと待て。俺に無能って言ったの、どこのどいつだっけ?」
もはや世界最強の領主となったレオンは、
「好き勝手やった報い? しらんな」と華麗にスルーし、
今日ものんびり温泉につかるのだった。
ついでに「真の愛」まで手に入れて、レオンの楽園ライフは続く──!
余命半年のはずが?異世界生活始めます
ゆぃ♫
ファンタジー
静波杏花、本日病院で健康診断の結果を聞きに行き半年の余命と判明…
不運が重なり、途方に暮れていると…
確認はしていますが、拙い文章で誤字脱字もありますが読んでいただけると嬉しいです。
神の加護を受けて異世界に
モンド
ファンタジー
親に言われるまま学校や塾に通い、卒業後は親の進める親族の会社に入り、上司や親の進める相手と見合いし、結婚。
その後馬車馬のように働き、特別好きな事をした覚えもないまま定年を迎えようとしている主人公、あとわずか数日の会社員生活でふと、何かに誘われるように会社を無断で休み、海の見える高台にある、神社に立ち寄った。
そこで野良犬に噛み殺されそうになっていた狐を助けたがその際、野良犬に喉笛を噛み切られその命を終えてしまうがその時、神社から不思議な光が放たれ新たな世界に生まれ変わる、そこでは自分の意思で何もかもしなければ生きてはいけない厳しい世界しかし、生きているという実感に震える主人公が、力強く生きるながら信仰と奇跡にに導かれて神に至る物語。
伯爵家の三男に転生しました。風属性と回復属性で成り上がります
竹桜
ファンタジー
武田健人は、消防士として、風力発電所の事故に駆けつけ、救助活動をしている途中に、上から瓦礫が降ってきて、それに踏み潰されてしまった。次に、目が覚めると真っ白な空間にいた。そして、神と名乗る男が出てきて、ほとんど説明がないまま異世界転生をしてしまう。
転生してから、ステータスを見てみると、風属性と回復属性だけ適性が10もあった。この世界では、5が最大と言われていた。俺の異世界転生は、どうなってしまうんだ。
荷物持ちだけど最強です、空間魔法でラクラク発明
まったりー
ファンタジー
主人公はダンジョンに向かう冒険者の荷物を持つポーターと言う職業、その職業に必須の収納魔法を持っていないことで悲惨な毎日を過ごしていました。
そんなある時仕事中に前世の記憶がよみがえり、ステータスを確認するとユニークスキルを持っていました。
その中に前世で好きだったゲームに似た空間魔法があり街づくりを始めます、そしてそこから人生が思わぬ方向に変わります。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる