54 / 94
53話
しおりを挟む
「「「「オンギャア、オンギャア、オンギャア、オンギャア」」」」
「まあ!
おめでとうございます!
四人もお生まれになられたのね」
「ありがとうございます。
人族の方は多いように思われるかもしれませんが、虎獣人族なら、それほど多いわけでもないのですのよ。
多い人なら、六人以上生む方もおられますもの。
四人なら標準の範囲ですわ」
アンネが無事に初産を終えた。
四つ子とは、人間なら生死を賭ける多産だが、虎獣人族なら普通だった。
しかも元々の身体が頑健なので、カチュアよりも産後直後でも元気だ。
まあ、完全獣形態に戻って出産するというのが大前提なのだが。
今はカチュアと話すために人形態になっているが、それまでは虎の姿で子供達に乳をあげていた。
「そうなのですね。
全然知りませんでした。
でも無理はなされないでくださいね。
邪魔にならないように、私は直ぐに戻らせていただきますね。
アレサンドは残っていくのでしょ?」
「え、いや、虎獣人族の男は子育てには関与しないのだ。
これは種族の特性なのでな。
家を守るために大切にはするが、それは人族の愛情とは違うのだよ」
「それは、私の子供もそうだという事ですね?」
「え、いや、まあ、そう、だな」
「分かりました。
では、その事は戻ってから話しましょう。
ここではアンネさんに迷惑ですから。
では、これで失礼させていただきますね、アンネさん。
お大事になされてくださいね」
「ありがとうございます、カチュア様。
わざわざ足を運んでくださって、ありがとうございます、皇帝陛下」
カチュアとアレサンドが、アンネと子供達の邪魔にならないように、急いで帰った後で、アンネは直ぐに完全獣形態に戻った。
虎に戻ったという事だ。
どこで、何が、どう作用するのかはいまだに分かっていないが、人形態の時には二つの乳首が、完全獣形態では標準八つ、少ない場合は六つで多い場合は十二の乳首になるという謎性質だった。
アンネは標準的な八つで、しかも後宮に伝わる秘伝の準備をしていたので、お乳の出が凄くよい。
しかも乳母が控えてるので、子供が乳不足になる心配はまったくなかった。
虎の姿で子供達に乳を与えるアンネの姿は、母性に溢れていた。
だからこそ、新たに側室や愛妾に迎えられた、虎獣人族の女達に対する目は、とても厳しく殺意すら含まれていた。
皇位を望む女達が最も邪魔に思うのは、正室カチュアの子供ではなく、純血の虎獣人族であるアンネの子供達だった。
そのアンネに幸いだったのは、アンネ自身が皇帝アレサンドの乳妹で信頼されている事と、母親が皇帝アレサンド乳母で絶大な信頼を得ていて、後宮の絶対的な権力者だという事だった。
後宮のほとんどすべての女官が、アンネとその子供達の味方だった。
「まあ!
おめでとうございます!
四人もお生まれになられたのね」
「ありがとうございます。
人族の方は多いように思われるかもしれませんが、虎獣人族なら、それほど多いわけでもないのですのよ。
多い人なら、六人以上生む方もおられますもの。
四人なら標準の範囲ですわ」
アンネが無事に初産を終えた。
四つ子とは、人間なら生死を賭ける多産だが、虎獣人族なら普通だった。
しかも元々の身体が頑健なので、カチュアよりも産後直後でも元気だ。
まあ、完全獣形態に戻って出産するというのが大前提なのだが。
今はカチュアと話すために人形態になっているが、それまでは虎の姿で子供達に乳をあげていた。
「そうなのですね。
全然知りませんでした。
でも無理はなされないでくださいね。
邪魔にならないように、私は直ぐに戻らせていただきますね。
アレサンドは残っていくのでしょ?」
「え、いや、虎獣人族の男は子育てには関与しないのだ。
これは種族の特性なのでな。
家を守るために大切にはするが、それは人族の愛情とは違うのだよ」
「それは、私の子供もそうだという事ですね?」
「え、いや、まあ、そう、だな」
「分かりました。
では、その事は戻ってから話しましょう。
ここではアンネさんに迷惑ですから。
では、これで失礼させていただきますね、アンネさん。
お大事になされてくださいね」
「ありがとうございます、カチュア様。
わざわざ足を運んでくださって、ありがとうございます、皇帝陛下」
カチュアとアレサンドが、アンネと子供達の邪魔にならないように、急いで帰った後で、アンネは直ぐに完全獣形態に戻った。
虎に戻ったという事だ。
どこで、何が、どう作用するのかはいまだに分かっていないが、人形態の時には二つの乳首が、完全獣形態では標準八つ、少ない場合は六つで多い場合は十二の乳首になるという謎性質だった。
アンネは標準的な八つで、しかも後宮に伝わる秘伝の準備をしていたので、お乳の出が凄くよい。
しかも乳母が控えてるので、子供が乳不足になる心配はまったくなかった。
虎の姿で子供達に乳を与えるアンネの姿は、母性に溢れていた。
だからこそ、新たに側室や愛妾に迎えられた、虎獣人族の女達に対する目は、とても厳しく殺意すら含まれていた。
皇位を望む女達が最も邪魔に思うのは、正室カチュアの子供ではなく、純血の虎獣人族であるアンネの子供達だった。
そのアンネに幸いだったのは、アンネ自身が皇帝アレサンドの乳妹で信頼されている事と、母親が皇帝アレサンド乳母で絶大な信頼を得ていて、後宮の絶対的な権力者だという事だった。
後宮のほとんどすべての女官が、アンネとその子供達の味方だった。
13
あなたにおすすめの小説
【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます
腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった!
私が死ぬまでには完結させます。
追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。
追記2:ひとまず完結しました!
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
「地味ブス」と捨てられた私、文化祭の大型スクリーンで王子様の裏の顔を全校生に配信します
スカッと文庫
恋愛
「お前みたいな地味女、引き立て役にもならないんだよ」
眼鏡にボサボサ頭の特待生・澪(みお)は、全校生徒が見守る中、恋人だった学園の王子・ハルトから冷酷に捨てられた。
隣には、可憐な微笑みを浮かべる転校生・エマ。
エマの自作自演により「いじめの犯人」という濡れ衣まで着せられ、学園中から蔑まれる澪。
しかし、彼女を嘲笑う者たちはまだ知らない。
彼女が眼鏡の奥に、誰もが平伏す「真実の美貌」と、学園さえも支配できる「最強の背景」を隠していることを――。
「……ねぇ、文化祭、最高のステージにしてあげる」
裏切りへのカウントダウンが今、始まる。
スクリーンの裏側を暴き、傲慢な王子と偽りのヒロインを奈落へ突き落とす、痛快・学園下剋上ファンタジー!
公爵家の家政を10年回した私が出ていったら、3ヶ月で領地が破綻しました
歩人
ファンタジー
エレナは公爵家に嫁いで10年、夫は愛人に入れ込み、義母には「家政婦代わり」と
罵られた。だが領地の財務も、商会との交渉も、使用人の管理も、全部エレナが
やっていた。ある日、義母から「あなたの代わりなんていくらでもいる」と言われ、
エレナは静かに離縁届を出した。「では、代わりの方にお任せください」
辺境の町で小さな商会を開いたエレナ。10年間の実務経験は伊達ではなかった。
商会はたちまち繁盛する。一方、エレナがいなくなった公爵家は3ヶ月で経営破綻。
元夫が「戻ってこい」と泣きつくが——
「お断りです。あと、10年分の未払い給金を請求いたしますね」
物置部屋に追いやられた伯爵令嬢ですが、公爵様に見初められて人生逆転しました〜妹の引き立て役だったのに、今では社交界の花と呼ばれています〜
丸顔ちゃん。
恋愛
伯爵家の令嬢セレナは、実母の死後、継母と義妹に虐げられて育った。
与えられた部屋は使用人以下の物置、食事は残飯、服はボロ。
専属侍女も与えられず、家の運営や帳簿管理まで押し付けられ、
失敗すれば鞭打ち――それが彼女の日常だった。
そんなある日、世間体のためだけに同行させられた夜会で、
セレナは公爵家の跡取りレオンと出会う。
「あなたの瞳は、こんな場所に閉じ込めていいものではない」
彼はセレナの知性と静かな強さに一瞬で心を奪われ、
彼女の境遇を知ると激怒し、家族の前で堂々と求婚する。
嫁ぎ先の公爵家で、セレナは初めて“人として扱われ”、
広い部屋、美味しい食事、優しい侍女たちに囲まれ、
独学で身につけた知識を活かして家の運営でも大活躍。
栄養と愛情を取り戻したセレナは、
誰もが振り返るほどの美しさを開花させ、
社交界で注目される存在となる。
一方、セレナを失った伯爵家は、
彼女の能力なしでは立ち行かず、
ゆっくりと没落していくのだった――。
虐げられた令嬢が、公爵の愛と自分の才能で幸せを掴む逆転物語。
【番外編も完結】で、お前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか?
Debby
恋愛
ヴェルトが友人からの手紙を手に辺境伯令嬢であるレィディアンスの元を訪れたのは、その手紙に「詳細は彼女に聞け」と書いてあったからだ。
簡単にいうと、手紙の内容は「学園で問題を起こした平民──エボニーを妻として引き取ってくれ」というものだった。
一方その話を聞いてしまった伯爵令嬢のオリーブは動揺していた。
ヴェルトとは静かに愛を育んできた。そんな自分を差し置いて、言われるがまま平民を妻に迎えてしまうのだろうか。
そんなオリーブの気持ちを知るはずもないエボニーは、辺境伯邸で行儀見習いをすることになる。
オリーブは何とかしてヴェルトを取り戻そうと画策し、そのことを咎められてしまう。もう後は無い。
オリーブが最後の望みをかけてヴェルトに自分を選んで欲しいと懇願する中、レィディアンスが静かに口を開いた。
「で、そろそろお前が彼女に嫌がらせをしている理由を聞かせてもらおうか」
「はい?」
ヴェルトは自分が何を言われたのか全く理解が出来なかった。
*--*--*
覗いてくださりありがとうございます。(* ᴗ ᴗ)⁾⁾
★2/17 番外編を投稿することになりました。→完結しました!
★★「このお話だけ読んでいただいてもOKです!」という前提のもと↓↓↓
このお話は独立した一つのお話ですが、「で。」シリーズのサイドストーリーでもあり、第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」の「エボニーその後」でもあります(あるいは「最終話」のその後)。
第一弾「で、私がその方に嫌がらせをする理由をお聞かせいただいても?」
第二弾「で、あなたが私に嫌がらせをする理由を伺っても?」
第三弾「で、あなたが彼に嫌がらせをする理由をお話しいただいても?」
どれも女性向けHOTランキングに入り、特に第二弾はHOT一位になることが出来ました!(*´▽`人)アリガトウ
もしよかったら宜しくお願いしますね!
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる