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私には前世の記憶があります。
それも、五回も!
その全てにおいて、私は不幸でした。
常に妹に婚約者を奪われ、汚名を着せられ追放刑に処せられました。
もう嫌です!
六度も追放されて野垂れ死にするのはごめんです!
だからといって、妹のグレイスを殺す気にはなれません。
確かにグレイスが悪いのですが、貴族令嬢らしいと言えばらしいのです。
常に上を目指し見えないところで努力するのが貴族です。
親兄弟を蹴落としてでも上を目指すのが貴族です。
私が弱すぎるのがいけないのです。
そう思ってしまう性格が、そもそも貴族向きではありません。
それに、簡単に籠絡されるアントニオ王太子にも問題があります。
アントニオ王太子が毅然とグレイスを跳ね除ければいいことなのです。
私という婚約者がいるのだから当然そうすべきなのです。
聖女とは名ばかりの、何の奇跡も起こせない、偽聖女と陰口を言われるような私でも、婚約者なのですから。
だからこそではあります。
アントニオ王太子には最初から何の愛情もないからこそ、六度目にして初めて聖女らしく奇跡が起こせるようになりましたが、その力を使って王太子妃になろうとは思いませんでした。
生まれてからずっと、武芸と魔法と軍略と農政の勉強に励みました。
伯爵家の力で学べるものは全て貪欲に学びました。
寝食は忘れませんでしたが、努力に努力を重ねました。
初めて奇跡の力に気がついた時には、家を飛びだしても生きていけると確信し、心から安堵しました。
ですが奇跡の力は隠しました。
王太子の婚約者になるのが嫌だったからです!
「エンマ、もっと早く討ち込みなさい。
その剣速では闘蜂は狩れませんよ!」
アンゲリカが戦闘侍女達を厳しく鍛えてくれています。
アンゲリカは、王太子の婚約者である私を護る戦闘侍女の指導教官です。
過去五度の人生では、戦闘侍女はいたものの、どちらかといえば護衛ではなく監視役でした。
王太子の婚約者が不義を働き、王太子以外の男の種を宿さないように監視するのが、何より大切な役目でした。
ですから戦闘侍女の半数はヘプバーン王家の直臣でした。
ですが、王太子との縁を切ると決意した今生では、戦闘侍女の半数を自分で選び徹底的に鍛えました。
鍛えるための教官も、五度の人生で見知った最高の女戦士、私が死ぬ直前に竜を狩って『竜殺し』の異名を得た、アンゲリカを指名したのです。
何故なら私はポルワース伯爵家を捨てて家を出ていくつもりだからです。
冒険者となって自活するつもりなのです。
親や夫の力で生きさせてもらうなんて、そんな不安定な生活は嫌です。
自分の身は自分で護る!
自分の食い扶持は自分の手で稼ぐ!
名誉を護るために、五度の前世で五回自害した苦い経験がそう決意させました。
それも、五回も!
その全てにおいて、私は不幸でした。
常に妹に婚約者を奪われ、汚名を着せられ追放刑に処せられました。
もう嫌です!
六度も追放されて野垂れ死にするのはごめんです!
だからといって、妹のグレイスを殺す気にはなれません。
確かにグレイスが悪いのですが、貴族令嬢らしいと言えばらしいのです。
常に上を目指し見えないところで努力するのが貴族です。
親兄弟を蹴落としてでも上を目指すのが貴族です。
私が弱すぎるのがいけないのです。
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だからこそではあります。
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ですが奇跡の力は隠しました。
王太子の婚約者になるのが嫌だったからです!
「エンマ、もっと早く討ち込みなさい。
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アンゲリカが戦闘侍女達を厳しく鍛えてくれています。
アンゲリカは、王太子の婚約者である私を護る戦闘侍女の指導教官です。
過去五度の人生では、戦闘侍女はいたものの、どちらかといえば護衛ではなく監視役でした。
王太子の婚約者が不義を働き、王太子以外の男の種を宿さないように監視するのが、何より大切な役目でした。
ですから戦闘侍女の半数はヘプバーン王家の直臣でした。
ですが、王太子との縁を切ると決意した今生では、戦闘侍女の半数を自分で選び徹底的に鍛えました。
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