婚約破棄は私から。

克全

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7話

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「急げ!
 急いで蛇を探し出して退治するんだ!
 近衛騎士団の面目にかけても、一匹たりとも逃がすな!」

「「「「「は!」」」」」

「近衛騎士団に負けるな!
 俺達近衛徒士団の底力を見せるんだ!」

「「「「「おう!」」」」」

 面白い話です。
 同じ近衛なのに、騎士団と徒士団が張り合っています。
 身分の高い騎士団は徒士団を蔑み、徒士団はその態度に反発する。
 王家の近衛も一枚岩ではありません。
 それどころか、同じ近衛騎士団や近衛徒士団内にも、派閥があって張り合っているのですから、実戦になっても心を一つにして戦えないでしょう。

「うあ!
 班長、ネズミです!
 ネズミが走り回っています!」

「バカモノ!
 俺達が退治するのは蛇とコウモリだ!
 ネズミなど放っておけ!」

「はい!」

 王宮内は大騒動ですね。
 これでは密通もできないでしょうね。
 後宮の女達の中には、外の男と不義密通していた者もいるようです。
 でもそれだけではありませんでした。
 外部の女が、密かに後宮に入りこんでいたのです。
 メグという修道女姿の女が後宮に入り込み、フィリップ国王を魅了して操っていたのです。

(エリーニュス神様、なぜ私にこのような事を知らせてくださるのですか?)

(私達はカルラにルシアを守ると約束しました。
 ですが、なぜか私達の力がこの女メグには通じません。
 このままでは約束を守れなくなるかもしれません。
 だから伝えたのです)

(分かりました。
 私が自分の力でルシアを守ります。
 王都に戻って、ルシアを守ります)

「ゾーヤ。
 このままではルシアが危険です。
 急いで王都に行きます。
 早馬の支度を頼みます」

「承りました」

 私は不意にゾーヤに早馬の準備を頼んだのですが、ゾーヤはすでに全ての準備を整えてくれていました。
 王都からルシアの婚約破棄情報が伝わって以来、いつでも私が王都に向かえるように、神殿から王都に向かう街道の宿駅町に準備を整えさせてくれていました。

 だから私とゾーヤは、わずかな仮眠時間だけで、神殿から王都までの街道を駆け抜けることができました。
 神殿の上級神官の地位とウォード公爵家令嬢の地位、その両方を使って、身分と金を使う事で、時間を買ったのです。

「父上、ただいま戻りました!
 ルシアを助け出します!
 兵の準備をお願いします!」

 普通に徒歩で旅したら、片道三十日はかかる道のりを、私とゾーヤは五昼夜で駆け抜け、旅の埃も汗も落とさず、父のウォード公爵ヤコブと面会しました。
 父上も呆れているのか驚いているのか、直ぐには返事してくれません。
 ですが父上が何を考えていようと関係ありません。
 今一番大切なのは、エリーニュス神様の守護すら討ち破るというメグから、ルシアを守る事です。
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