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第一章
第8話:独立独歩
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軟禁されてから一カ月、俺の我慢も限界だった。
自由自在に軟禁部屋から抜け出せるようになっていたが、未だに無限に増え続ける魔力と、外で練習して得た攻撃魔術を考えれば、もう自重する必要はない。
それでも万が一のことを考えて、逃げ出す前に拠点となる城砦を完成させておくことにした。
「この領地の城砦の規模を考えれば、これくらいで十分だと思う」
自分の考えを確認するために、わざと口に出してみる。
濠の幅は百メートルくらい、深さは三百メートルくらいにしておく。
その分の土は圧縮強化して石材に変化させ、幅二十メートル高さ百メートルの城壁にして、人間や獣が絶対に入れない鉄壁の護りにする。
飛行系の魔獣や竜が相手では空から攻撃されてしまうが、それは結界魔術で防御すれば大丈夫だ。
「想像するだけで専用魔道具を創り出せるなんてチート過ぎる」
軟禁状態で暇だったので、魔道具を創生できないか色々試行錯誤したら、簡単にできたのには正直驚いた。
この世界にある魔道具を取り寄せたのか、完全に一から創り出したのかは分からないが、あるモノは使えばいい。
城壁も含めて、俺の城を包み込んで護ってくれる結界は、たくさんあればあるほど安心だから、魔力に飽かして百個ほど創り出した。
「だがこうしてみると、やはり屋根がないのは心配だ。
屋上はあった方がいいが、向こうのビルのよう階層を作るか?
圧縮強化岩盤を使えば、高層ビルは無理でも普通のマンションくらいは創り出せると思うから、城壁の高さに合わせて階層を作って行こう」
口に出しながら試行錯誤を繰り返し、必要になったら濠の外側の土を材料にして圧縮強化岩盤にする。
明かりがない分は魔力による光源を創り出す。
俺の魔力があれば全然心配ないのだが、後々の事を考えて、天井部分の圧縮強化岩盤は上部を太陽光を吸収して下部に伝える性質にした。
これを階層ごとの天井と床に使えば、下の階層にも明かりを取り入れることが可能だが、問題は徐々に減弱する光をどうするかだな……
「どうせ創り出すのなら、後世にまで遺跡として残るものにしたい。
俺の魔力に頼らない、自給自足のできる完璧な城砦を創り出すにはどうするべきかは後々考えるとして、今はバイロン男爵やポーレット侯爵を撃退できればいい。
これくらいの濠と城壁があれば大丈夫だと思うが、反撃は必要だろうか?」
色々罠を考える事はできた。
反撃の魔道具を創り出すのにも成功した。
だがそれを装備したら、オードリーを傷つけてしまうかもしれない。
本質的な優しい性格を、家や領民のために押し殺しているオードリーが哀れに思えたので、俺は反撃方法を封印することにした。
そして手紙を残して軟禁部屋から逃げ出した。
自由自在に軟禁部屋から抜け出せるようになっていたが、未だに無限に増え続ける魔力と、外で練習して得た攻撃魔術を考えれば、もう自重する必要はない。
それでも万が一のことを考えて、逃げ出す前に拠点となる城砦を完成させておくことにした。
「この領地の城砦の規模を考えれば、これくらいで十分だと思う」
自分の考えを確認するために、わざと口に出してみる。
濠の幅は百メートルくらい、深さは三百メートルくらいにしておく。
その分の土は圧縮強化して石材に変化させ、幅二十メートル高さ百メートルの城壁にして、人間や獣が絶対に入れない鉄壁の護りにする。
飛行系の魔獣や竜が相手では空から攻撃されてしまうが、それは結界魔術で防御すれば大丈夫だ。
「想像するだけで専用魔道具を創り出せるなんてチート過ぎる」
軟禁状態で暇だったので、魔道具を創生できないか色々試行錯誤したら、簡単にできたのには正直驚いた。
この世界にある魔道具を取り寄せたのか、完全に一から創り出したのかは分からないが、あるモノは使えばいい。
城壁も含めて、俺の城を包み込んで護ってくれる結界は、たくさんあればあるほど安心だから、魔力に飽かして百個ほど創り出した。
「だがこうしてみると、やはり屋根がないのは心配だ。
屋上はあった方がいいが、向こうのビルのよう階層を作るか?
圧縮強化岩盤を使えば、高層ビルは無理でも普通のマンションくらいは創り出せると思うから、城壁の高さに合わせて階層を作って行こう」
口に出しながら試行錯誤を繰り返し、必要になったら濠の外側の土を材料にして圧縮強化岩盤にする。
明かりがない分は魔力による光源を創り出す。
俺の魔力があれば全然心配ないのだが、後々の事を考えて、天井部分の圧縮強化岩盤は上部を太陽光を吸収して下部に伝える性質にした。
これを階層ごとの天井と床に使えば、下の階層にも明かりを取り入れることが可能だが、問題は徐々に減弱する光をどうするかだな……
「どうせ創り出すのなら、後世にまで遺跡として残るものにしたい。
俺の魔力に頼らない、自給自足のできる完璧な城砦を創り出すにはどうするべきかは後々考えるとして、今はバイロン男爵やポーレット侯爵を撃退できればいい。
これくらいの濠と城壁があれば大丈夫だと思うが、反撃は必要だろうか?」
色々罠を考える事はできた。
反撃の魔道具を創り出すのにも成功した。
だがそれを装備したら、オードリーを傷つけてしまうかもしれない。
本質的な優しい性格を、家や領民のために押し殺しているオードリーが哀れに思えたので、俺は反撃方法を封印することにした。
そして手紙を残して軟禁部屋から逃げ出した。
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