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第1章
第23話:醤油とカニ
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1年目の夏
イノシシ魔獣ロースの西京漬けを食べて、無性に日本食が食べたくなった。
特に海産物が食べたくてたまらなくなった。
海産物を食べるなら、しょう油と米酢は外せない。
基本塩味が大好きで、焼き魚も塩焼きだからしょう油を使わない。
だけど、酢の物には少しだけしょう油を使う。
そもそも酢の物には、果物のビネガーよりも米酢や雑穀酢を使いたい。
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる米酢樹よ、最高に美味しい米酢にしてくれ」
これで魚介類の酢の物を美味しく食べられる!
シメサバを食べたいし、サヨリを酢でしめた物も美味しい。
もし生の魚が食べられるのなら、やっぱりしょうゆ油も欲しい。
茹でガニや蒸しガニを食べる時だけは、絶対にしょう油を外せない!
俺が最も美味しいと思う溜りしょう油は、各種のみそを絞れば造れる。
だが、どうせしょう油を造るのなら、真剣に全部造る。
大豆と小麦を同じくらい使って造る濃口しょう油。
普通に使うのならこれが1番かもしれない。
転生前の日本では1番よく使われていたかもしれない。
だが俺は、昆布のダシをじゃましない薄口しょう油が好きだ。
お造りや鮨を食べるのなら濃口しょう油でもいい。
でも、昆布出汁の汁物やうどんに使うなら薄口しょう油でないと!
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる薄口しょう油樹よ、最高に美味しい薄口しょう油にしてくれ」
溜りしょう油、濃口しょう油、薄口しょう油があれば十分かもしれない。
俺も転生前に使っていたしょう油は、ほとんどこの3種だった。
だが、賽銭泥棒に殺される少し前に使ったしょう油がある。
白しょう油、俺にはほぼ使い道のないしょう油だった。
それが、茶碗蒸しに試して、どはまりしてしまった!
毎日のように、汁物の代わりに茶碗蒸しを作って食べていた。
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる白しょう油樹よ、最高に美味しい白しょう油にしてくれ」
十分に準備してから、家事妖精に海産物を買って来てくれるように頼んだ。
特にお願いしたのが、カニとエビとタコだった。
魚や貝も食べたいが、それよりもカニやエビの方が上だった。
「イチロウ様、いえ、村長、これでよろしいですか?」
家事精霊の中でも特に料理にプライドを持っているシェイマシーナが聞いて来た。
俺の指示通り、茹でたカニと蒸したカニを持って来てくれた。
カニを茹でる時に気をつけないといけないのは塩の量だ。
タラバガニ ・花咲カニ・ズワイガニは約4%だと言われている。
毛ガニだけは3%と言われていた。
だがこの世界のカニが転生前のカニと同じとは限らない。
現に目の前に置かれているカニは、形は違うがタカアシガニの大きさだ。
タカアシガニ、脚を広げると4メートルくらいある。
もの凄く食べ応えがありそうだが、転生前のタカアシガニと同じように水っぽく大味だと悲しい。
俺はタカアシガニを食べた事がない。
獲ってから時間が経つと身が溶けてマズくなるらしい。
だが新鮮なタカアシガニは美味しいとも聞いていた。
それに、目の前にあるカニの形はズワイガニや毛ガニと一緒だ。
ただ大きさが信じられないくらい大きいだけだ。
「うまい、こんな美味いカニは初めて食べた!」
試食なので、塩もしょう油も酢もつけずにそのまま食べた。
うまかった、とんでもなく美味かった!
転生前も含めて、人生で1番美味しいカニだった!
茹でたカニも美味しかったが、蒸したカニが飛び抜けて美味しかった。
塩ならつける気になるが、酢やしょう油はつける気にならない。
カニの味をじゃまするだけだ。
そう思ってしまうくらい飛び抜けて美味しかった。
「みんなは好きに食べればいいよ。
人それぞれ美味しい物、美味しい食べ方は違うからね」
「おいしい、すごくおいしい、サツマイモよりおいしい!」
「わたしもカニのほうがサツマイモより好き!」
「わたしは同じくらい、カニもサツマイモも同じくらい好き」
「わたしはどっちも好き、でもカニを食べてからサツマイモを食べるとくさい」
金猿獣人族の子供たちが蒸しカニを美味しそうに食べている。
最初から俺と暮らしていた4人の子は遠慮をしない。
後から加わった金猿獣人族には遠慮がある。
「遠慮しないで好きなだけ食べろ。
カニは直ぐに痛むから急いで食べた方が良い。
料理してもらうと食べにくいなら、自分たちで料理しろ」
俺が強く言ったので、金猿獣人族も恐る恐るカニを食べだした。
口に入れた瞬間の金猿獣人族の表情がとてもおもしろかった。
鳩が豆鉄砲を食ったように、もの凄く驚いた表情をした。
その後直ぐに貪るように食べだしたのだ。
よほど美味しかったのだろう。
「村長、カニに合う酒は何なのだ?」
すでにカニに合う酒を探して試飲していたヴァルタルに聞かれた。
「この形のカニをズワイガニというのだが、身は清酒や麦焼酎が合う。
この形のカニをタラバガニというのだが、身はエールや清酒が合う」
「うむ、確かに合うな、だが、ワインは合わないのか?」
「いや、そんな事はないぞ。
西京漬けと同じように、白ワインは合うだろう。
それに、何度も言うが人好き好きだ。
赤ワインだろうがイモ焼酎であろうが、好きに組み合わせればいい」
「そうだな、その通りだな、儂は酒精の強い麦焼酎が良い」
う~ん、転生前はやりたくてもできなかった甲羅酒。
やってみたいのだが、甲羅が余りにも大き過ぎる。
せめて2升が注げる大盃くらいの大きさの甲羅だったらな~
イノシシ魔獣ロースの西京漬けを食べて、無性に日本食が食べたくなった。
特に海産物が食べたくてたまらなくなった。
海産物を食べるなら、しょう油と米酢は外せない。
基本塩味が大好きで、焼き魚も塩焼きだからしょう油を使わない。
だけど、酢の物には少しだけしょう油を使う。
そもそも酢の物には、果物のビネガーよりも米酢や雑穀酢を使いたい。
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる米酢樹よ、最高に美味しい米酢にしてくれ」
これで魚介類の酢の物を美味しく食べられる!
シメサバを食べたいし、サヨリを酢でしめた物も美味しい。
もし生の魚が食べられるのなら、やっぱりしょうゆ油も欲しい。
茹でガニや蒸しガニを食べる時だけは、絶対にしょう油を外せない!
俺が最も美味しいと思う溜りしょう油は、各種のみそを絞れば造れる。
だが、どうせしょう油を造るのなら、真剣に全部造る。
大豆と小麦を同じくらい使って造る濃口しょう油。
普通に使うのならこれが1番かもしれない。
転生前の日本では1番よく使われていたかもしれない。
だが俺は、昆布のダシをじゃましない薄口しょう油が好きだ。
お造りや鮨を食べるのなら濃口しょう油でもいい。
でも、昆布出汁の汁物やうどんに使うなら薄口しょう油でないと!
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる薄口しょう油樹よ、最高に美味しい薄口しょう油にしてくれ」
溜りしょう油、濃口しょう油、薄口しょう油があれば十分かもしれない。
俺も転生前に使っていたしょう油は、ほとんどこの3種だった。
だが、賽銭泥棒に殺される少し前に使ったしょう油がある。
白しょう油、俺にはほぼ使い道のないしょう油だった。
それが、茶碗蒸しに試して、どはまりしてしまった!
毎日のように、汁物の代わりに茶碗蒸しを作って食べていた。
「大地よ、俺を助けてくれる全ての巨樹が必要とする豊かな地となれ!
俺を助けてくれる白しょう油樹よ、最高に美味しい白しょう油にしてくれ」
十分に準備してから、家事妖精に海産物を買って来てくれるように頼んだ。
特にお願いしたのが、カニとエビとタコだった。
魚や貝も食べたいが、それよりもカニやエビの方が上だった。
「イチロウ様、いえ、村長、これでよろしいですか?」
家事精霊の中でも特に料理にプライドを持っているシェイマシーナが聞いて来た。
俺の指示通り、茹でたカニと蒸したカニを持って来てくれた。
カニを茹でる時に気をつけないといけないのは塩の量だ。
タラバガニ ・花咲カニ・ズワイガニは約4%だと言われている。
毛ガニだけは3%と言われていた。
だがこの世界のカニが転生前のカニと同じとは限らない。
現に目の前に置かれているカニは、形は違うがタカアシガニの大きさだ。
タカアシガニ、脚を広げると4メートルくらいある。
もの凄く食べ応えがありそうだが、転生前のタカアシガニと同じように水っぽく大味だと悲しい。
俺はタカアシガニを食べた事がない。
獲ってから時間が経つと身が溶けてマズくなるらしい。
だが新鮮なタカアシガニは美味しいとも聞いていた。
それに、目の前にあるカニの形はズワイガニや毛ガニと一緒だ。
ただ大きさが信じられないくらい大きいだけだ。
「うまい、こんな美味いカニは初めて食べた!」
試食なので、塩もしょう油も酢もつけずにそのまま食べた。
うまかった、とんでもなく美味かった!
転生前も含めて、人生で1番美味しいカニだった!
茹でたカニも美味しかったが、蒸したカニが飛び抜けて美味しかった。
塩ならつける気になるが、酢やしょう油はつける気にならない。
カニの味をじゃまするだけだ。
そう思ってしまうくらい飛び抜けて美味しかった。
「みんなは好きに食べればいいよ。
人それぞれ美味しい物、美味しい食べ方は違うからね」
「おいしい、すごくおいしい、サツマイモよりおいしい!」
「わたしもカニのほうがサツマイモより好き!」
「わたしは同じくらい、カニもサツマイモも同じくらい好き」
「わたしはどっちも好き、でもカニを食べてからサツマイモを食べるとくさい」
金猿獣人族の子供たちが蒸しカニを美味しそうに食べている。
最初から俺と暮らしていた4人の子は遠慮をしない。
後から加わった金猿獣人族には遠慮がある。
「遠慮しないで好きなだけ食べろ。
カニは直ぐに痛むから急いで食べた方が良い。
料理してもらうと食べにくいなら、自分たちで料理しろ」
俺が強く言ったので、金猿獣人族も恐る恐るカニを食べだした。
口に入れた瞬間の金猿獣人族の表情がとてもおもしろかった。
鳩が豆鉄砲を食ったように、もの凄く驚いた表情をした。
その後直ぐに貪るように食べだしたのだ。
よほど美味しかったのだろう。
「村長、カニに合う酒は何なのだ?」
すでにカニに合う酒を探して試飲していたヴァルタルに聞かれた。
「この形のカニをズワイガニというのだが、身は清酒や麦焼酎が合う。
この形のカニをタラバガニというのだが、身はエールや清酒が合う」
「うむ、確かに合うな、だが、ワインは合わないのか?」
「いや、そんな事はないぞ。
西京漬けと同じように、白ワインは合うだろう。
それに、何度も言うが人好き好きだ。
赤ワインだろうがイモ焼酎であろうが、好きに組み合わせればいい」
「そうだな、その通りだな、儂は酒精の強い麦焼酎が良い」
う~ん、転生前はやりたくてもできなかった甲羅酒。
やってみたいのだが、甲羅が余りにも大き過ぎる。
せめて2升が注げる大盃くらいの大きさの甲羅だったらな~
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