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第六部 異世界建築士とよろこびのうた
第676話:始まりの地へ(2/5)
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その夜、チビたちは荷物として持ち込んだ毛布に、三人で器用に丸まって眠っていた。そのそばの|おくるみの中では、娘たちがすやすやと眠っている。
そして俺たち大人組四人は、外に出て虫の音を聞きながら夜空を眺めていた。
「明日は、あの山に登るんスよね……?」
「そうだな、その通りだ」
「明日には、その……お義父さまに会えるんスね?」
「多分、もう一日かかるんじゃないかな。登りだし」
いつも飄々としているフェルミのひきつった顔は、なかなか見ものだった。
「いや、俺もだけど、山登りに慣れてない集団だからさ。山の家まで、多分二日はかかるだろう。そのあとは、少しだけ滞在させてもらうつもりだけどな」
「お荷物は、わたしが持ちますから! マイセルちゃんもフェルミさんも、安心してくださいね!」
リトリィが胸を張る。さすがだ。だが俺だって、この世界に来た頃の「ヒョロガリ」だったころとはちょっと違う。高さ三十メートルの塔を階段で毎日上り下りできる程度のヒョロガリには成長したんだからな。
授乳中の妻二人分の荷物持ちができる程度には、体力がついたつもりだぞ。
「滞在……?」
「さすがに、山に登ってその日のうちに山を下りるなんて、大変だろう?」
フェルミの笑顔がさらに引きつる。
「……今からもう、帰っていいスか?」
「帰る? 家にか?」
その表情からは冗談を言っているように思えなくて、俺はため息をつくと、うなずいた。
「そうか……。残念だけど、仕方ないな。分かった、明日に折り返しの乗合牛車が出るはずだから、それで街まで帰るといい」
本当は同行してほしかったが、彼女が無理だと感じるなら仕方がない。赤ん坊を抱えての旅は大変だ。ましてこれから山を登るなんて。
俺にとっては大恩人でも、フェルミにとっては顔も知らない相手だし、尻込みするのも仕方がないだろう。そう考えて返事をしたら、なぜかひどく驚かれた。
「え……? ご主人……その、止めないんスか?」
「どういう意味だ? 明日の折り返しの牛車で帰ればいい。車代くらいは出すさ。こんなところまで付き合わせて悪かったな」
「……ご主人さま……。ほ、本当に、本気で、そうおっしゃるのですか……?」
なぜか居住まいを正されて言葉遣いも丁寧になって、深刻そうに言うフェルミに、俺の方も違和感を覚えて聞き返した。
「俺は冗談が下手だから言わないし、いつも本気だが?」
「……ムラタさん、そうじゃなくて……」
マイセルがつんつんと脇腹をつついてくる。
「いや、フェルミが無理だというなら仕方がないんじゃないか? フェルミにとっては顔も知らない相手だし、帰りたいというのなら無理強いはできないだろう」
そう返してからフェルミに向き直ると、彼女の顔が酷くこわばって、そして、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「……ごめんなさい。ご主人さまがそんなにもお怒|《いか》りになるなんて、私、思わなくて……。申し訳ございません。二度と先程のような軽口は叩きません、どうか、どうか、ご再考をお願いできないでしょうか」
深々と頭を下げるフェルミ。ますます混乱する俺。
「いや、怒ってなどいないぞ?」
「お怒りなど、とうに通り越してしまわれたということですか? あの……もう、お赦しは、いただけないと、おっしゃるのですか……?」
フェルミが、泣きながらすがりついてくる。意味がわからない。
救いを求めてマイセルの方を見ると、ため息をついてとりなしてくれた。
「フェルミ、落ち着いて。ムラタさん、たぶん怒ってないから。あなたがどうしてそんなに焦ってるのかも、きっと分かってないと思うの。大丈夫だと思うから、泣くのをやめて?」
「マイセル、分かるのか? 何がどうなってるんだ?」
俺の方こそ、マイセルにすがり付く勢いで聞いたよ!
マイセルは、もはや人目もはばからず泣きじゃくっているフェルミの肩を抱くようにして、教えてくれた。
「フェルミだけを親戚に合わせないってことは、つまり、彼女を一族として認めないってことですよ?」
なぜそうなる。俺は彼女が無理だと言ったから、それを尊重しようとしただけなのに。
「本当に、お仕事に関してはすごく頭が回るひとなのに……。どうして女の子の気持ちは分かってくれないんですか」
マイセルが、特大のため息をつきながら続けた。
「ムラタさんが親戚に会わせないって決めたってことは、つまり主のムラタさんがフェルミのことを認めないって言ったも同然じゃないですか」
「い、いや、そんな……」
「『そんな』、なんですか?」
マイセルの目が座っている。
……怖い!
「第一夫人のリトリィ姉さまが認めてくださっても、ムラタさんに拒絶されたなら、フェルミにはもう、居場所が無くなったも同然なんです。特にフェルミは、式も挙げていない、不安定な立場なんですから。『帰りたいならさっさと帰れ』って、売り言葉に買い言葉なのでしょうけど、フェルミにとって、それがどれほど重い言葉だったか。もっと察してあげてください」
……知らん! そんな風習、知らんですよ!
だが、マイセルの座った目の迫力に、声が出ない。
「もしかしたら、そこまで考えが回っていなかったのかもしれないですけど、ムラタさんの言葉には、それだけの力があったってことなんです。いくらなんでも、そんな可哀想なことをしないでください」
いや、だから、「親戚に会わせないってことは一族として認めない」なんて、そんな風習、知らなかっただけだから!
しかし、そう言おうと思ったけどやめた。いずれにしても、フェルミの軽口に大真面目に返答した結果、彼女を泣かせたんだ。
彼女は、単に「想像以上に大変そうだ」という意味で、「帰ってもいいか」と茶化したつもりだったのだ。
俺が「そんなこと言わずに一緒に行こう」などと励ましてくれるだろうと思って。もしかしたら、何らかの配慮を引き出せるという期待もあったのかもしれない。
だが、俺がフェルミの弱気に「配慮をして」あっさりと帰っていいと返事をしてしまった。また帰る手段が整っていることもあって、俺は意見を引っ込めなかった。
だけど、そんなことを「理解しろ」だなんて言われても! リトリィと交際するようになってから女性について少しは理解できるようになってきたつもりだったけど、やっぱり分からないよ、風習も絡めた女心ってのは!
「分からないなんて言わないでください。ムラタさん、あなたはヒノモト一家の主なんですよ? しっかりしてください」
そうだよな、そもそもマイセルからして、俺の勘違いから始まってるんだし!
ああ分かったよ、日々これ勉強! 理解に努めますとも!
すると、リトリィがすこし、困ったような顔で微笑んでみせた。
「……あまり、そんなにわからなくてもいいですよ?」
「お姉さま、そんな甘やかすようなことしてると、また泣くことになっちゃいますよ?」
マイセルがあきれてみせるが、リトリィはやっぱり困ったような笑顔で、続けたのだった。
「だって……だんなさまのことは、わたしたちが分かってあげていれば、それでいいことですから。あんまり女心にくわしくなられると、……また、奥さんが増えそうで、こわくて……」
ないない、これ以上は絶対にありえないからっ!
そして俺たち大人組四人は、外に出て虫の音を聞きながら夜空を眺めていた。
「明日は、あの山に登るんスよね……?」
「そうだな、その通りだ」
「明日には、その……お義父さまに会えるんスね?」
「多分、もう一日かかるんじゃないかな。登りだし」
いつも飄々としているフェルミのひきつった顔は、なかなか見ものだった。
「いや、俺もだけど、山登りに慣れてない集団だからさ。山の家まで、多分二日はかかるだろう。そのあとは、少しだけ滞在させてもらうつもりだけどな」
「お荷物は、わたしが持ちますから! マイセルちゃんもフェルミさんも、安心してくださいね!」
リトリィが胸を張る。さすがだ。だが俺だって、この世界に来た頃の「ヒョロガリ」だったころとはちょっと違う。高さ三十メートルの塔を階段で毎日上り下りできる程度のヒョロガリには成長したんだからな。
授乳中の妻二人分の荷物持ちができる程度には、体力がついたつもりだぞ。
「滞在……?」
「さすがに、山に登ってその日のうちに山を下りるなんて、大変だろう?」
フェルミの笑顔がさらに引きつる。
「……今からもう、帰っていいスか?」
「帰る? 家にか?」
その表情からは冗談を言っているように思えなくて、俺はため息をつくと、うなずいた。
「そうか……。残念だけど、仕方ないな。分かった、明日に折り返しの乗合牛車が出るはずだから、それで街まで帰るといい」
本当は同行してほしかったが、彼女が無理だと感じるなら仕方がない。赤ん坊を抱えての旅は大変だ。ましてこれから山を登るなんて。
俺にとっては大恩人でも、フェルミにとっては顔も知らない相手だし、尻込みするのも仕方がないだろう。そう考えて返事をしたら、なぜかひどく驚かれた。
「え……? ご主人……その、止めないんスか?」
「どういう意味だ? 明日の折り返しの牛車で帰ればいい。車代くらいは出すさ。こんなところまで付き合わせて悪かったな」
「……ご主人さま……。ほ、本当に、本気で、そうおっしゃるのですか……?」
なぜか居住まいを正されて言葉遣いも丁寧になって、深刻そうに言うフェルミに、俺の方も違和感を覚えて聞き返した。
「俺は冗談が下手だから言わないし、いつも本気だが?」
「……ムラタさん、そうじゃなくて……」
マイセルがつんつんと脇腹をつついてくる。
「いや、フェルミが無理だというなら仕方がないんじゃないか? フェルミにとっては顔も知らない相手だし、帰りたいというのなら無理強いはできないだろう」
そう返してからフェルミに向き直ると、彼女の顔が酷くこわばって、そして、ぽろぽろと涙をこぼし始めた。
「……ごめんなさい。ご主人さまがそんなにもお怒|《いか》りになるなんて、私、思わなくて……。申し訳ございません。二度と先程のような軽口は叩きません、どうか、どうか、ご再考をお願いできないでしょうか」
深々と頭を下げるフェルミ。ますます混乱する俺。
「いや、怒ってなどいないぞ?」
「お怒りなど、とうに通り越してしまわれたということですか? あの……もう、お赦しは、いただけないと、おっしゃるのですか……?」
フェルミが、泣きながらすがりついてくる。意味がわからない。
救いを求めてマイセルの方を見ると、ため息をついてとりなしてくれた。
「フェルミ、落ち着いて。ムラタさん、たぶん怒ってないから。あなたがどうしてそんなに焦ってるのかも、きっと分かってないと思うの。大丈夫だと思うから、泣くのをやめて?」
「マイセル、分かるのか? 何がどうなってるんだ?」
俺の方こそ、マイセルにすがり付く勢いで聞いたよ!
マイセルは、もはや人目もはばからず泣きじゃくっているフェルミの肩を抱くようにして、教えてくれた。
「フェルミだけを親戚に合わせないってことは、つまり、彼女を一族として認めないってことですよ?」
なぜそうなる。俺は彼女が無理だと言ったから、それを尊重しようとしただけなのに。
「本当に、お仕事に関してはすごく頭が回るひとなのに……。どうして女の子の気持ちは分かってくれないんですか」
マイセルが、特大のため息をつきながら続けた。
「ムラタさんが親戚に会わせないって決めたってことは、つまり主のムラタさんがフェルミのことを認めないって言ったも同然じゃないですか」
「い、いや、そんな……」
「『そんな』、なんですか?」
マイセルの目が座っている。
……怖い!
「第一夫人のリトリィ姉さまが認めてくださっても、ムラタさんに拒絶されたなら、フェルミにはもう、居場所が無くなったも同然なんです。特にフェルミは、式も挙げていない、不安定な立場なんですから。『帰りたいならさっさと帰れ』って、売り言葉に買い言葉なのでしょうけど、フェルミにとって、それがどれほど重い言葉だったか。もっと察してあげてください」
……知らん! そんな風習、知らんですよ!
だが、マイセルの座った目の迫力に、声が出ない。
「もしかしたら、そこまで考えが回っていなかったのかもしれないですけど、ムラタさんの言葉には、それだけの力があったってことなんです。いくらなんでも、そんな可哀想なことをしないでください」
いや、だから、「親戚に会わせないってことは一族として認めない」なんて、そんな風習、知らなかっただけだから!
しかし、そう言おうと思ったけどやめた。いずれにしても、フェルミの軽口に大真面目に返答した結果、彼女を泣かせたんだ。
彼女は、単に「想像以上に大変そうだ」という意味で、「帰ってもいいか」と茶化したつもりだったのだ。
俺が「そんなこと言わずに一緒に行こう」などと励ましてくれるだろうと思って。もしかしたら、何らかの配慮を引き出せるという期待もあったのかもしれない。
だが、俺がフェルミの弱気に「配慮をして」あっさりと帰っていいと返事をしてしまった。また帰る手段が整っていることもあって、俺は意見を引っ込めなかった。
だけど、そんなことを「理解しろ」だなんて言われても! リトリィと交際するようになってから女性について少しは理解できるようになってきたつもりだったけど、やっぱり分からないよ、風習も絡めた女心ってのは!
「分からないなんて言わないでください。ムラタさん、あなたはヒノモト一家の主なんですよ? しっかりしてください」
そうだよな、そもそもマイセルからして、俺の勘違いから始まってるんだし!
ああ分かったよ、日々これ勉強! 理解に努めますとも!
すると、リトリィがすこし、困ったような顔で微笑んでみせた。
「……あまり、そんなにわからなくてもいいですよ?」
「お姉さま、そんな甘やかすようなことしてると、また泣くことになっちゃいますよ?」
マイセルがあきれてみせるが、リトリィはやっぱり困ったような笑顔で、続けたのだった。
「だって……だんなさまのことは、わたしたちが分かってあげていれば、それでいいことですから。あんまり女心にくわしくなられると、……また、奥さんが増えそうで、こわくて……」
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