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第六部 異世界建築士とよろこびのうた
第657話:あなどれぬ存在
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「神さま……キーファウンタさまっ! どうか……どうか、だんなさまの仔を、おさずけ、ください……っ!」
彼女が絶頂を迎えた瞬間だった。
あぐらを組んだ上にリトリィを乗せるような座位で愛し合っていた俺は、絞め殺されるかのようにめちゃくちゃ強い力で抱きしめられた。
彼女のふわとろ豊満おっぱいが、口を、鼻を覆い尽くし、彼女が絶頂の余韻に浸っている間、俺を窒息に追い込む!
早くリトリィに子供を産ませないと、腎虚で死ぬ前におっぱいで窒息して死ぬっていうか、いやマジで死ぬ!
♥・―――――・♥・―――――・♥
内容は次の【閑話27:おとこを包む、ぬくもりの差】にて。
※性的な描写あり。読まなくても支障はありません。
※読む必要がない場合は、「次の話」で飛ばしてください。
♥・―――――・♥・―――――・♥
行為後の心地よいけだるさのなかで、俺は間違いないと確信していた。
──リトリィの体温が下がっている。
もともとリトリィは体温が高く、彼女の胎内に深く入ると、本当に「熱い」と感じたものだ。局所だけ40度以上の熱めの風呂に入れた感じ、と言ったら通じるだろうか。
それなのに、今夜はマイセルの中とあまり変わらないのだ。女の胎内の温度を抱き比べる、なんて言ったら俺がどうしようもない屑野郎に思えてきて嫌なんだが、今夜は確かに、リトリィの胎内を「熱い」とは感じなかった。
リトリィとマイセルとを抱き合わせ、交互にそのぬくもりを確かめるようにして愛し合ってみたのだから、その体温の差の「無さ」は確かだ。
「ムラタさん、そんなにじろじろ見て、どうかしたんですか?」
俺の右半身に絡みつくようにしているマイセルが、少し恥じらうような素振りを見せる。そのとき自分が、二人を見比べるようにしていたことに気づいた。
「……あ、いや、その……すまない、不躾だった」
「いいえ? だんなさまになら、わたしはいくらでも」
反対側で、やはり体を絡みつかせながら微笑むリトリィに、俺は苦笑いする。昼間は暑いが日が暮れるとそうでもないこの世界の夏は、日本より過ごしやすい。こうして妻二人がサンドイッチのように体を密着させてきても、寝苦しいほどでもないというのがいい。
それにしても、こうして両側から抱き抱えられていてもなんとなく感じられるのが、二人の体温の差だ。
妊娠していない時のぬくもりを比べた場合、体温が高い順はリトリィ、フェルミ、そしてマイセルとなる。
けれど今夜は、特に胎内の温度について、明らかにリトリィとマイセルがほぼ同じ──つまり、「体温が低かった」のだ。
──もしかして、オバゥギナ──茄子の効能は、この「体温の低下」なのではないだろうか。体温のような自律調整機能を低下させるせいで体が重く感じるとか、そんなような。
たしか「秋茄子は嫁に食わすな」ってことわざがあって、一般的な意味は「美味いものだから嫁に食わすなんてもったいない」という姑の嫁いびりだったはず。
だけどもう一つの意味があって、それが「茄子は漢方的発想によると体を冷やす食べ物だから、子を産む大切な嫁に食べさせすぎてはいけない」という戒めだった気がする。
漢方うんぬんはともかく、茄子で本当に「体温を下げる」効果が得られるのだとしたら。昔の人の知恵というものは、あれでなかなか侮れないところがある。
マイセルとは子供を作れたし、フェルミなんて俺より一つ年下で、一般的に獣人族としてはもう妊娠は望めないとされる年齢だったのに子供ができた。ということは、リトリィとだってできるはずなんだ。
もちろん、彼女の高い体温が、俺との子がなかなかできない主因であるとは限らない。ただ、一つ仮説を立てるなら。
初めてリトリィと結ばれたとき、それが俺の初めての女性経験でもあったから比較対象もなくて、これが女性の胎内なのかと、その熱さに感動したものだ。だけど、マイセルとも愛し合うようになって、獣人族の女性は明らかに体温が高いことが分かった。
そのことと妊活との関係を考えたことは今までなかったけれど、ひょっとして獣人族の女性が妊娠しにくいのは、体温の高さが関係しているのではないだろうか。俺の精子が、リトリィの胎内の高温に長時間は耐えられないとか、そんなような。
フェルミについては、俺と愛し合ったすぐあとで重傷を負い、しばらく生死の境をさまよった。医者は「極限の状態が生存本能を高めたかもしれない」とか言っていた気がするが、かなり血を流していたし、それで下がった体温が、たまたま受精に有利に働いたということも考えられる。
もちろん、たった今思いついただけのことだ。明確な臨床データがあるわけでもない。
けれど、瀧井さん夫妻の話を思い出してみると、子供ができたのはいずれも夏だということだった。
そして、茄子は夏の野菜で、しかもペリシャさんの好物。そしてペリシャさんは、リトリィほどではないにしろ純粋な獣人族に近い女性でありながら、たしか四人の子宝に恵まれたひとだ。たかが野菜と侮ることはできない。
もうすぐ藍月の夜──獣人族の子作りの夜がくる。
俺に、「愛する人に愛される幸せ」を与えてくれたリトリィへ贈る最大の恩返しは、俺との子を望む彼女の希望に応えること。
今までどう愛し合っても子供ができなかった俺とリトリィだ。他に有効な手を知っているわけでもない。ならば、茄子が食べられる夏の間だけの、期間限定のチャンスを試してみる価値は、十分にあるかもしれない。
彼女が絶頂を迎えた瞬間だった。
あぐらを組んだ上にリトリィを乗せるような座位で愛し合っていた俺は、絞め殺されるかのようにめちゃくちゃ強い力で抱きしめられた。
彼女のふわとろ豊満おっぱいが、口を、鼻を覆い尽くし、彼女が絶頂の余韻に浸っている間、俺を窒息に追い込む!
早くリトリィに子供を産ませないと、腎虚で死ぬ前におっぱいで窒息して死ぬっていうか、いやマジで死ぬ!
♥・―――――・♥・―――――・♥
内容は次の【閑話27:おとこを包む、ぬくもりの差】にて。
※性的な描写あり。読まなくても支障はありません。
※読む必要がない場合は、「次の話」で飛ばしてください。
♥・―――――・♥・―――――・♥
行為後の心地よいけだるさのなかで、俺は間違いないと確信していた。
──リトリィの体温が下がっている。
もともとリトリィは体温が高く、彼女の胎内に深く入ると、本当に「熱い」と感じたものだ。局所だけ40度以上の熱めの風呂に入れた感じ、と言ったら通じるだろうか。
それなのに、今夜はマイセルの中とあまり変わらないのだ。女の胎内の温度を抱き比べる、なんて言ったら俺がどうしようもない屑野郎に思えてきて嫌なんだが、今夜は確かに、リトリィの胎内を「熱い」とは感じなかった。
リトリィとマイセルとを抱き合わせ、交互にそのぬくもりを確かめるようにして愛し合ってみたのだから、その体温の差の「無さ」は確かだ。
「ムラタさん、そんなにじろじろ見て、どうかしたんですか?」
俺の右半身に絡みつくようにしているマイセルが、少し恥じらうような素振りを見せる。そのとき自分が、二人を見比べるようにしていたことに気づいた。
「……あ、いや、その……すまない、不躾だった」
「いいえ? だんなさまになら、わたしはいくらでも」
反対側で、やはり体を絡みつかせながら微笑むリトリィに、俺は苦笑いする。昼間は暑いが日が暮れるとそうでもないこの世界の夏は、日本より過ごしやすい。こうして妻二人がサンドイッチのように体を密着させてきても、寝苦しいほどでもないというのがいい。
それにしても、こうして両側から抱き抱えられていてもなんとなく感じられるのが、二人の体温の差だ。
妊娠していない時のぬくもりを比べた場合、体温が高い順はリトリィ、フェルミ、そしてマイセルとなる。
けれど今夜は、特に胎内の温度について、明らかにリトリィとマイセルがほぼ同じ──つまり、「体温が低かった」のだ。
──もしかして、オバゥギナ──茄子の効能は、この「体温の低下」なのではないだろうか。体温のような自律調整機能を低下させるせいで体が重く感じるとか、そんなような。
たしか「秋茄子は嫁に食わすな」ってことわざがあって、一般的な意味は「美味いものだから嫁に食わすなんてもったいない」という姑の嫁いびりだったはず。
だけどもう一つの意味があって、それが「茄子は漢方的発想によると体を冷やす食べ物だから、子を産む大切な嫁に食べさせすぎてはいけない」という戒めだった気がする。
漢方うんぬんはともかく、茄子で本当に「体温を下げる」効果が得られるのだとしたら。昔の人の知恵というものは、あれでなかなか侮れないところがある。
マイセルとは子供を作れたし、フェルミなんて俺より一つ年下で、一般的に獣人族としてはもう妊娠は望めないとされる年齢だったのに子供ができた。ということは、リトリィとだってできるはずなんだ。
もちろん、彼女の高い体温が、俺との子がなかなかできない主因であるとは限らない。ただ、一つ仮説を立てるなら。
初めてリトリィと結ばれたとき、それが俺の初めての女性経験でもあったから比較対象もなくて、これが女性の胎内なのかと、その熱さに感動したものだ。だけど、マイセルとも愛し合うようになって、獣人族の女性は明らかに体温が高いことが分かった。
そのことと妊活との関係を考えたことは今までなかったけれど、ひょっとして獣人族の女性が妊娠しにくいのは、体温の高さが関係しているのではないだろうか。俺の精子が、リトリィの胎内の高温に長時間は耐えられないとか、そんなような。
フェルミについては、俺と愛し合ったすぐあとで重傷を負い、しばらく生死の境をさまよった。医者は「極限の状態が生存本能を高めたかもしれない」とか言っていた気がするが、かなり血を流していたし、それで下がった体温が、たまたま受精に有利に働いたということも考えられる。
もちろん、たった今思いついただけのことだ。明確な臨床データがあるわけでもない。
けれど、瀧井さん夫妻の話を思い出してみると、子供ができたのはいずれも夏だということだった。
そして、茄子は夏の野菜で、しかもペリシャさんの好物。そしてペリシャさんは、リトリィほどではないにしろ純粋な獣人族に近い女性でありながら、たしか四人の子宝に恵まれたひとだ。たかが野菜と侮ることはできない。
もうすぐ藍月の夜──獣人族の子作りの夜がくる。
俺に、「愛する人に愛される幸せ」を与えてくれたリトリィへ贈る最大の恩返しは、俺との子を望む彼女の希望に応えること。
今までどう愛し合っても子供ができなかった俺とリトリィだ。他に有効な手を知っているわけでもない。ならば、茄子が食べられる夏の間だけの、期間限定のチャンスを試してみる価値は、十分にあるかもしれない。
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