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厳しい現実
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アミが16歳の頃。当時高校生だったアミはクラスメイトとライブハウスでバンド活動をしていた。当時から卓越した歌唱力を披露していたそうだ。アミのバンドは人気があったという。
ある日、そのライブハウスで声を掛けられた。その人はインディーズのレコード会社の社員さんだった。アミはスカウトされ、学業と両立しながら活動を始めた。当時、アミが歌手として活動していることを知っていたのは店長と彼女の家族、先生だけだった。生徒には言わなかったという。
アミが18歳の時、メジャーデビューの話が来た。アミは高校卒業と同時に契約を交わし、活動をスタートした。
だが、CDはなかなか売れなかった。アミは厳しい現実を突きつけられた。曲を作っても作ってもヒットとはいかず、鳴かず飛ばずだった。
だが、アミの曲のよさに気付いていた店長が精力的に宣伝してくれた。その宣伝を目にした客がアミの曲を視聴し、そのよさに気付き、徐々にCDが売れていった。
その後、店長のCDショップに来る客の間でアミは有名になった。そこからこのショップで開催されるステージに立つようになった。最初は十数人ほどだったが、徐々に増え始め、50人以上が来てくれるようになった。
アミにとって「アミちゃん」そう呼んでくれるファンの存在がとても有難かった。応援してくれるファンのためにアミは歌い続けた。
しかし、アミが20歳の時。さらに厳しい現実を突きつけられる。そう、契約終了の話が出たのだ。レコード会社と所属事務所から。アミはレコード会社と所属事務所の社員からその話を直接伝えられた。アミは一瞬現実を受け止めることができなかった。その日家に帰ってしばらく落ち込んだという。どんなに歌が上手くても、どんなにいい曲を作っても、聴いてくれる人がいなければCDは売れない。これが現実だ。しかし、いつまでも落ち込んでいられないと思い「いつか誰かが私の存在に気付いてくれる」その思いを持ちながらアミは曲作りに励んだ。
それから数日経ったこの日のイベントの帰り、アミが店長に契約終了の話が出たことを伝えたそうだ。店長はその話を聞いて寂しそうな表情を浮かべ「そうか…」と落ち込んだ様子を見せた。店長が事務室に戻ってきた時の表情はそのことがあったからだった。
しばらくして、店長が事務室に戻ってパソコン前の椅子に座った。下を向いていた僕に店長が声を掛けた。「コウちゃん、そう落ち込むな。さっきも言ったがまだ決まったわけじゃない。まだチャンスは残ってる。応援しよう!」店長の声はとても力強かった。まるでアミがこの状況になんか負けるわけがないと思わせるぐらいに。「うん!」僕は涙声でそう答えた。
家に着き、自分の部屋に入った。アミの曲を流し、CDジャケットを眺めながら「こんなにいい曲なのに…」と心の中で呟いた。「ごはんできたよ」母に呼ばれ下に降りた。椅子に座ったが、その日はなんだか夕食が喉を通らなかった。
2週間後、アミがライブを開催することを発表した。初めてアミに会ったあのホールにも来る。来月の中旬だ。店長は僕の分のチケットも取ってくれた。
ライブ当日、僕は店長の車でホールに向かった。「よし、行くぞ」今回は開場時間近くに着くように出発した。
駐車場に着くと、長い列ができているのが見えた。僕達は車を降り、列に並んだ。
開場時間になり、列は動き出した。僕は初めてライブに行った時のようにワクワクと緊張に襲われた。
会場に入った。今回の席は1階の右端10列目の場所だった。僕たちは席に着き、開演を待った。
18時を少し過ぎた頃、会場が暗くなった。そして、ドラムの音に続いてギターとベースの音が聞こえた。
そしてステージを照明が照らした。そして笑顔で登場するアミの姿が目に映った。アップテンポの曲を歌い、客席を盛り上げた。
2曲目を歌う前、一瞬だけアミと目が合った。その目はなんだか悲しそうに見えた。「アミ…。どうしたんだ…?」店長もアミの様子に気付いたようだ。そして、2曲目のミディアムナンバーを歌い始めた。しかし、歌い始めるとそのような表情は見せなかった。
MCの時間。アミは笑顔を交えてトークをした。先ほど見せた悲しそうな表情はなかった。
開演から2時間以上が経ち、最後の曲になった。すると、再びアミが一瞬だけ悲しそうな表情をこちらに見せていた。「アミちゃん…?」僕は気になってしまい、最後の曲にうまくノることができなかった。
歌い終わり、アミが挨拶をしにステージから降りた。アミは笑顔でファンに対応していた。アミは僕を見つけると、小さく手を振った。だがその笑顔は少しぎこちなかった。「何か変だ…」挨拶が終わり、アミは舞台裏に下がった。
会場を出て車に乗った。僕は車の中でアミの様子について店長に話した。すると「コウちゃんも気付いたか…。何かあったのかな…」「心配だね…」車内に流れるアミの曲が悲しく聴こえた。
翌月、2人はアミから真実を聞かされる。
ある日、そのライブハウスで声を掛けられた。その人はインディーズのレコード会社の社員さんだった。アミはスカウトされ、学業と両立しながら活動を始めた。当時、アミが歌手として活動していることを知っていたのは店長と彼女の家族、先生だけだった。生徒には言わなかったという。
アミが18歳の時、メジャーデビューの話が来た。アミは高校卒業と同時に契約を交わし、活動をスタートした。
だが、CDはなかなか売れなかった。アミは厳しい現実を突きつけられた。曲を作っても作ってもヒットとはいかず、鳴かず飛ばずだった。
だが、アミの曲のよさに気付いていた店長が精力的に宣伝してくれた。その宣伝を目にした客がアミの曲を視聴し、そのよさに気付き、徐々にCDが売れていった。
その後、店長のCDショップに来る客の間でアミは有名になった。そこからこのショップで開催されるステージに立つようになった。最初は十数人ほどだったが、徐々に増え始め、50人以上が来てくれるようになった。
アミにとって「アミちゃん」そう呼んでくれるファンの存在がとても有難かった。応援してくれるファンのためにアミは歌い続けた。
しかし、アミが20歳の時。さらに厳しい現実を突きつけられる。そう、契約終了の話が出たのだ。レコード会社と所属事務所から。アミはレコード会社と所属事務所の社員からその話を直接伝えられた。アミは一瞬現実を受け止めることができなかった。その日家に帰ってしばらく落ち込んだという。どんなに歌が上手くても、どんなにいい曲を作っても、聴いてくれる人がいなければCDは売れない。これが現実だ。しかし、いつまでも落ち込んでいられないと思い「いつか誰かが私の存在に気付いてくれる」その思いを持ちながらアミは曲作りに励んだ。
それから数日経ったこの日のイベントの帰り、アミが店長に契約終了の話が出たことを伝えたそうだ。店長はその話を聞いて寂しそうな表情を浮かべ「そうか…」と落ち込んだ様子を見せた。店長が事務室に戻ってきた時の表情はそのことがあったからだった。
しばらくして、店長が事務室に戻ってパソコン前の椅子に座った。下を向いていた僕に店長が声を掛けた。「コウちゃん、そう落ち込むな。さっきも言ったがまだ決まったわけじゃない。まだチャンスは残ってる。応援しよう!」店長の声はとても力強かった。まるでアミがこの状況になんか負けるわけがないと思わせるぐらいに。「うん!」僕は涙声でそう答えた。
家に着き、自分の部屋に入った。アミの曲を流し、CDジャケットを眺めながら「こんなにいい曲なのに…」と心の中で呟いた。「ごはんできたよ」母に呼ばれ下に降りた。椅子に座ったが、その日はなんだか夕食が喉を通らなかった。
2週間後、アミがライブを開催することを発表した。初めてアミに会ったあのホールにも来る。来月の中旬だ。店長は僕の分のチケットも取ってくれた。
ライブ当日、僕は店長の車でホールに向かった。「よし、行くぞ」今回は開場時間近くに着くように出発した。
駐車場に着くと、長い列ができているのが見えた。僕達は車を降り、列に並んだ。
開場時間になり、列は動き出した。僕は初めてライブに行った時のようにワクワクと緊張に襲われた。
会場に入った。今回の席は1階の右端10列目の場所だった。僕たちは席に着き、開演を待った。
18時を少し過ぎた頃、会場が暗くなった。そして、ドラムの音に続いてギターとベースの音が聞こえた。
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2曲目を歌う前、一瞬だけアミと目が合った。その目はなんだか悲しそうに見えた。「アミ…。どうしたんだ…?」店長もアミの様子に気付いたようだ。そして、2曲目のミディアムナンバーを歌い始めた。しかし、歌い始めるとそのような表情は見せなかった。
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歌い終わり、アミが挨拶をしにステージから降りた。アミは笑顔でファンに対応していた。アミは僕を見つけると、小さく手を振った。だがその笑顔は少しぎこちなかった。「何か変だ…」挨拶が終わり、アミは舞台裏に下がった。
会場を出て車に乗った。僕は車の中でアミの様子について店長に話した。すると「コウちゃんも気付いたか…。何かあったのかな…」「心配だね…」車内に流れるアミの曲が悲しく聴こえた。
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