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あの日の恋の続き
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全校生徒の前でステージに立った。表彰ではない。転校の発表のためだ。先生の口から僕が転校することが全校生徒に伝えられた。
その日の放課後。友人がくれた手紙やお菓子を大事に袋へ入れた。
すると
「裕次郎…」
声を掛けてきたのはクラスメイトの里恵。三つ編みの女の子だ。僕と里恵は一緒に遊ぶほどの仲だ。
里恵は寂しそうな表情を浮かべていた。
「もう遊べなくなっちゃうね…」「うん…。寂しくなっちゃう…。でも、もしかしたらどこかで会えるかもしれないし…」「そうだよね。その時はまた遊ぼうね!」「うん!」
里恵はその日、僕を家まで見送ってくれた。僕はその翌日に引越し、2日後に新しい学校での生活が始まった。新しい学校に馴染めるかどうか心配だったが、みんな気さくに接しくてくれ、すぐに打ち解けることができた。
そんなある日、クラスメイトの男の子がこう尋ねた。
「裕次郎って好きな女の子いるの?」
その質問に僕はこう答えた。
「いるんだけどね。今は会えないんだ」「えっ、誰なの?」「えっ…。恥ずかしい…」「いいじゃん!教えてよ!」
僕は好きな人を伝えた。
「もう無理なんじゃない?」「そうかなあ…」「諦めたほうがいいって」「でも…」
僕にはまだあの子のへの情があったのだろう。その後、気になる女の子はできたが、好きという感情は生まれなかった。
それから月日が経ち、僕は高校生になった。入学した高校には転校する前の小学校時代のクラスメイトだった男の子がいた。その男の子は僕に気付いてくれた。
「裕次郎!」「おお!覚えててくれたんだ」「面影が残ってるからな」
彼の名前は康太。僕は彼からある話を聞いた。
「理恵っていたじゃん。裕次郎が転校してからすごく寂しそうにしててさ。中学に上がってからも『裕次郎に会いたいな』って言ってたんだよ」「え…」
赤くなった僕を見て、康太は続けた。
「よかったな!」「何がだよ!」「好かれてて!」「う、うん…」
僕は俯いてしまった。
「たまに会うんだけどな、里恵と。電車に乗るといつも誰かを探しているみたいなんだ。誰を探していたんだろうな」
そう言うと、康太はお手洗いへ向かった。
僕は教室の窓から空を眺めていた。また会える日は来るだろうか。そんなことを思い、日々を過ごしていた。
それからさらに月日が経ち、僕は25歳になった。会社員として日々働いている。
12月のある日、僕は仕事終わりに街を歩いていた。
すると、どこからか視線を感じた。誰だろうか。周りを見渡したが僕に視線を向ける人の姿はなかった。気のせいだったのだろうか。
しばらく歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。僕は声のする方へ視線を向けた。
「里恵ちゃんって恋人いないの?」「いないんですよ!」「いそうなのに。好きな人はいるの?」「いますけど、なかなか会えなくて…」「誰?気になるじゃん!」「秘密です!」「ずるい!」
(里恵…?)
僕はその名前に思わず反応してしまった。
(もしかして…)
いや、そんなことはない。そう思い、僕はその場を通り過ぎた。
すると、後ろから視線を感じた。僕を引き留めるかのような視線を。そして僕の背後からこう聞こえてきた。
「裕次郎?」
僕はその声で振り向いた。立っていたのはポニーテールの女性。だが、初めて会った気がしなかった。
(あれ…。もしかして…)
僕は先ほど聞こえた声でピンときた。
あの子だ。
「間違ってたら申し訳ないけど、もしかして、里恵?」
そう尋ねると、女性は笑顔で頷いた。
里恵だった。
里恵は僕へ駆け寄った。
「裕次郎!元気だった?」「うん!里恵も元気そうで!」
2人でしばらく談笑した。すると、里恵の表情が変わり、僕の手に触れた。
「嬉しいな…。またこうやってお話しできて…。もう会えないと思ってたから…」
そう言うと、里恵は僕の目を見つめた。僕はしばらく動くことができなかった。
すると、里恵が僕に抱きつき、こう言った。その瞬間、僕の鼓動は高鳴った。
「また、一緒に遊んでくれる…、よね…?」
僕はこう返した。
「もちろん…」
そして、里恵の両肩に手を置いた。それと同時に雪が降ってきた。まるで、僕達の再会を祝うかのように。
月日は経ち、夏の日差しが降り注ぐ7月。僕はある女性とドライブをした。助手席に女性を乗せ、会話を楽しみながらある場所へ向かった。
1時間以上車を走らせると、右手にきれいな海が見えた。
海の近くにある駐車場へ車をとめ、歩いた。僕達は石段へ腰掛け、海を眺めていた。
「もう夏だね」「あっという間だったな」「この前再会したと思ったのにね」「もう7月なんだな…」
僕は再会した時のことを思い出していた。あれは偶然だったのだろうか。
しばらく沈黙が続き、女性が小さい声でこう呟いた。
「ずっと一緒にいたいな…」
女性は微笑みながら海を眺めていた。僕はかすかに聞こえた女性の声に反応し、彼女に目を配った。だが、特に何も言わず、2人で海を眺めた。
僕達の後姿は他の海水浴客からはどう見えていただろうか。しばらくすると、夏の眩しい太陽の日差しが僕達を照らした。
それから5か月後。
「私の手、冷たいでしょ?」「心の温かさは伝わってるよ」「ふふ!ありがとう」
僕はある女性と交際を始めた。
「寂しかったんだから…。転校しちゃってから…」「俺も…」
手を繋ぎ、笑顔を交えながら雪の降る街を歩いた。
小学生の頃から大好きで、1年前にこの街で再会したあの女性と…。
その日の放課後。友人がくれた手紙やお菓子を大事に袋へ入れた。
すると
「裕次郎…」
声を掛けてきたのはクラスメイトの里恵。三つ編みの女の子だ。僕と里恵は一緒に遊ぶほどの仲だ。
里恵は寂しそうな表情を浮かべていた。
「もう遊べなくなっちゃうね…」「うん…。寂しくなっちゃう…。でも、もしかしたらどこかで会えるかもしれないし…」「そうだよね。その時はまた遊ぼうね!」「うん!」
里恵はその日、僕を家まで見送ってくれた。僕はその翌日に引越し、2日後に新しい学校での生活が始まった。新しい学校に馴染めるかどうか心配だったが、みんな気さくに接しくてくれ、すぐに打ち解けることができた。
そんなある日、クラスメイトの男の子がこう尋ねた。
「裕次郎って好きな女の子いるの?」
その質問に僕はこう答えた。
「いるんだけどね。今は会えないんだ」「えっ、誰なの?」「えっ…。恥ずかしい…」「いいじゃん!教えてよ!」
僕は好きな人を伝えた。
「もう無理なんじゃない?」「そうかなあ…」「諦めたほうがいいって」「でも…」
僕にはまだあの子のへの情があったのだろう。その後、気になる女の子はできたが、好きという感情は生まれなかった。
それから月日が経ち、僕は高校生になった。入学した高校には転校する前の小学校時代のクラスメイトだった男の子がいた。その男の子は僕に気付いてくれた。
「裕次郎!」「おお!覚えててくれたんだ」「面影が残ってるからな」
彼の名前は康太。僕は彼からある話を聞いた。
「理恵っていたじゃん。裕次郎が転校してからすごく寂しそうにしててさ。中学に上がってからも『裕次郎に会いたいな』って言ってたんだよ」「え…」
赤くなった僕を見て、康太は続けた。
「よかったな!」「何がだよ!」「好かれてて!」「う、うん…」
僕は俯いてしまった。
「たまに会うんだけどな、里恵と。電車に乗るといつも誰かを探しているみたいなんだ。誰を探していたんだろうな」
そう言うと、康太はお手洗いへ向かった。
僕は教室の窓から空を眺めていた。また会える日は来るだろうか。そんなことを思い、日々を過ごしていた。
それからさらに月日が経ち、僕は25歳になった。会社員として日々働いている。
12月のある日、僕は仕事終わりに街を歩いていた。
すると、どこからか視線を感じた。誰だろうか。周りを見渡したが僕に視線を向ける人の姿はなかった。気のせいだったのだろうか。
しばらく歩いていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。僕は声のする方へ視線を向けた。
「里恵ちゃんって恋人いないの?」「いないんですよ!」「いそうなのに。好きな人はいるの?」「いますけど、なかなか会えなくて…」「誰?気になるじゃん!」「秘密です!」「ずるい!」
(里恵…?)
僕はその名前に思わず反応してしまった。
(もしかして…)
いや、そんなことはない。そう思い、僕はその場を通り過ぎた。
すると、後ろから視線を感じた。僕を引き留めるかのような視線を。そして僕の背後からこう聞こえてきた。
「裕次郎?」
僕はその声で振り向いた。立っていたのはポニーテールの女性。だが、初めて会った気がしなかった。
(あれ…。もしかして…)
僕は先ほど聞こえた声でピンときた。
あの子だ。
「間違ってたら申し訳ないけど、もしかして、里恵?」
そう尋ねると、女性は笑顔で頷いた。
里恵だった。
里恵は僕へ駆け寄った。
「裕次郎!元気だった?」「うん!里恵も元気そうで!」
2人でしばらく談笑した。すると、里恵の表情が変わり、僕の手に触れた。
「嬉しいな…。またこうやってお話しできて…。もう会えないと思ってたから…」
そう言うと、里恵は僕の目を見つめた。僕はしばらく動くことができなかった。
すると、里恵が僕に抱きつき、こう言った。その瞬間、僕の鼓動は高鳴った。
「また、一緒に遊んでくれる…、よね…?」
僕はこう返した。
「もちろん…」
そして、里恵の両肩に手を置いた。それと同時に雪が降ってきた。まるで、僕達の再会を祝うかのように。
月日は経ち、夏の日差しが降り注ぐ7月。僕はある女性とドライブをした。助手席に女性を乗せ、会話を楽しみながらある場所へ向かった。
1時間以上車を走らせると、右手にきれいな海が見えた。
海の近くにある駐車場へ車をとめ、歩いた。僕達は石段へ腰掛け、海を眺めていた。
「もう夏だね」「あっという間だったな」「この前再会したと思ったのにね」「もう7月なんだな…」
僕は再会した時のことを思い出していた。あれは偶然だったのだろうか。
しばらく沈黙が続き、女性が小さい声でこう呟いた。
「ずっと一緒にいたいな…」
女性は微笑みながら海を眺めていた。僕はかすかに聞こえた女性の声に反応し、彼女に目を配った。だが、特に何も言わず、2人で海を眺めた。
僕達の後姿は他の海水浴客からはどう見えていただろうか。しばらくすると、夏の眩しい太陽の日差しが僕達を照らした。
それから5か月後。
「私の手、冷たいでしょ?」「心の温かさは伝わってるよ」「ふふ!ありがとう」
僕はある女性と交際を始めた。
「寂しかったんだから…。転校しちゃってから…」「俺も…」
手を繋ぎ、笑顔を交えながら雪の降る街を歩いた。
小学生の頃から大好きで、1年前にこの街で再会したあの女性と…。
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