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「弱者男性優先座席」
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「弱者男性優先座席」
とある平日の朝。
いつもの通勤電車。
女性専用車両の端っこに、茶色の座席があり、その真ん中に年の頃は四十すぎくらいのしょぼくれた男性が座っている。
低い身長、小太りの腹、不健康そうな肌色。
たいして特徴があるわけでもなく、どこにでもいるような高齢男性。
今風の言葉で言えば、弱者男性というやつか。
「ハァハァ……」
息を荒くしているその男性は、薄汚れたズボンとパンツを膝まで脱いで周りの乗客を見ながら股間を擦っている。
まんま、痴漢である。
女性専用車両にこんな人がいれば、すぐにでも車掌に連絡がいって逮捕されそうなものだが、周りの女性はみんな嫌そうに顔を背けるだけで特に目立った反応はしなかった。
「お手伝いしましょうか」
男性に凛とした涼やかな声でそう声をかけたのは、大手広告代理店の受付嬢をしている二十二歳の新人OL。
三ツ葉桃香であった。
桃香のまとう清楚な雰囲気のせいか、ブラウスの胸元を大きく膨らませる豊かな98センチJカップのオッパイも決して下品には見えない。
紺色のスカートから伸びる長い脚は、美しい脚線を描く。
どこにも乱れの見えない制服の着こなしは、まさに大企業の受付にふさわしい美女であった。
その茶色がかったつぶらな瞳が、男を見つめている。
場違いな男が腰掛けているのは、『弱者男性優先座席』と呼ばれるものである。
四十を過ぎて童貞であり、弱者男性として虐げられている人を対象にして、福祉目的で設置されている座席である。
これまでもこれからも童貞であり、子孫を残せないであろう弱者男性にせめてもの性欲処理の機会を与えるために、この座席において自慰行為が認められている。
女性は、思いやりをもってその自慰行為を助けるもの……とされているが、そんな義務はない。
当然ながら、弱者男性のオナニーを助けようとする奇特な女性などほどんといないのだが、桃香は例外だった。
生粋のお嬢様である彼女は、女子大でも四年間ボランティア部に所属しており、こういう社会問題の解決に積極的だった。
むしろ、普段は話すことができない弱者男性とコミュニケーションできる経験を貴重なものとすら思っている。
慈愛の微笑みを浮かべた桃香に、男は言った。
「じゃあ、パンツ見せて……あ、あとおっぱいも」
不躾な言葉に、桃香は嫌な顔一つ見せず、白いブラウスの胸元のボタンを外していき、ブラジャーを押し下げてJカップ98センチの巨乳を露わにする。
巨乳にもかかわらず、乳輪は小さく乳首はほんのりとピンク色である。
男の元に、甘い香りが漂ってくる。
「ひゅ~」
男は、股間のいちもつを激しくこすりながら、器用にも口笛を拭いた。
その下品な態度を見ても、桃香は微笑みを絶やさず、紺色のスカートを自ら手でめくりあげた。
レースも鮮やかな純白のパンティー。
ヨーロピアンブランドの高級品である。
透き通るような絹の布地に、うっすらと綺麗に整えられた陰毛の陰りが見える。
「これでよろしいですか」
「ああ、よろしい……うっ!」
男はそのまま射精してしまった。
ここで、初めて桃香は慌てる。
自分の足に向けて、どぴゅるるーっ! と、精液が飛んできたからではない。
「あっ、そのままイッてしまわれたんですか!」
桃香は慌てて、ティッシュを取り出して太ももにかかった精液よりも先に、男のズボンを拭いてやる。
剥き出しになったおっぱいを揺らしながら、桃香は男のズボンを綺麗にしてやると、続いて自分の足も拭いていく。
その間、男は食い入るような目つきで、桃香のおっぱいと、美しい顔を交互に眺めていた。
粗相をしたのに、謝りもしない。
「……」
「まだ自慰を続けられるんですか」
「ああ……」
「でしたら、このティッシュをお使いください。お洋服が汚れてしまってはいけませんので」
ティッシュを差し出す桃香のほっそりとした手を、男はギュッと掴む。
「あの……」
いちもつをしごいていた手で、じっと桃香の手を撫で回す。
もう自慰行為をしないならそれでもいいのだが、手を一向に話してくれず、桃香は当惑する。
「あのさあ、おっぱいにぶっかけてもいいか?」
男の要求に面くらいながらも、桃香は断りを入れる。
「申し訳ありません。これから私も仕事ですので、服が汚れると困るんです」
そう言うと、男はため息をつく。
あくまでも女性が善意でやってることなので、自分勝手な男と言えども無理強いはできないのだ。
そういうルールで成り立っているのが、この『弱者男性優先座席』なのである。
「じゃあ、そのでかいパイオツを揉ませてくれよ」
「パイオツ?」
「おっぱいだよ、おっぱい。お前がさっきから俺の目の前でぶらぶら揺らして誘惑してきてるやつだよ」
「あ、それでしたらどうぞ」
桃香がそう言うが早いか、男は両方の手で桃香のおっぱいを強く握りしめる。
「……イタタタタッ! ちょっと待ってください! 力強すぎ!」
加減を知らない男は、全力で桃香のロケットおっぱいを握りつぶすようにしてきたのだ。
「なんだよ。気持ちいいんだろう!」
「痛い! 痛いですから! やめて!」
「このデカ乳が悪いんだぞ! 彼氏に毎晩揉ませてるくせによぉ!」
「彼氏なんかいません! ちょっと本当に待ってください!」
桃香の答えを聞いて、男の手が止まる。
「こんなでかい乳してるOLが彼氏いないわけないだろ。なんなら、二股かけて上司と浮気とかしてるんじゃないかこのビッチが!」
とんでもない偏見だ。
「ほんとに彼氏はいません。会社に入ったばかりだし、そんな余裕ありませんよ」
桃香は、嘘をつく理由などないし、そもそも嘘が嫌いだった。
「ふーん、じゃあ横に座れよ」
「はい……」
男は、先程よりも少し優しくおっぱいを揉み始めた。
痛くなくなったのはいいのだが、今度はなんかねちっこく執拗に、勃起した乳首を責めてきたりして困る。
こうされると、女の身体はどうしても反応してしまうのだ。
車内で喘ぎ声などあげては迷惑なので、桃香は声を噛み殺している。
「こんなにでかい乳を持て余してるなんて、不健全だよなあ」
肌艶が悪く、青白い顔で不健康そうなのは男の方であるのに、桃香はそう言われてもなんと答えていいかわからない。
それより、おっぱいを執拗にこねくりまわされて、つい出てしまいそうになる変な声をかき消すのに必死だ。
「ふうんっ……ふうっ……」
「よかったら俺と付き合ってみないか。気持ちよくしてやるぜ」
桃香はびっくりするよりも呆れた。
この人は『弱者男性優先席』に座っていて、ちゃんと首から証明のカードも下げている。
四十すぎて童貞の人しか座れないのに、大胆にも二周りも年下の桃香に告白してきたのだ。
「あの、お気持ちはとても嬉しいんですけど……今は誰ともお付き合いする気持ちはありません。ごめんなさい!」
美人の桃香は、見知らぬ人から突然告白されることは結構あった。
こうやってきっぱり断らないと、後々面倒なことになると知っているので、断り方はシャープである。
「ふーんそうか、こんな乳しててもダメか。セフレでもいいんだが」
「セフレでもダメです。ご期待に添えず、申し訳ありません」
肩に手を回されて、おっぱいを揉まれながら、男に謝るしかない桃香。
朝から自分は何をやっているのだろうと、なんだか少し情けなくなってしまう。
「うっ!」
そうこうしている間も、男の自慰は続いていたらしく。
あっけなく、この謎の時間は終わりを告げる。
どうやら、今度はティッシュに射精してくれたようだ。
「終わりましたか。申し訳ありませんが、そろそろ降りる駅なので、これで失礼いたします」
男は、ニヤッと笑うと射精したティッシュを差し出した。
ハテナという顔をする桃香に、男はこう言った。
「これ、土産にやるよ」
一瞬固まってしまったが、桃香は汚れたティッシュを受け取って言う。
「……綺麗に後始末していただいて、ありがとうございます!」
そして、さっき男が散らかしたティッシュも一緒に綺麗にまとめるとそれらをすべてハンカチに包む。
上着を直して、ブラウスのボタンを止めると目的の駅についたので、お辞儀をして降車する。
このティッシュどこに捨てようかなと思い、やはりトイレかと歩いていくと、後ろから声をかけられた。
「おいおい、お前もこれからオナニーか? 彼氏いなくて欲求不満だもんな」
どうやら、先程の男性が追いかけて降車してきたようだ。
この男性は、どうやら自慰を見て、桃香も興奮してトイレで自慰すると思ってついてきたようだ。
桃香の頭に、選択肢は2つ浮かぶ。
→「そんなわけないでしょう」
→「そうですね。これから、私も自慰します」
桃香は、思わずクスリと笑ってしまう。
まさか、笑われると思わなかったのだろう。男性は、ぎょっとした様子だった。
居丈高に自分勝手に振る舞っても、やはり高齢童貞。
本当は女性が怖いのだなと、桃香は察する。
弱者男性の方を、あまり怖がらせてしまっても可哀想だ。
「そんなわけないでしょう。ゴミを捨てに立ち寄っただけですよ」
そう言って、女子トイレに入ると中の汚物入れにゴミを捨てて出てくる。
もしかしたら、先程の男性が待っているかなと思ったが、見回しても誰もいなかった。
「今日も、貴重な体験ができましたね。朝から良いことをして気持ちいいです」
一見たよやかなお嬢様に見えるし、実際もそうなのだが。
こう見えて、桃香は気丈なところがあるのだ。
並の女性なら最悪と思うことも、貴重な人生経験と思うことができる。
どこか浮世離れしているというか、ズレているのかもしれないけど、それも悪いことではないだろう。
さて、今日も仕事を頑張るかと、桃香は改札を出ていつもの会社へと向かうのだった。
とある平日の朝。
いつもの通勤電車。
女性専用車両の端っこに、茶色の座席があり、その真ん中に年の頃は四十すぎくらいのしょぼくれた男性が座っている。
低い身長、小太りの腹、不健康そうな肌色。
たいして特徴があるわけでもなく、どこにでもいるような高齢男性。
今風の言葉で言えば、弱者男性というやつか。
「ハァハァ……」
息を荒くしているその男性は、薄汚れたズボンとパンツを膝まで脱いで周りの乗客を見ながら股間を擦っている。
まんま、痴漢である。
女性専用車両にこんな人がいれば、すぐにでも車掌に連絡がいって逮捕されそうなものだが、周りの女性はみんな嫌そうに顔を背けるだけで特に目立った反応はしなかった。
「お手伝いしましょうか」
男性に凛とした涼やかな声でそう声をかけたのは、大手広告代理店の受付嬢をしている二十二歳の新人OL。
三ツ葉桃香であった。
桃香のまとう清楚な雰囲気のせいか、ブラウスの胸元を大きく膨らませる豊かな98センチJカップのオッパイも決して下品には見えない。
紺色のスカートから伸びる長い脚は、美しい脚線を描く。
どこにも乱れの見えない制服の着こなしは、まさに大企業の受付にふさわしい美女であった。
その茶色がかったつぶらな瞳が、男を見つめている。
場違いな男が腰掛けているのは、『弱者男性優先座席』と呼ばれるものである。
四十を過ぎて童貞であり、弱者男性として虐げられている人を対象にして、福祉目的で設置されている座席である。
これまでもこれからも童貞であり、子孫を残せないであろう弱者男性にせめてもの性欲処理の機会を与えるために、この座席において自慰行為が認められている。
女性は、思いやりをもってその自慰行為を助けるもの……とされているが、そんな義務はない。
当然ながら、弱者男性のオナニーを助けようとする奇特な女性などほどんといないのだが、桃香は例外だった。
生粋のお嬢様である彼女は、女子大でも四年間ボランティア部に所属しており、こういう社会問題の解決に積極的だった。
むしろ、普段は話すことができない弱者男性とコミュニケーションできる経験を貴重なものとすら思っている。
慈愛の微笑みを浮かべた桃香に、男は言った。
「じゃあ、パンツ見せて……あ、あとおっぱいも」
不躾な言葉に、桃香は嫌な顔一つ見せず、白いブラウスの胸元のボタンを外していき、ブラジャーを押し下げてJカップ98センチの巨乳を露わにする。
巨乳にもかかわらず、乳輪は小さく乳首はほんのりとピンク色である。
男の元に、甘い香りが漂ってくる。
「ひゅ~」
男は、股間のいちもつを激しくこすりながら、器用にも口笛を拭いた。
その下品な態度を見ても、桃香は微笑みを絶やさず、紺色のスカートを自ら手でめくりあげた。
レースも鮮やかな純白のパンティー。
ヨーロピアンブランドの高級品である。
透き通るような絹の布地に、うっすらと綺麗に整えられた陰毛の陰りが見える。
「これでよろしいですか」
「ああ、よろしい……うっ!」
男はそのまま射精してしまった。
ここで、初めて桃香は慌てる。
自分の足に向けて、どぴゅるるーっ! と、精液が飛んできたからではない。
「あっ、そのままイッてしまわれたんですか!」
桃香は慌てて、ティッシュを取り出して太ももにかかった精液よりも先に、男のズボンを拭いてやる。
剥き出しになったおっぱいを揺らしながら、桃香は男のズボンを綺麗にしてやると、続いて自分の足も拭いていく。
その間、男は食い入るような目つきで、桃香のおっぱいと、美しい顔を交互に眺めていた。
粗相をしたのに、謝りもしない。
「……」
「まだ自慰を続けられるんですか」
「ああ……」
「でしたら、このティッシュをお使いください。お洋服が汚れてしまってはいけませんので」
ティッシュを差し出す桃香のほっそりとした手を、男はギュッと掴む。
「あの……」
いちもつをしごいていた手で、じっと桃香の手を撫で回す。
もう自慰行為をしないならそれでもいいのだが、手を一向に話してくれず、桃香は当惑する。
「あのさあ、おっぱいにぶっかけてもいいか?」
男の要求に面くらいながらも、桃香は断りを入れる。
「申し訳ありません。これから私も仕事ですので、服が汚れると困るんです」
そう言うと、男はため息をつく。
あくまでも女性が善意でやってることなので、自分勝手な男と言えども無理強いはできないのだ。
そういうルールで成り立っているのが、この『弱者男性優先座席』なのである。
「じゃあ、そのでかいパイオツを揉ませてくれよ」
「パイオツ?」
「おっぱいだよ、おっぱい。お前がさっきから俺の目の前でぶらぶら揺らして誘惑してきてるやつだよ」
「あ、それでしたらどうぞ」
桃香がそう言うが早いか、男は両方の手で桃香のおっぱいを強く握りしめる。
「……イタタタタッ! ちょっと待ってください! 力強すぎ!」
加減を知らない男は、全力で桃香のロケットおっぱいを握りつぶすようにしてきたのだ。
「なんだよ。気持ちいいんだろう!」
「痛い! 痛いですから! やめて!」
「このデカ乳が悪いんだぞ! 彼氏に毎晩揉ませてるくせによぉ!」
「彼氏なんかいません! ちょっと本当に待ってください!」
桃香の答えを聞いて、男の手が止まる。
「こんなでかい乳してるOLが彼氏いないわけないだろ。なんなら、二股かけて上司と浮気とかしてるんじゃないかこのビッチが!」
とんでもない偏見だ。
「ほんとに彼氏はいません。会社に入ったばかりだし、そんな余裕ありませんよ」
桃香は、嘘をつく理由などないし、そもそも嘘が嫌いだった。
「ふーん、じゃあ横に座れよ」
「はい……」
男は、先程よりも少し優しくおっぱいを揉み始めた。
痛くなくなったのはいいのだが、今度はなんかねちっこく執拗に、勃起した乳首を責めてきたりして困る。
こうされると、女の身体はどうしても反応してしまうのだ。
車内で喘ぎ声などあげては迷惑なので、桃香は声を噛み殺している。
「こんなにでかい乳を持て余してるなんて、不健全だよなあ」
肌艶が悪く、青白い顔で不健康そうなのは男の方であるのに、桃香はそう言われてもなんと答えていいかわからない。
それより、おっぱいを執拗にこねくりまわされて、つい出てしまいそうになる変な声をかき消すのに必死だ。
「ふうんっ……ふうっ……」
「よかったら俺と付き合ってみないか。気持ちよくしてやるぜ」
桃香はびっくりするよりも呆れた。
この人は『弱者男性優先席』に座っていて、ちゃんと首から証明のカードも下げている。
四十すぎて童貞の人しか座れないのに、大胆にも二周りも年下の桃香に告白してきたのだ。
「あの、お気持ちはとても嬉しいんですけど……今は誰ともお付き合いする気持ちはありません。ごめんなさい!」
美人の桃香は、見知らぬ人から突然告白されることは結構あった。
こうやってきっぱり断らないと、後々面倒なことになると知っているので、断り方はシャープである。
「ふーんそうか、こんな乳しててもダメか。セフレでもいいんだが」
「セフレでもダメです。ご期待に添えず、申し訳ありません」
肩に手を回されて、おっぱいを揉まれながら、男に謝るしかない桃香。
朝から自分は何をやっているのだろうと、なんだか少し情けなくなってしまう。
「うっ!」
そうこうしている間も、男の自慰は続いていたらしく。
あっけなく、この謎の時間は終わりを告げる。
どうやら、今度はティッシュに射精してくれたようだ。
「終わりましたか。申し訳ありませんが、そろそろ降りる駅なので、これで失礼いたします」
男は、ニヤッと笑うと射精したティッシュを差し出した。
ハテナという顔をする桃香に、男はこう言った。
「これ、土産にやるよ」
一瞬固まってしまったが、桃香は汚れたティッシュを受け取って言う。
「……綺麗に後始末していただいて、ありがとうございます!」
そして、さっき男が散らかしたティッシュも一緒に綺麗にまとめるとそれらをすべてハンカチに包む。
上着を直して、ブラウスのボタンを止めると目的の駅についたので、お辞儀をして降車する。
このティッシュどこに捨てようかなと思い、やはりトイレかと歩いていくと、後ろから声をかけられた。
「おいおい、お前もこれからオナニーか? 彼氏いなくて欲求不満だもんな」
どうやら、先程の男性が追いかけて降車してきたようだ。
この男性は、どうやら自慰を見て、桃香も興奮してトイレで自慰すると思ってついてきたようだ。
桃香の頭に、選択肢は2つ浮かぶ。
→「そんなわけないでしょう」
→「そうですね。これから、私も自慰します」
桃香は、思わずクスリと笑ってしまう。
まさか、笑われると思わなかったのだろう。男性は、ぎょっとした様子だった。
居丈高に自分勝手に振る舞っても、やはり高齢童貞。
本当は女性が怖いのだなと、桃香は察する。
弱者男性の方を、あまり怖がらせてしまっても可哀想だ。
「そんなわけないでしょう。ゴミを捨てに立ち寄っただけですよ」
そう言って、女子トイレに入ると中の汚物入れにゴミを捨てて出てくる。
もしかしたら、先程の男性が待っているかなと思ったが、見回しても誰もいなかった。
「今日も、貴重な体験ができましたね。朝から良いことをして気持ちいいです」
一見たよやかなお嬢様に見えるし、実際もそうなのだが。
こう見えて、桃香は気丈なところがあるのだ。
並の女性なら最悪と思うことも、貴重な人生経験と思うことができる。
どこか浮世離れしているというか、ズレているのかもしれないけど、それも悪いことではないだろう。
さて、今日も仕事を頑張るかと、桃香は改札を出ていつもの会社へと向かうのだった。
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