婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai

文字の大きさ
13 / 113

フィリベール3と盗賊

しおりを挟む
 冒険者ギルドに入り受付に行くと私を覚えていたのか前回のお姉さんが奥の倉庫に行ってくださいと言うので倉庫に向かう。

「おう、こっちに来てくれ! 査定も肉も出来上がってるぞ」

 昨日担当してくれたお兄さんだ。
 足元には綺麗に解体されたお肉が並んでいる。

「これで肉は全部だ」

 場所をとるからしまってくれと言うのでとりあえず肉をアイテムボックスにしまう。

「あとは金額だな。ゴブリンの魔石28匹分で大金貨1枚と金貨4枚、ギガントスネイルの殻と粘液と魔石1匹分で金貨2枚、レッドサーペントの皮と目玉と魔石2匹分で大金貨3枚と金貨4枚、ホーンラビットの皮と魔石12匹分で金貨7枚と大銀貨2枚、バトルシープの毛と角と魔石7匹分で大金貨4 枚と金貨2枚、ビッグボアの皮と牙と魔石5匹分で大金貨2枚と金貨5枚、クローグリズリーの毛皮と爪と牙と魔石2匹分で大金貨2枚と金貨6枚で合計白金貨1枚と大金貨5枚と大銀貨2枚だ。クローグリズリーのうち1匹は毛皮が傷だらけだったから爪と牙と魔石だけ値段をつけてある」

 今回はノアと2人で狩をしたからかなりの金額になったわ。
 確か白金貨が100万リルだから、150万2千リルかしら。

「それでお願いします」

「いやー、今回の魔物は傷も小さいし良い取引だった! またフィリベールに来る時には頼むよ! 金は受付で用意してるから受付で受け取ってくれ」

 残念ながらもうここには来れないんだけどね、と思いつつ受付でお金を受け取り宿へ戻る。

『もうこの町での用事は済んだから明日は朝からこの町を出るわ』

『わかった。次はどこに向かうのだ?』

『次に通る所で大きい街はバルタザールよ』

 バルタザールといえばデブブ伯爵の領地にある町ね。
 あの無能親子の収める領地なんて、なにもなければいいんだけど。






 私たちは朝一で宿を出て街道を走っていた。
 バルタザールまでは急いで向かって2日くらい。このまま行けば明日の夜か、遅くても明後日の朝には到着するが……。

『リア、気付いてるか?』

『えぇ。つけられてるわね』

 少し前から一定の間隔を開けて3人に後をつけられている。
 盗賊ね。

 おそらくこいつらが獲物を見つけてアジトに知らせて、本隊を連れてくるのね。

『リア、どうする?林に入っていったぞ』

 林の中にアジトがあるようだ。本隊に知らせに行ったのだろう。

『追いかけましょう!』

 自身とノアに認識阻害と気配遮断機をかけ、今度は逆に盗賊の後をつける。

『アジトに着いたみたいだわ』

 林の奥にあった岩壁にある洞窟の中に入っていく。

『どうやらあの岩壁の中にアジトがあるようだな。リア、どうする?』

 盗賊の財宝は討伐した者の物になる。
 今はお金が必要だし、ここで討伐しておけば盗賊被害も減るだろう。

『討伐するわ! いきましょう』

 そう言うと自身とノアにシールドを張り洞窟に入る。

 部屋もいくつかあるらしく、中は思っていたよりもだいぶ広い。 
 元々あった洞窟を削って広げたのだろう。

『この部屋にいるみたいね』

 探知魔法を使うとこの奥に人が固まっているのがわかる。

『ここに入ったら一気にいくわよ』

『わかった』

 ノアに合図をし部屋の中に飛び込む。

『せーの! 』
「「【ウィンドカッター】!」」

 私とノア、2人分の風の刃が部屋中を飛び回る。

「な、なんだ!?」
「襲撃だ!!」
「うわぁぁぁあ!!」

 1分ほど待ち静かになってから部屋に入ると、あたり一面にバタバタと盗賊が倒れている。

 記憶が戻る前だったらこんな光景を見たら確実にショックで気を失っているが、今はアデライトの記憶があるので大丈夫だ。
 伝説の魔法使いだったから盗賊討伐もしたことがあれば戦争に行ったこともある。

「なんなんだ、お前たちは……」

 全員倒したと思ったが1人だけ生き残っている。強さからいっておそらく彼が頭領だ。
 手にはボロボロになった盾を持っているからそれで攻撃を防いで即死を免れたのだろう。

「うぅ、クソっ……」

 即死ではないがすでに全身傷だらけの状態で、こちらをものすごい顔で睨みつけている。
 だがこの傷では死ぬのも時間の問題だろう。

「うぅ、ここまでか……」
 そう言って頭領が倒れる。これで討伐は完了だ。

 バルタザールに行ったら盗賊討伐の届出をしなければならないので証拠として盗賊は全てアイテムボックスに入れた。
 普通だったら本当に討伐したのかアジトに兵を向かわせて確認をしたりと手続きが面倒くさいが、アイテムボックスがあれば盗賊をそのまま持っていけるので楽ちんだ。

「リア! こっちに色々あるぞ!」

 ノアに呼ばれて奥の部屋に行くとお金や武器や防具、美術品までさまざまな財宝が詰まっていた。
 思っていたよりも高価なものが多そうだが、そんなに強い盗賊団だったのだろうか?

 部屋を周り全ての財宝をアイテムボックスに入れて出発する。

 盗賊の財宝は手続きをした後元の持ち主が現れ買取を希望すれば買い取ってもらうこともできる。武器も防具も魔法があれば使わないし、美術品なんてもっといらない。
 バルタザールで届出を出して、もし持ち主が現れたら買い取ってもらおう。
しおりを挟む
感想 98

あなたにおすすめの小説

婚約破棄をされ、父に追放まで言われた私は、むしろ喜んで出て行きます! ~家を出る時に一緒に来てくれた執事の溺愛が始まりました~

ゆうき
恋愛
男爵家の次女として生まれたシエルは、姉と妹に比べて平凡だからという理由で、父親や姉妹からバカにされ、虐げられる生活を送っていた。 そんな生活に嫌気がさしたシエルは、とある計画を考えつく。それは、婚約者に社交界で婚約を破棄してもらい、その責任を取って家を出て、自由を手に入れるというものだった。 シエルの専属の執事であるラルフや、幼い頃から実の兄のように親しくしてくれていた婚約者の協力の元、シエルは無事に婚約を破棄され、父親に見捨てられて家を出ることになった。 ラルフも一緒に来てくれることとなり、これで念願の自由を手に入れたシエル。しかし、シエルにはどこにも行くあてはなかった。 それをラルフに伝えると、隣の国にあるラルフの故郷に行こうと提案される。 それを承諾したシエルは、これからの自由で幸せな日々を手に入れられると胸を躍らせていたが、その幸せは家族によって邪魔をされてしまう。 なんと、家族はシエルとラルフを広大な湖に捨て、自らの手を汚さずに二人を亡き者にしようとしていた―― ☆誤字脱字が多いですが、見つけ次第直しますのでご了承ください☆ ☆全文字はだいたい14万文字になっています☆ ☆完結まで予約済みなので、エタることはありません!☆

勘当された悪役令嬢は平民になって幸せに暮らしていたのになぜか人生をやり直しさせられる

千環
恋愛
 第三王子の婚約者であった侯爵令嬢アドリアーナだが、第三王子が想いを寄せる男爵令嬢を害した罪で婚約破棄を言い渡されたことによりスタングロム侯爵家から勘当され、平民アニーとして生きることとなった。  なんとか日々を過ごす内に12年の歳月が流れ、ある時出会った10歳年上の平民アレクと結ばれて、可愛い娘チェルシーを授かり、とても幸せに暮らしていたのだが……道に飛び出して馬車に轢かれそうになった娘を助けようとしたアニーは気付けば6歳のアドリアーナに戻っていた。

ボロボロになるまで働いたのに見た目が不快だと追放された聖女は隣国の皇子に溺愛される。……ちょっと待って、皇子が三つ子だなんて聞いてません!

沙寺絃
恋愛
ルイン王国の神殿で働く聖女アリーシャは、早朝から深夜まで一人で激務をこなしていた。 それなのに聖女の力を理解しない王太子コリンから理不尽に追放を言い渡されてしまう。 失意のアリーシャを迎えに来たのは、隣国アストラ帝国からの使者だった。 アリーシャはポーション作りの才能を買われ、アストラ帝国に招かれて病に臥せった皇帝を助ける。 帝国の皇子は感謝して、アリーシャに深い愛情と敬意を示すようになる。 そして帝国の皇子は十年前にアリーシャと出会った事のある初恋の男の子だった。 再会に胸を弾ませるアリーシャ。しかし、衝撃の事実が発覚する。 なんと、皇子は三つ子だった! アリーシャの幼馴染の男の子も、三人の皇子が入れ替わって接していたと判明。 しかも病から復活した皇帝は、アリーシャを皇子の妃に迎えると言い出す。アリーシャと結婚した皇子に、次の皇帝の座を譲ると宣言した。 アリーシャは個性的な三つ子の皇子に愛されながら、誰と結婚するか決める事になってしまう。 一方、アリーシャを追放したルイン王国では暗雲が立ち込め始めていた……。

タダ働きなので待遇改善を求めて抗議したら、精霊達から『破壊神』と怖れられています。

渡里あずま
ファンタジー
出来損ないの聖女・アガタ。 しかし、精霊の加護を持つ新たな聖女が現れて、王子から婚約破棄された時――彼女は、前世(現代)の記憶を取り戻した。 「それなら、今までの報酬を払って貰えますか?」 ※※※ 虐げられていた子が、モフモフしながらやりたいことを探す旅に出る話です。 ※重複投稿作品※ 表紙の使用画像は、AdobeStockのものです。

侯爵令嬢に転生したからには、何がなんでも生き抜きたいと思います!

珂里
ファンタジー
侯爵令嬢に生まれた私。 3歳のある日、湖で溺れて前世の記憶を思い出す。 高校に入学した翌日、川で溺れていた子供を助けようとして逆に私が溺れてしまった。 これからハッピーライフを満喫しようと思っていたのに!! 転生したからには、2度目の人生何がなんでも生き抜いて、楽しみたいと思います!!!

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します

怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。 本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。 彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。 世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。 喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

☆ほしい
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

処理中です...