婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai

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ついに……

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「ほ、本当にあった……」

 私以外も皆ぽかんと口をあけて岩壁に埋まる巨大な扉を見上げている。
 あのいつもクールな騎士団長ですら見たことがないほど口を開け、ぽかんとした間抜けな顔をしている。

 あの後走る2匹の後ろを全力で追いかけた。
 2匹からしたらゆっくり走ってくれていたんだろうが、疲れ切って怪我をしている私達からしたら勘弁してくれという速さだった。文句を言って不興を買ってはいけないので気合と根性で耐え抜いた。

「今リアを呼んでくるから待っていろ」

 2匹は怪我人を下ろすと器用に前脚を使い扉を開けて中に入っていく。

 いよいよ魔女との対面だ。やっと! やっとだ!! この1月半長かった……。
 これで母上が助かるかもしれない。

 ドキドキしながら待っているが、魔女も従魔2匹もなかなか出てこない。

 ???

 おかしい。なぜか美味そうな匂いが漂い始める。

 もしかして忘れられているのだろうか?

「……殿下、私が声をかけてきましょうか?」

「いや、もしそれで不興を買ったらまずい。もう少し待ってみよう。」

 そのまま20分ほど経っただろうか?
 急に扉の向こうがバタバタし始め、何か話すような声が聞こえたかと思うと扉が開いた。

「ご、ごめんなさい! お待たせいたしました!!」

 ローブを被った女性が焦ったように飛び出してきた。









 クレンセシアからノアに乗って帰ってきた私は、町で購入したアレコレを使って家の大改造に勤しんでいた。
 今までは扉に小窓をつけて小さくなったノアとネージュが通れるようにしていたが、そのままの姿で移動できるように扉自体を大きく、そして爪を引っ掛けて開け閉めができるように変更した。
 ついでに廊下もノアとネージュがそのままの姿で楽に移動できるように広く削ったし、これで大分過ごしやすくなったと思う。
 そして部屋には元々絵や絨毯は飾っているけれど、大森林に住んでいて最高の素材が取り放題なのだからオシャレな棚やソファなんかも作って置きたい! ということで、部屋の壁を風魔法で削りスペースを広くするところからまた毎日コツコツやり直していたのだ。
 今では王様もびっくりするほどの高級家具がズラリ。
 だってここだと巨木からそのまま家具を削り出したり高価な魔物を狩って皮をなめしたりできるんだもの!!
 しかも大森林は入ってくる人がいないから鉱石や金属もたっぷり眠っている。
 魔法を使えば加工もそれほど手間でもないし! 最近では作る物がなくなってきて魔物の牙や魔石で置き物を作ったり、家具の細工を増やしたりしている。

 ノアとネージュはクレンセシアから戻ってから狂ったように森に行っては山のように狩った魔物を持って帰ってくる。
 元々持たせていたアイテムバッグじゃ容量が足りずに私の膨大な魔力を使って新しく特大容量のアイテムバッグを作ったほどだ。
 肉も調味料も野菜もまだまだあるし、次に町に行くのは先になりそうだから前回よりも魔物ははるかに増えるだろう。
 ソビェスさん率いるクレンセシア解体チームには申し訳ないけど、また何回かに分けて解体をお願いしよう。

「さて、この作業もひと段落したし夕飯の準備でも始めようかな」

 アイテムボックスからロックバードと野菜を取り出す。
 今日は窯を使って丸鳥を焼こう!
 ノアとネージュもいるから大きなロックバードを焼いてもぺろっと食べれちゃうのだ。

 お肉に塩胡椒とハーブをすり込み、馴染ませている間に中に詰める野菜を準備する。ジャガイモ、にんじん、玉ねぎ、パプリカを風魔法でカットし大きなフライパンで炒める。
 ロックバードが大きいから野菜もものすごい量だ。

「これを詰めて、串で止めて……、よしっ! 後は焼くだけね! 焼き上がる頃にはノアとネージュも帰ってくるでしょ」

 ロックバードを焼いている間にスープでも作っておこう。スープはいっぱい作ってアイテムボックスに仕舞っておけばいつでも飲めるし!
 寸胴鍋を出しカットしたキャベツと玉ねぎとソーセージを入れて味をつけグツグツ煮込み、最後に溶き卵を入れてフワッとさせる。

「うん! 美味しくできた!」

 あとはロックバードが焼きあがれば完成ね!
 まだ2匹も帰ってきてないし、明日やろうと思ってた小物入れ作りでも進めていようかな? とアイテムボックスから木材と金と色とりどりの魔石を取り出した。
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