婚約破棄されたけど前世が伝説の魔法使いだったので楽勝です

sai

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クレンセシアへ

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 王宮での用事は全て済んだので帝都観光を1日したらクレンセシアへ行くことにした。
 アイテムボックスに前回以上に狩った魔物が貯まっているのでついでにクレンセシアで解体と買取を済ませてしまいたい。
 それに思いもよらず大金が手に入ったので前から考えていたクレンセシアの家を購入するのもいいかもしれない。

 「リア! あそこの屋台が美味そうだ!」

「おお! 俺もあそこは目をつけてたぜ!」

 ぼーっと考えていると、その間にノアとネージュが次の店を決めたらしい。

 「はいはい。お姉さん、その串焼き41本ください」

「はーい!」

 アイテムボックスから皿を取り出すとそこに20本ずつ串を外した肉を乗せる。
 残りの1本はもちろん私のだ。ノアとネージュが選ぶお店にハズレはないからね!

「美味い! 美味い!」

「あぁ、当たりだな!!」

 40本もあった串焼きもノアとネージュにかかればあっという間だ。
 
 ちなみにノアとネージュはそのままの姿で過ごしている。
 王宮を出る時に帝都観光するにあたり小さくなった方がいいか確認したら、最初に帝都に入った時にたくさんの人に見られていて既に噂になっているし、帝都は道も広くて、ノアとネージュもきちんと従魔登録をしてタグもつけているのだから問題ないと。
 そのままの姿の方がノアとネージュもストレスがないみたいだし問題ないならとそのまま王宮を出てきたが、噂になっているとはいえ王宮を出てすぐはやっぱり騒ぎになった。
 でもいつも通り屋台で爆買いをしていたら段々と声をかけてくれる店員さんが増えて、今はジロジロ見られはするが普通に買い物を楽しめている。

「おっ、ネージュ見ろ! あそこの煮込みが美味しそうだぞ」

「んお? 本当だ! リア、次はあそこだ!!」

「はいはい」

 国の中心である帝都だから美味しいお店が集まっているのか、屋台をまわりきる頃にはノアとネージュのお腹はパンパンになっていた。

「はぁ~。食った食った!」

「2人とも大丈夫? ちょっと食べ過ぎたんじゃない? これからクレンセシアに行くって言うのに、それで飛べるの?」

 お腹が重くて墜落なんて洒落にならないからね!

「問題ない。むしろパワーが出て早く着きそうだ!」

 私の買い物をして門に行くと、帝都に入る時に皇太子殿下と騎士団長が一緒だったのですんなりと出ることができた。

「さぁ、飛ぶぞ」

 小さくなったネージュを抱え、ノアの背に跨ると一気に駆け出し空へと舞い上がった。

「はぁ~。無事に飛べてよかった!」

「リアはまだそんなことを言っていたのか。風魔法も使って飛んでいるのだから落ちるわけないだろう」

 そうだった! すっかり忘れてたよ。

「まぁいい。スピードを上げるぞ」

そこからぐんぐん高度とスピードを上げていき、ノアが言っていた通り行きと比べてあっという間にクレンセシアに到着するのであった。







「ナディアさん、こんにちは~」

「リアさん! 戻ってらしたんですね」

 クレンセシアに到着した私は早速冒険者ギルドに顔を出した。
 今回は買取に出す魔物が多いのでまずここで1回目に解体する魔物を預けちゃいたい。
 前回のソビェスさん達の様子を考えると今回は4回くらいに分けて解体してもらった方がよさそうなのだ。
 そうなるとこの町にも1週間以上滞在することになるのでその間に家も見ておきたいし、いい物件があったら買っちゃってもいいかもしれない。

「買取をお願いします。倉庫に行って魔物を預けてきますね」

 倉庫に入るとソビェスさん達解体チームがバッとこっちを見る。皆揃って綺麗に二度見。

「解体お願いします!」

「き、来やがった!」

「ああ、神よ! どうして私にこんな試練をお与えになるのですか!」

「あぁ、前回痛めた右腕が痛む!!」

 なんだか散々な言われようだ。

「大丈夫ですよー! 今回は4回に分けてお願いしますから! はい、これ今回の分」

「「「「「………………」」」」」

「オいぃっ! 1回の量が全然減ってないぞ!?」

「減ってますよ、少し」

「これを、4回、だと……?」

 ソビェスさんはピクピクと口元を引き攣らせて笑う。

「今回も肉以外買取でお願いします! 取りに来るのは2日後でいいですか?」

「……あぁ」

「それじゃ、よろしくお願いします!」

 ヨロヨロしたソビェスさんに魔物を託し、そのまま外に出ようとしてナディアさんに聞きたいことがあったことを思いだす。

「ナディアさーん! この町で家や土地を買うとしたらどこに行けばいいですか?」

「リアさんがこの町に家を!? この町にAランク冒険者が増えるなんて! 歓迎します!」

 ナディアさんはニッコニコで答えてくれる。
 強い冒険者が多い方がいざという時にも助かるし、世界中にたくさんある冒険者ギルドの中でも強い冒険者が多く拠点にしているギルドほど立場も上がるらしい。

「まぁ、いいところがあったらね!」

「はいっ! 家や土地は商業ギルドが担当しているので商業ギルドに行ってみてください。今紹介状をお持ちしますね!」

 10分ほど待っていると、なぜか2階のギルドマスターの部屋がある方から手に封筒を持ったナディアさんが出て来てくる。

「お待たせしました! こちらが紹介状です。きっと良い物件や土地を紹介してもらえると思いますよ。ふふふっ」

 「あ、ありがとうございます」

 なんだか商業ギルドに行くのが不安になってきた……。

「ノア! ネージュ! お待たせ~!」

「リア! 遅かったぞ!」

「ごめんごめん、ナディアさんに紹介状を用意してもらってたんだ」

「「紹介状?」」

 2匹が揃って首を傾げる。かわいい。

「そ。商業ギルドへの紹介状。王宮で報酬もいっぱいもらったし、この町にも家が欲しいなと思って! そしたらノアとネージュもそのままの姿で夜も過ごせるでしょう?」

 そう言うと2匹の目がキラキラと輝き出す。

「おお! それはいいな!」

「もう馬と同じ厩舎で藁の上で寝なくて済むな!」

 ご、ごめん……。

「それじゃ、さっそく商業ギルドに行ってみようか!」

「「おう!」」
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