真実の愛のお相手様と仲睦まじくお過ごしください

LIN

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第三章

閑話 ここ掘れわんわん

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ビクトールに外出禁止令を出されてしまった翌日…

マーガレット達は、ケナード伯爵家の敷地内の裏庭にいた。庭しか行ける所がなかったのだ。

マーガレットがお茶を嗜んでいると、スコッグが突然木の麓を掘り出した。

― ワンワン!

「まぁ、スコッグ。悪戯は駄目よ」

マーガレットはスコッグを止めようと木の麓に行ったが、そこには妖精が集まっていることに気が付いた。

(まぁ、土の中に何かあるのかしら?)

マーガレットは面白そうだと、一緒になって土を掘り出した。

「「マーガレット様!」」

ギルバートとオリビアは慌ててマーガレットを止めた。

「せめて道具を使ってください。こんなに手が汚れてしまって…良かった。怪我は無いようですね」

オリビアはそう言って濡れた布でマーガレットの手を綺麗に拭いた。

「マーガレット様、気になる様でしたら私が掘り起こしますので、手を洗って来てください」

ギルバートに言われてマーガレットは手を洗いに行った。


庭に戻ると、シャベルを持ったギルバートが土を掘っていて、スコッグはずっと鳴いていた。

「もっと深く」とでも言う様に、スコッグは鳴き続けた。

そしてスコッグが鳴き止んだ時、ギルバートはシャベルに何か当たったのを感じた。

ギルバートがシャベルを置いて手で掘り進めると、三角の形をした石が出てきた。

「こ、これは…」

マーガレットが後ろから覗き込んだ。

「まぁ!シルベスタで見た石碑によく似ているわね」

「ですが…」

ギルバートは何か考え込んでいた。

「いえ、これはあそこの石碑に比べて新しいようです。最近出来た物なのではないでしょうか…?」

「そう言われるとそうかも知れないわ…ギジルったら何でも知ってるのね」

マーガレットはギルバートを褒めたが、ギルバートは考えるのに夢中で聞いていなかった。

(何故精霊の石碑がケナード家の庭に埋まっていたのだ…?この古代文字は間違いない。シルベスタを去った後にクラレンスに移住したのだろうか…?しかし…)

どう考えたってこの石碑は真新しい。

しかし、シルベスタから精霊が居なくなったのは何百年も前の話だ。クラレンスに精霊がいた話も聞いたことのないギルバートは疑問に思った。


すると、穴の中から一匹のモグラが出てきた。

「まぁ、可愛らしいモグラね。いつからここに住んでいたのかしら?」

「マーガレット様、危険です!」

撫でようと手を出したマーガレットをギルバートが止めた。

― キュー

つぶらな瞳でマーガレットを見てくるモグラに、害などあるはずもない。そう思ったマーガレットだったが、手を出さずにモグラに話しかけた。

「こんにちは。あなたのお家を掘ってしまってごめんなさいね」

― キュー

(まぁ、モグラってこんなに可愛いのね)

「あなたのことをヨードって呼んでもいいかしら?」

― キュー!

「ヨード、ゆっくり休んでね」

マーガレット達は掘り起こしてしまったヨードの住処を戻したのだった。


土で汚れてしまった二人は屋敷に戻り、着替えた後にティールームで過ごすことにした。

「ヨードはとても可愛かったわね」

「マーガレット様、土を手で掘ったり、得体の知れない生き物に手を出すことはお控えください。心臓が縮まってしまいます」

遂にオリビアがマーガレットに苦言した。

「まぁ、ごめんなさいね。気を付けるわ」

申し訳無さそうに謝ったマーガレットだったが、オリビアは信用していなかった。

(きっとまた面白そうだと言ってしまうのよね…でも、それがマーガレット様の良いところでもあるし、私が気を付けないと!)

そう決心したオリビアだが、既に仕方がないと諦めているので、マーガレットを阻止する事は出来ないだろう。


着替えのために一人になったギルバートは考えていた。

(やはりマーガレット嬢と精霊の導きは繋がっているのだ。そうでなければこの様な事が起こるはずもない。明日になったら再び見に行ってみよう)


こうしてマーガレット達の外出禁止一日目は、土掘りと石碑の発見で終わった。


だが、終われない者が一人いた。


「セバス、私が何を言いたいのかわかりますね?」

セバスはクロードに呼び出されていたのだった。

「えぇと…庭を掘り起こしていた事でしょうか…?ははは…」

「危険な事はすぐに止めなさい。庭師も嘆いていましたよ」

「申し訳ございません…」

その夜はクロードにたっぷりと説教をされたセバスだった。


翌日、クロードは庭師と共に土の整備をしていた。

「この木はマーガレット様がご生誕された時にビクトール様が植えた苗木です。枯れることのないようにお願いします」

ギルバートは石碑の近くに行くことは出来ず、クロード達に叱られたのだった。


ケナード伯爵家には新たに[庭を勝手に掘り起こしてはいけない]という規則ができたため、その後マーガレットがヨードを見ることは叶わなかった。

発見された石碑と突然現れたヨードは謎のまま、土の中にいる。

だが、ヨードは今も土の中で過ごしている事だろう。

マーガレットのために植えられた木は、頑丈に、そして美しく成長している。


この時の事を思い出したクロード達は、ギルバートの報復に、人知れず怯えていたのだった。

(皇太子殿下を説教してしまったんですね…一体何度注意をしてしまったんでしょうか…考えるのが恐ろしい…)


・・・・・

ヨード = 土
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