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第二章
不思議な老人
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ビクトールとスザンヌを見送ったマーガレットは、オリビア達を連れて、スコッグの散歩に出ていた。
普段なら絶対に一緒に歩かないのだが、この日はハーヴやユースも付いて来ていた。
(みんな揃ってお散歩だなんて初めてだわ。きっと、知らない土地を一緒に見たくなったのね)
マーガレットは嬉しくなって歩いていた。
宿から少し歩くと、綺麗な河原が見えてきた。
(あら?彼処に居るのはお父様達だわ。少し離れた場所にいましょう)
折角二人きりにしたのに邪魔をしたくないと思ったマーガレットは、二人とは反対の方向に歩き、スコッグ達と遊ぶことにしたのだった。
走り回るスコッグ達を見ていたマーガレットに、誰かが声をかけた。
「お嬢さん、また会ったね」
神殿で出会った老人だった。
「まぁ、ごきげんよう。お爺さんにまたお会いしたいと思っていたの」
「ふぉふぉふぉ。私もだよ」
老人はそう言って走り回るスコッグ達を見た。
「あの子達も元気そうにやっているね。安心したよ」
マーガレットが不思議に思って尋ねようとすると、スコッグ達が一斉に駆け寄ってきた。
三匹は老人の元へ駆け寄り、甘えだしたのだ。
(まぁ、この子達が初めて会う人にこんなに甘えるだなんて…今日は不思議な事がたくさんあるのね)
「お爺さんは動物がお好きなのかしら?」
マーガレットが老人に尋ねると、老人は優しい笑顔で答えた。
「動物は嘘を付かないからね」
(どういう意味かしら…?お爺さんは動物が好きということよね?)
マーガレットは不思議に思いながらも、それ以上は聞かなかった。
「お嬢さんはこの国に来て、その目で見て、どう思ったのかな?」
老人がマーガレットに尋ねた。
「シルベスタ帝国をどう思ったのかという意味かしら?」
「そうだよ」
マーガレットは考えた。
「とても素敵な国だと思ったわ。でも、みんな忙しそうにしていて、勿体ないとも思ってしまったわ…」
「勿体ない…?」
老人は興味深げに尋ねた。
「えぇ。自然に溢れた公園も、あまり人が訪れていないみたいでしたもの…あんなに綺麗な物が誰にも見られないだなんて、なんだか勿体ないわ」
「皆心に余裕が無いんだろうね…」
老人は寂しそうに言った。
「ギルバート殿下も同じ事を仰っていたわ」
「ほぅ。殿下が…」
「えぇ。大切な人とゆっくり過ごせる時間が持てる国にしたいと仰っていたわ。そうしたらみんな幸せになれるわね」
「そうか。殿下が…」
「私もお爺さんのお話を伺って、必要以上に欲を張らないように気を付けようと思ったわ」
「ふぉふぉふぉ。皆がそう思ってくれれば嬉しいね」
マーガレットの言葉を聞いた老人は笑った。
スコッグ達は飽きてしまったのか、再び河原を駆け回り始めた。
「本当に元気な子達ね」
マーガレットはスコッグ達を眺めていたが、老人に妖精のことを聞きたかったのだと思い出した。
「お爺さん、妖精さんについて…あら…?」
老人は何処かに行ってしまった様で、何処にも居なかった。
(お家に帰ってしまったのかしら?また聞きそびれてしまったわ…)
マーガレットはとても残念に思っていた。
そして、セバス一人だけが、顔を青褪めさせていた。
(いきなり消えた…まさか…幽霊…?)
セバスはオリビアに尋ねたが、オリビアは鼻で笑った。
「幽霊だなんて…セバスさんも冗談を言うのね。夢でも見ていたの?」
(何故誰も見ていないんだ…?私の頭がおかしくなってしまったのか…?)
この日のセバスは早めに就寝したのだった。
暫く一人で行動できなかったセバスは、ハリーに引っ付いて歩いていた。
「気持ち悪いんで離れてくれませんか?」
ハリーに嫌な顔をされたセバスだった。
普段なら絶対に一緒に歩かないのだが、この日はハーヴやユースも付いて来ていた。
(みんな揃ってお散歩だなんて初めてだわ。きっと、知らない土地を一緒に見たくなったのね)
マーガレットは嬉しくなって歩いていた。
宿から少し歩くと、綺麗な河原が見えてきた。
(あら?彼処に居るのはお父様達だわ。少し離れた場所にいましょう)
折角二人きりにしたのに邪魔をしたくないと思ったマーガレットは、二人とは反対の方向に歩き、スコッグ達と遊ぶことにしたのだった。
走り回るスコッグ達を見ていたマーガレットに、誰かが声をかけた。
「お嬢さん、また会ったね」
神殿で出会った老人だった。
「まぁ、ごきげんよう。お爺さんにまたお会いしたいと思っていたの」
「ふぉふぉふぉ。私もだよ」
老人はそう言って走り回るスコッグ達を見た。
「あの子達も元気そうにやっているね。安心したよ」
マーガレットが不思議に思って尋ねようとすると、スコッグ達が一斉に駆け寄ってきた。
三匹は老人の元へ駆け寄り、甘えだしたのだ。
(まぁ、この子達が初めて会う人にこんなに甘えるだなんて…今日は不思議な事がたくさんあるのね)
「お爺さんは動物がお好きなのかしら?」
マーガレットが老人に尋ねると、老人は優しい笑顔で答えた。
「動物は嘘を付かないからね」
(どういう意味かしら…?お爺さんは動物が好きということよね?)
マーガレットは不思議に思いながらも、それ以上は聞かなかった。
「お嬢さんはこの国に来て、その目で見て、どう思ったのかな?」
老人がマーガレットに尋ねた。
「シルベスタ帝国をどう思ったのかという意味かしら?」
「そうだよ」
マーガレットは考えた。
「とても素敵な国だと思ったわ。でも、みんな忙しそうにしていて、勿体ないとも思ってしまったわ…」
「勿体ない…?」
老人は興味深げに尋ねた。
「えぇ。自然に溢れた公園も、あまり人が訪れていないみたいでしたもの…あんなに綺麗な物が誰にも見られないだなんて、なんだか勿体ないわ」
「皆心に余裕が無いんだろうね…」
老人は寂しそうに言った。
「ギルバート殿下も同じ事を仰っていたわ」
「ほぅ。殿下が…」
「えぇ。大切な人とゆっくり過ごせる時間が持てる国にしたいと仰っていたわ。そうしたらみんな幸せになれるわね」
「そうか。殿下が…」
「私もお爺さんのお話を伺って、必要以上に欲を張らないように気を付けようと思ったわ」
「ふぉふぉふぉ。皆がそう思ってくれれば嬉しいね」
マーガレットの言葉を聞いた老人は笑った。
スコッグ達は飽きてしまったのか、再び河原を駆け回り始めた。
「本当に元気な子達ね」
マーガレットはスコッグ達を眺めていたが、老人に妖精のことを聞きたかったのだと思い出した。
「お爺さん、妖精さんについて…あら…?」
老人は何処かに行ってしまった様で、何処にも居なかった。
(お家に帰ってしまったのかしら?また聞きそびれてしまったわ…)
マーガレットはとても残念に思っていた。
そして、セバス一人だけが、顔を青褪めさせていた。
(いきなり消えた…まさか…幽霊…?)
セバスはオリビアに尋ねたが、オリビアは鼻で笑った。
「幽霊だなんて…セバスさんも冗談を言うのね。夢でも見ていたの?」
(何故誰も見ていないんだ…?私の頭がおかしくなってしまったのか…?)
この日のセバスは早めに就寝したのだった。
暫く一人で行動できなかったセバスは、ハリーに引っ付いて歩いていた。
「気持ち悪いんで離れてくれませんか?」
ハリーに嫌な顔をされたセバスだった。
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