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13.だいすきです
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こんなもの、いつの間に用意していたのだろう。装飾品の店に寄ったりはしなかったのに。
そこで、分かった。
これはきっと、婚約者の人に渡すためのものだ。
アルフレッド様はずっと、その人に渡すためにずっと前から準備をしていたのだろう。
「……返事を聞かせてはもらえないだろうか」
青い瞳が不安げに揺れる。どうしてだろう。そんな顔をされたら、わたしよりもうんと年上のはずのアルフレッド様がふと少年のように見えてくるから不思議だ。
「わたしは」
アルフレッド様がぐっと、息を詰めたのが分かる。青い瞳に丸い月が映る。曇りのない澄んだ瞳が、わたしを見つめる。
ああ、この人はこんな風に、愛しい人を見つめるのだ。
ひと時、心を埋めるならだけならいい。少し夢を見るくらいなら、きっと許される。
けれど、人のものを掠め取るようなことをしてはいけない。
ちゃんと返さなければ。
「ごめん、なさい」
わたしは思い切り頭を下げた。目に入るのが、自分の爪先とアルフレッド様のそれだけになる。
「ずっと、アルフレッド様の恋人になりたかったんです。けれど、わたしは一番してはいけないことをしました」
本当に思うなら、薬になんか頼ってはいけなかった。
わたしはこれを、自分の力で口にしなければならなかったのに。
一番大切にしていたはずの想いとパンを、恋のために利用した。
わたしは大ばか者だ。
ポケットの中に手を入れる。指先がこつんと、かたいものに触れる。それは、惚れ薬を作った時にフラスコに溜まるもの。
薬と同時にできるのはその解毒薬。
これを飲ませてしまえば、瞬く間に惚れ薬の効果は切れる。
ぎゅっと丸い塊を握りしめて、顔を上げる。
にこりと微笑んで、アルフレッド様と見つめ合った。
そのまま解毒薬を口に含んだ。すっと、背伸びしてすべらかな頬に手を当てる。
ばかなわたしは、その愚かさゆえに、これから一番大切な人を失うのだ。
「アルフレッド様、だいすきです」
それだけ言って目を閉じた。
きゅっと引き結ばれた唇に、唇で触れる。
彫像のように立ち尽くすアルフレッド様が、僅かに震えたような気がした。
そこで、分かった。
これはきっと、婚約者の人に渡すためのものだ。
アルフレッド様はずっと、その人に渡すためにずっと前から準備をしていたのだろう。
「……返事を聞かせてはもらえないだろうか」
青い瞳が不安げに揺れる。どうしてだろう。そんな顔をされたら、わたしよりもうんと年上のはずのアルフレッド様がふと少年のように見えてくるから不思議だ。
「わたしは」
アルフレッド様がぐっと、息を詰めたのが分かる。青い瞳に丸い月が映る。曇りのない澄んだ瞳が、わたしを見つめる。
ああ、この人はこんな風に、愛しい人を見つめるのだ。
ひと時、心を埋めるならだけならいい。少し夢を見るくらいなら、きっと許される。
けれど、人のものを掠め取るようなことをしてはいけない。
ちゃんと返さなければ。
「ごめん、なさい」
わたしは思い切り頭を下げた。目に入るのが、自分の爪先とアルフレッド様のそれだけになる。
「ずっと、アルフレッド様の恋人になりたかったんです。けれど、わたしは一番してはいけないことをしました」
本当に思うなら、薬になんか頼ってはいけなかった。
わたしはこれを、自分の力で口にしなければならなかったのに。
一番大切にしていたはずの想いとパンを、恋のために利用した。
わたしは大ばか者だ。
ポケットの中に手を入れる。指先がこつんと、かたいものに触れる。それは、惚れ薬を作った時にフラスコに溜まるもの。
薬と同時にできるのはその解毒薬。
これを飲ませてしまえば、瞬く間に惚れ薬の効果は切れる。
ぎゅっと丸い塊を握りしめて、顔を上げる。
にこりと微笑んで、アルフレッド様と見つめ合った。
そのまま解毒薬を口に含んだ。すっと、背伸びしてすべらかな頬に手を当てる。
ばかなわたしは、その愚かさゆえに、これから一番大切な人を失うのだ。
「アルフレッド様、だいすきです」
それだけ言って目を閉じた。
きゅっと引き結ばれた唇に、唇で触れる。
彫像のように立ち尽くすアルフレッド様が、僅かに震えたような気がした。
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