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「あの、博士」
「なあに?」
「あまりじろじろ見るのはどうかと思いますが」
「ああ、そうだね。ごめんね」

 謝ったかと思うと、博士は私の乳首を口に含んだ。

「ちゃんと勃ち上がるんだね。きれいな色してる」

 転がすように舌で舐めしゃぶる。唾液で濡れて光るそこにふっとかかる吐息。ぞくりとシリコンゴムが粟立つ。露わになった私の乳房を博士の手が這っていく。

「……ぁ……ん……なに、するん…でぅ」
「ん? いっぱい大事にするから」
「ぼにゅう、が出る機能は……搭載されてっ……いません…ああっ」

 変な声がずっと出てしまう。今までも欠陥があるかもしれないと思ったことは何度かあったけれど、本当に壊れてしまったのかもしれない。

「あはは。これはそういうんじゃなくてね。何も出なくていいんだよ」

 赤い果実のように膨れ上がった私の乳首を今度は指先できゅっと摘まむ。感覚がおかしくなっているのか、体から力が抜けた。

「だったら、なんのためにこんなことをするんで、すか」
「うーん。何の為にと言われるとねえ」
 私を支えながら、博士は顎に手を置いて首を傾げた。

「僕がしたいから、かなあ」
「博士がしたいなら、仕方ないですね」
「うん。だからもうちょっと付き合って、ね?」
 横たえられて、シーツの感触が背に触れる。博士は私の顔の横に手を突いて覆いかぶさってくる。

「あ、そうだ」
「なんですか」
「こういう時は名前呼んでほしいんだけど、いいかな? 僕の名前はね、」
「ソウイチロウ」

 私がそう口にすると博士ははっと目を見開いた。私が彼の名前を呼んだのは、これが初めてだ。

「覚えててくれたんだね」
 別に好きで覚えているわけではない。記憶装置メモリーディスクに情報が蓄積されていくようになっているだけだ。

「嬉しいな。オトハがそう呼んでくれるなんて」
 博士は私をまたぎゅっと抱き締めて、胸元に口づけを落とした。何か所も、何か所も。

 素肌に当たる衣服のざらりとした感触。不快というほどではないけれど、あまりいい心地ではない。私と彼を隔てるものが何もなければいいのに。

「どうしたの? そんな顔して」

 こういう時、人間の女性はなんと言うのだろう。こんなことになると分かっていたら事前にデータをインプットしておいたのに。仕方なく私は目を逸らして、博士のシャツをぎゅっと握った。私が丁寧にアイロンをかけたシャツに皺が出来る。

「ああ、なるほど。もう可愛いな、オトハは」

 そう言うと、博士は身に纏っていた衣服を脱いだ。痩せた体の首筋から鎖骨にかけて、鋭角の影が落ちる。私の制服のスカートも、博士は脱がせていく。
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