【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!

藤原ライラ

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第二部

1.失くした何かー①

 最初に気づいたのはコルネリアだった。

「姫様っ!」
「なあに? コルネリア」

 着替えを手伝ってくれていたコルネリアが、わたしを見て小さく声を上げた。
 視線の先には、わたしの下腹部がある。

「……えっ」

 昨日まで、そこにあった呪いがなかった。
 どうして呪いが解けたのだろう。現れるのも突然なら、消えるのも突然だった。

 すぐに、お父さまとお母さまに報告の早馬が行って、二人もとても喜んだそうだ。呪いが解けたなら、早く王城に帰ってくるようにとヘルマン兄さまからの手紙も届いた。

 もしかしたら元から期限のある呪いだったのかもしれないと、手紙には書かれていた。もうすぐわたしの十九歳の誕生日だ。それに合わせて、呪いが解けたのかもしれない。几帳面で神経質なヘルマン兄さまの文字が、それでも嬉しそうに綴られていた。

 けれど、体調が整わないとか適当な理由をつけて、わたしはずるずると王城に帰るのを引き延ばしていた。すると、ヘルマン兄さまからすぐにこれまた几帳面な字で『体調が整わないなら王城の医師に診てもらうべき』という、お兄さまらしい合理的な返信が届いた。わたしは仕方がないので、『突然呪いが解けて気持ちの整理がついていない』と返した。本当のことだ。今度は、ヨアヒム兄さまから丁寧な字で『こちらのことは気にせず、気が済むまでゆっくりしなさい』と返事がきた。

 窓の外は雨が降っている。どんよりとした雲が広がっていた。
 コルネリアが、着替えを手伝ってくれる。

「姫様、少し身長が伸びられましたね」
 言われてみればそうだ。背が小さいのは相変わらずだけれど、日中用のドレスの丈の長さが少し短い。すらっとしたコルネリアとの目線の位置も近くなった気がする。もうずっと身長は伸びていなかったから不思議ではある。

「下着のサイズも変更した方がよさそうです」
 確かにいつも身に着けている胸を覆う下着が、少し窮屈に感じていた。といってもそれでも小さいことに変わりはないのだけれど。着替えの合間に、コルネリアは手早く採寸をしてくれた。すぐに新しいサイズのものを手配してくれるという。

 わたしが知らない間に、わたしの身体が誰かに作り変えられてしまった気分だった。
「おかけになってください」
 続いてコルネリアに言われるがままに、鏡の前の椅子に腰掛ける。いつものように、コルネリアがわたしの髪を梳いてくれる。

 鏡に映る自分の顔が、まるで知らない人のように見えた。
 わたしはずっとこんな顔をしていただろうか。自分でいうのもなんだけれど、心ここにあらずといった顔だわ。
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