アルセリア王朝記〜月の化身となる者〜

夜明けのハリネズミ

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月が降り立つ

第4話 初めての甘さと冷酷な現実

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第4話 初めての甘さと冷酷な現実

 頭痛がして目を覚ました。昨夜、カリュゥムと一緒に飲んだ蜜のような甘い飲み物が、実はお酒だったことに気づく。少しぼんやりした頭で起き上がろうとすると、隣でカリュゥムが自分の体を引き寄せ、しっかりと抱きしめているのを感じた。

「えっ…!」

 驚きで心臓がドキドキと早鐘のように高鳴り、顔が熱くなるのが分かる。こんな風に誰かに抱きしめられることなんて、今まで一度もなかった。慌てて気持ちを落ち着けようとしながら、これはただ「慣れていないから」と心に言い聞かせる。けれども、カリュゥムに対する気持ちが少しずつ変わってきていることも、薄々自分で感じ始めていた。

 そんなことを考えているうちに、カリュゥムが目を開け、ルナの顔を見つめて微笑んだ。「おはよう」と声をかけられる前に、カリュゥムの顔が近づき、唇が重なる。

 突然のキスに、ルナは驚いて身動きが取れなくなり、唇が離れることなく次第に深くなるキスに息ができなくなる。やっと唇が離れると、ルナは荒い息を整えながらも、恥ずかしさと驚きで顔が真っ赤になってしまった。

 「何処女みたいな顔をしているんだ」

 カリュゥムにからかうように言われ、ルナは思わず口を押さえ、咄嗟に口から出た言葉が「初めてだったのに…!」

 カリュゥムはその言葉に少し驚いた様子を見せ、興味深げな表情で微笑む。

 「初めて?なるほど…面白い」

 彼の視線がからかうように感じられ、ルナは恥ずかしさで胸がドキドキと跳ねるのを感じる。耐えきれずにベッドから逃げ出し、足を床に着ける。

「またからかって…」

「いや、本心さ」

 カリュゥムの思いがけない真剣な表情に、ルナは言葉を失い、思わず顔を背けた。しかし、急に立ち上がったせいで頭痛がひどくなり、膝をついてしまう。カリュゥムがすぐに抱きかかえてベッドに戻し、優しく寝かせてくれた。

 「昨日のあの甘い飲み物…あれってお酒ですか?」

 ルナが尋ねると、カリュゥムは少し笑って答える。

「ああ、それがどうした?」

「お酒も初めてで…」

 その言葉にカリュゥムは一瞬驚いたような表情を浮かべ、それから堪えきれないように笑い出した。

「ははは、まるで子供を相手にしているみたいだ。新鮮だな」

「むぅ、からかってる…」

 カリュゥムは微笑みながらルナの額に軽くキスをして、優しい表情で「すまない。今日は外せない公務がある。終わったらまた来るから、部屋でゆっくりしていろ」と告げて部屋を後にする。ルナはカリュゥムの優しさに胸が温かくなりながらも、照れくささで布団を頭までかぶった。

 その後、ルナは体調が悪い旨を侍女に伝え、湯浴みを短めにしてもらうと再びベッドに戻り、世話をしてくれる侍女たちの静かな気配に包まれながら再び眠りに落ちていった。

 眠っている間、夢の中でカリュゥムが自分に触れる幻を見て、恥ずかしさで目が覚める。起き上がると、ベッドの周りにはたくさんの男たちが土下座するように地面におでこを擦りつけているのに気づき、ルナは声も出せず驚いた。

 「な、な、なんですか…?!」

 慌ててベッドから離れようとするが、部屋の扉の向こうから侍女の声が響き、「離してください!皆さん出ていってください!」と叫んでいる。その直後、平手打ちの音がして侍女が倒れる音が聞こえ、嫌な予感に駆られたルナが急いで床に降りると、一人の男が彼女の足を掴んで引き止めた。

 「お前にあの方の子を孕ませる訳にはいかない」

 男の言葉の意味が理解できず、ただ恐怖だけが広がる。ルナが混乱する中、別の男たちが彼女の腕を掴み、ベッドに押し倒そうとする。

 「やめて!」と叫び、必死に抵抗しながら小太りの男の腹を蹴り、腕を掴む男たちを振り切ってベッドから逃げ出す。倒れている侍女を助け起こし、手を引いて一緒に部屋を飛び出した。後ろから男たちの怒号が響き、彼らが追いかけてくるのが分かる。

 心臓が痛くなるほどの恐怖を感じながらも、走り続けるルナ。しかし追っ手が追いつき、彼女の髪を乱暴に掴んで引き止められた。髪が引き裂かれるような痛みと共に尻もちをつき、さらに男の手が彼女の服にかかる。

 「カリム!助けて!」叫び声と共に、ルナの目に涙があふれた。

 その時、低く響く声が部屋を支配した。

「私の女に何をしている」

 カリュゥムの姿が現れると、男たちは慌てふためき、手を引っ込めた。カリュゥムの鋭い目が男たちを一瞥し、冷徹な声で「この者を打首にしろ」と告げる。その命令が下されると、周囲が凍りつき、ルナは足元に広がる赤黒い液体を視界に捉え、全身が震える。

 胃の中がえぐられるような恐怖で込み上げるものを堪えきれず、彼女はその場で吐き気に襲われた。足元に流れるその光景を見つめながら、徐々に意識が遠のき、視界が暗くなっていく。

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