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第一部 ハンター初心者編
第17話 魔力疲労
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「シロクさん、昨日はすわねがった」
突然謝りだすローレッタ。
「いいんだよ宴会の無礼なんて。ところで昨日の事どこまで覚えている」
「全部おべでら」
「私も約束おぼえていますから」
全部覚えているのか参った。忘れてくれていても良かったのに。
「俺のどこが良いのやら」
「男は甲斐性だ。うちの母がいぐ溢したった。なんでこった貧乏なえさ嫁いだんだって」
「俺はそんなに金持ちじゃないぞ」
「師匠はスキルの無い私を弟子にしてくれました」
「あれは俺にも利点がありそうだったからだぞ」
二人ともぐいぐい来る。
きっとこの世界は死亡率が高くて結婚も早いのだろう。
俺がハーレムなんて有り得ない。
二人から惚れられるなんて初めての経験でよく分からん。
とりあえず先送りだ。
「とにかくAランクになるまでこの話は凍結だ。今日は午前中は魔石の充填だ。その間にゴーレムや荷車や荷物なんかを借屋に運ぼう」
「なんでSランクでねぐ。Aランクだんずが」
「Sランクはな。それこそドラゴンでも倒さないと無理だ。そこまで待たすのも悪いと思った。Aランクはオーガクラスだから
極端な話。罠にでも嵌めて魔石七つ使えば倒せると思う」
皆で女将さんの所へ行く。
「女将さん今まで有難うございました。暇を見て遊びにきます」
「女将さん私ふぇーん……」
フィオレラは泣いていて何を言っているのか分からない涙もろいんだな。
「短け間だったばってありがたかった」
「皆も元気でやるんだよ」
「女将さんもお元気で」
女将さんと別れ荷物を借屋に運ぶ。
俺は荷解きや力仕事をして二人は調味料や食材を買いに出てもらう。
自室を見回す。
タンスの半分ほどを占領する衣類、ウッドゴーレム、皮鎧や武器、知識を求める為に買った本、随分物が増えた。
異世界で暮らして結構経つんだなと改めて思う。
昼飯をフィオレラとローレッタに作ってもらった。
キャッキャウフフと話声が聞こえてくる。
仲が良いのは良い事だ。
「師匠、私の作った料理はどうです」
「わもけっぱった」
料理はロールキャベツに似た物と貝を蒸したのと赤い見た目の辛そうなスープだった。
早速頂く香辛料が違うせいかどれも異国の料理に感じる。
「二人とも美味しいよ。午後はゴブリン相手にローレッタが弓でどこまでやれるか試す」
ゴブリンの領域の森にもかなり慣れてきた。もはや自分の庭と言ってもいいだろう。
「フィオレラ、魔力探知だ」
「はい【魔力探知】。あちらの方向に二匹何かいます」
フィオレラが指差しする方向に向かう。
二匹のゴブリンが見えてきた。
「ローレッタ、一匹は俺がやる。気負わずにがんばれ」
受け持ったゴブリンを火魔術でサクッと倒す。
ローレッタの方のゴブリンを見る。
慎重に狙いを付け足を射抜いた。
機動力を奪う作戦か。
反対側の足も射抜き、ゴブリンは走れなくなった。
必殺を狙って額に撃ち出された矢は刺さる事は刺さったが、骨を貫通するには到らなかったらしい。
目を狙って撃たれた矢は手で庇われ、前腕に刺さる。
またも目を狙って撃った矢は読まれていたのか手の平に突き刺さる。
喉を狙って撃った矢も拳に刺さる。
心臓を狙った矢は刺さったが心臓には届かなかった。
ゴブリンは矢で針鼠になっていた。
「ひい、ふう、み、よ、いつ、む、な、七本かしぶといなゴブリン」
矢筒から矢を引き抜いて八本目を撃つ。右目に刺さった。それでも死なない。
「ローレッタもういいぞ」
火魔術で倒す。
「もう少しだったのに。なんで止めるんだが!」
存在理由を示したいのだろう。でも最初から上手くいく人は滅多にいない。
「完全に攻撃力不足だ。子供用の弓だからしかたないが」
ローレッタは牽制ぐらいにしかならない。どうにかしなければ。
「そうだ。クロスボウとかない?」
「あります。値段が高いのと連射が利きません」
フィオレラが教えてくれる。
「購入しよう」
ローレッタはそれで良いとして問題は俺の魔力不足だ。
「あれだな、魔力が無いなら有る所から持ってくれば良いんだ。フィオレラ、他人が魔力を入れた魔石の魔力を吸収したら、どうなる」
「師匠そんな事おっしゃらないで下さい。それは命を縮めます」
命の危険があるのか。
いきなりやらなくて良かった。
しかし魅力的な案である事は確かなんだよ。
調べてみるか。
「調べたい事が出来た。今日は帰ろう」
ローレッタにクロスボウを買いに行かせる。
俺はハンターギルドで他人の魔力が利用できないか調べた。
結果それらしい文献はない。
しかし、気になる物を見つけた。
ハンターが持って来た魔石はそのまま使用しない。
魔抜きという工程を経てから販売される。
受付で聞いてみた。
魔抜きは食うに困った人や怪我をしたハンターがするらしい。
あなたは見たところ健康そうだから他の仕事なら沢山有ります。
命は大事にしなさいと受付嬢に説教された。
例の命が危険にさらされる話だろう。
魔抜きをしている人から話を聞きたい。
だけど、誤解されそうだから他のアプローチをしてみよう。
家への帰り道ふと古本屋が目に止まった。
駄目元で本を探すことにする。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「今日は他人の魔力を体に入れる方法がないか本を探してます」
「それなら、確かこのへんじゃったか」
お婆さんは奥の方から一冊の本を持ってきた。
「これじゃ、立ち読みさせる事はできないが、少しまけて銀貨八枚じゃ」
物は試しと思い購入することに。
家に帰り早速本を読む。
本は『魔力疲労についての考察』というタイトルだ。
魔力疲労ってなんだという疑問が湧いた。
しかし、構わず読み進める。
魔力疲労は魔石を使って他人の魔力を吸収した時に起こる現象の事。
要するにもの凄くだるくなる。
魔力疲労は長年体にとても悪いと信じられていた。
この本ではある国の軍の治療師が魔力に困って他人の魔力を吸収したと書いてある。
治療師はやけになるような理由があった。
その後も他人の魔力を吸収をやめなかったが、定年まで勤めたが体に異常はなかったという。
その国ではその事に注目し色々な人間に他人の魔力を吸収させた。
そして、平均寿命は変わらなかったとある。
その国は教会と仲が悪かった。
魔力疲労は神の罰という教会の教えもあり教会と手を組んだ隣国に滅ぼされる。
やばい、この本は教会にとって禁書じゃないだろうか。
あの婆さんなんて物よこすんだ。
実験してみたい。
しかし、フィオレラをどう納得させよう。
悩みは尽きない。
フィオレラがちょうど夕飯用の食材を買って帰ってきた。
「フィオレラ、話がある」
疑い深い目でこちらを見てくる。
「なんですか。あらたまって」
「魔石を使ってフィオレラの魔力を吸収したい」
「駄目です自殺願望でもあるんですか!」
フィオレラの激しい怒りを感じる。
「体に悪くないと書かれた本を見つけた」
「その本が間違っているんです」
「なぁ、フィオレラ物事の進歩ってのは常識を疑うことから始まると思うんだ」
「駄目です!」
「なんでも願い事を聞くから駄目か」
「じゃあ婚約する猶予をAランクからBランクにして下さい」
「婚約するなんて言ってないから恋人からだ。Bランクは良しとしよう」
「わかりました協力しましょう」
なんとかなったが、どつぼに嵌った気がする。
突然謝りだすローレッタ。
「いいんだよ宴会の無礼なんて。ところで昨日の事どこまで覚えている」
「全部おべでら」
「私も約束おぼえていますから」
全部覚えているのか参った。忘れてくれていても良かったのに。
「俺のどこが良いのやら」
「男は甲斐性だ。うちの母がいぐ溢したった。なんでこった貧乏なえさ嫁いだんだって」
「俺はそんなに金持ちじゃないぞ」
「師匠はスキルの無い私を弟子にしてくれました」
「あれは俺にも利点がありそうだったからだぞ」
二人ともぐいぐい来る。
きっとこの世界は死亡率が高くて結婚も早いのだろう。
俺がハーレムなんて有り得ない。
二人から惚れられるなんて初めての経験でよく分からん。
とりあえず先送りだ。
「とにかくAランクになるまでこの話は凍結だ。今日は午前中は魔石の充填だ。その間にゴーレムや荷車や荷物なんかを借屋に運ぼう」
「なんでSランクでねぐ。Aランクだんずが」
「Sランクはな。それこそドラゴンでも倒さないと無理だ。そこまで待たすのも悪いと思った。Aランクはオーガクラスだから
極端な話。罠にでも嵌めて魔石七つ使えば倒せると思う」
皆で女将さんの所へ行く。
「女将さん今まで有難うございました。暇を見て遊びにきます」
「女将さん私ふぇーん……」
フィオレラは泣いていて何を言っているのか分からない涙もろいんだな。
「短け間だったばってありがたかった」
「皆も元気でやるんだよ」
「女将さんもお元気で」
女将さんと別れ荷物を借屋に運ぶ。
俺は荷解きや力仕事をして二人は調味料や食材を買いに出てもらう。
自室を見回す。
タンスの半分ほどを占領する衣類、ウッドゴーレム、皮鎧や武器、知識を求める為に買った本、随分物が増えた。
異世界で暮らして結構経つんだなと改めて思う。
昼飯をフィオレラとローレッタに作ってもらった。
キャッキャウフフと話声が聞こえてくる。
仲が良いのは良い事だ。
「師匠、私の作った料理はどうです」
「わもけっぱった」
料理はロールキャベツに似た物と貝を蒸したのと赤い見た目の辛そうなスープだった。
早速頂く香辛料が違うせいかどれも異国の料理に感じる。
「二人とも美味しいよ。午後はゴブリン相手にローレッタが弓でどこまでやれるか試す」
ゴブリンの領域の森にもかなり慣れてきた。もはや自分の庭と言ってもいいだろう。
「フィオレラ、魔力探知だ」
「はい【魔力探知】。あちらの方向に二匹何かいます」
フィオレラが指差しする方向に向かう。
二匹のゴブリンが見えてきた。
「ローレッタ、一匹は俺がやる。気負わずにがんばれ」
受け持ったゴブリンを火魔術でサクッと倒す。
ローレッタの方のゴブリンを見る。
慎重に狙いを付け足を射抜いた。
機動力を奪う作戦か。
反対側の足も射抜き、ゴブリンは走れなくなった。
必殺を狙って額に撃ち出された矢は刺さる事は刺さったが、骨を貫通するには到らなかったらしい。
目を狙って撃たれた矢は手で庇われ、前腕に刺さる。
またも目を狙って撃った矢は読まれていたのか手の平に突き刺さる。
喉を狙って撃った矢も拳に刺さる。
心臓を狙った矢は刺さったが心臓には届かなかった。
ゴブリンは矢で針鼠になっていた。
「ひい、ふう、み、よ、いつ、む、な、七本かしぶといなゴブリン」
矢筒から矢を引き抜いて八本目を撃つ。右目に刺さった。それでも死なない。
「ローレッタもういいぞ」
火魔術で倒す。
「もう少しだったのに。なんで止めるんだが!」
存在理由を示したいのだろう。でも最初から上手くいく人は滅多にいない。
「完全に攻撃力不足だ。子供用の弓だからしかたないが」
ローレッタは牽制ぐらいにしかならない。どうにかしなければ。
「そうだ。クロスボウとかない?」
「あります。値段が高いのと連射が利きません」
フィオレラが教えてくれる。
「購入しよう」
ローレッタはそれで良いとして問題は俺の魔力不足だ。
「あれだな、魔力が無いなら有る所から持ってくれば良いんだ。フィオレラ、他人が魔力を入れた魔石の魔力を吸収したら、どうなる」
「師匠そんな事おっしゃらないで下さい。それは命を縮めます」
命の危険があるのか。
いきなりやらなくて良かった。
しかし魅力的な案である事は確かなんだよ。
調べてみるか。
「調べたい事が出来た。今日は帰ろう」
ローレッタにクロスボウを買いに行かせる。
俺はハンターギルドで他人の魔力が利用できないか調べた。
結果それらしい文献はない。
しかし、気になる物を見つけた。
ハンターが持って来た魔石はそのまま使用しない。
魔抜きという工程を経てから販売される。
受付で聞いてみた。
魔抜きは食うに困った人や怪我をしたハンターがするらしい。
あなたは見たところ健康そうだから他の仕事なら沢山有ります。
命は大事にしなさいと受付嬢に説教された。
例の命が危険にさらされる話だろう。
魔抜きをしている人から話を聞きたい。
だけど、誤解されそうだから他のアプローチをしてみよう。
家への帰り道ふと古本屋が目に止まった。
駄目元で本を探すことにする。
「こんにちは」
「いらっしゃい」
「今日は他人の魔力を体に入れる方法がないか本を探してます」
「それなら、確かこのへんじゃったか」
お婆さんは奥の方から一冊の本を持ってきた。
「これじゃ、立ち読みさせる事はできないが、少しまけて銀貨八枚じゃ」
物は試しと思い購入することに。
家に帰り早速本を読む。
本は『魔力疲労についての考察』というタイトルだ。
魔力疲労ってなんだという疑問が湧いた。
しかし、構わず読み進める。
魔力疲労は魔石を使って他人の魔力を吸収した時に起こる現象の事。
要するにもの凄くだるくなる。
魔力疲労は長年体にとても悪いと信じられていた。
この本ではある国の軍の治療師が魔力に困って他人の魔力を吸収したと書いてある。
治療師はやけになるような理由があった。
その後も他人の魔力を吸収をやめなかったが、定年まで勤めたが体に異常はなかったという。
その国ではその事に注目し色々な人間に他人の魔力を吸収させた。
そして、平均寿命は変わらなかったとある。
その国は教会と仲が悪かった。
魔力疲労は神の罰という教会の教えもあり教会と手を組んだ隣国に滅ぼされる。
やばい、この本は教会にとって禁書じゃないだろうか。
あの婆さんなんて物よこすんだ。
実験してみたい。
しかし、フィオレラをどう納得させよう。
悩みは尽きない。
フィオレラがちょうど夕飯用の食材を買って帰ってきた。
「フィオレラ、話がある」
疑い深い目でこちらを見てくる。
「なんですか。あらたまって」
「魔石を使ってフィオレラの魔力を吸収したい」
「駄目です自殺願望でもあるんですか!」
フィオレラの激しい怒りを感じる。
「体に悪くないと書かれた本を見つけた」
「その本が間違っているんです」
「なぁ、フィオレラ物事の進歩ってのは常識を疑うことから始まると思うんだ」
「駄目です!」
「なんでも願い事を聞くから駄目か」
「じゃあ婚約する猶予をAランクからBランクにして下さい」
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