ゴーレム使いの成り上がり

喰寝丸太

文字の大きさ
37 / 88
第二部 成り上がり編

第36話 野営訓練

しおりを挟む
 十日ばかり、攻撃用魔道具の製作とスキル訓練の日々をすごした。
 無事、攻撃用魔道具は完成してフィオレラは雷魔法、火魔法、魔力放出のスキルを覚える。
 ローレッタは雷魔法、火魔法、念動のアビリティを習得した。
 筋力強化のスキルも習得。

 俺はスキルとアビリティの同時使用を頑張り一秒なら発動できる様になった。
 まだ実用には適さないがこれからだ。
 現時点の俺の装備を紹介する。

 ・防具 魔獣の皮鎧。
 ・武器 銃ゴーレム。杖ゴーレム。魔石銃二丁。
 ・その他 威圧具。ポーチ。(魔力補給用魔石。カプセル。弾丸。)ポーション。

 攻撃用魔道具には魔石銃という名前をつけた。
 魔力放出の魔道具は三センチの魔石を使い首から提げるアミュレットに仕上げて名前を威圧具に。
 装備も増えたから背負い鞄は廃止して中身は馬ゴーレムに積んだ。
 ちなみにポーションはポーチと一緒にベルトに付けてある。

 フィオレラの装備はこの様に。

 ・防具 魔獣の皮鎧。小型の盾。
 ・その他 威圧具。ポーチ。(魔力補給用魔石。)ポーション。馬ゴーレム。

 ローレッタの装備は以下の感じだ。

 ・防具 魔獣の皮鎧。
 ・武器 強弓。通常弓。投げナイフ。魔石銃二丁。
 ・その他 威圧具。ポーチ。(魔力補給用魔石。)ポーション。矢筒。

 通常弓はローレッタが筋力強化を使わないで引ける強さの弓で特別にあつらえた。
 子供の弓以上そして男性の大人の弓以下の威力になっている。

 馬ゴーレムの荷物はこんなところ。

 ・大きな物 テント。鞍。サドルバック。
 ・消費する物 薪。水。食料。
 ・その他 ロープ。スコップ。便利魔道具と調理道具や細々こまごまとした野営道具。

 野営の準備は整った。
 二日連続で晴れた事だし雨期は終わったと見て良い。
 さあ行動開始だ。
 オークの領域で二泊三日の訓練をするぞ。



「テントを張れそうな場所をまず探そう。ローレッタどんな場所が良い」

 ローレッタは狩りをしていただけあって野営に詳しい。

「窪地は駄目だ。雨が降ると水が溜まる」
「なるほど」
「草が生い茂ってら所も駄目だ」
「何か近づいても分からないからか」
「んだ。後腐っだ木が落ちできそった場所こも駄目だ」
「そうか」
「獣道も避けだ方がだの」
「よし頑張って探そう」



 適当に良さそうな所を探す。
 少し丘になっている問題がなさそうな所を見つけた。

「ここはどうだローレッタ」
「ここなら良さそうだ」
「道からだいぶ離れているから、迷わない様に木に目印をつけながら進んで鳥や兎を狩ろう。時間になったら、此処に戻って野営しよう」

 今日は魔獣は狩らない。
 初日だし無理をしない事にした。
 いたぞ、木に止まっている鳥を狙う。
 パンと乾いた音をたてて銃から弾が発射される。
 弾は木の葉を揺らしただけで鳥には当たらない。
 鳥は悠々と飛び立っていった。



 次はローレッタに譲る。
 ローレッタは通常弓を構えると引き絞り放った。
 見事に鳥に当たる。
 木の葉の影の鳥に当てるなんて凄い。

 狩りは順調に進んだ。
 しかし銃ゴーレムの弾は当たらない。



 昼飯の時間になった。
 固く塩味のする携帯食料を水筒の冷えたスープでふやかす。
 うん不味い。
 ふやかさないで直接口に入れてみたが中々噛み砕けない。
 なんとか食べたが不味い事には変わりない。
 もうちょっと美味くならないかなこれ。
 二人を見ると黙々と文句も言わずに食べている。
 俺には味の改善をするような知識がないから、諦めて食事を終えた。



 その後も狩りは続く。
 けれども銃ゴーレムの弾は当たらない。
 結局獲物は全てローレッタが獲った。



「時間も良い。そろそろ帰って野営するか」

 野営する予定の場所へ戻る。馬ゴーレムから必要な荷物を降ろす。
 一人でテントを張る。
 慣れてなかったが筋力強化を使ったので割と簡単にいった。
 忌避剤を撒く。
 これで虫が寄ってこないはずだ。
 俺がテントを張る間、二人は今日獲った獲物でスープを作っている。
 食事が始まり会話も弾む。

「テントは二つなんですね」

 フィオレラが聞いてくる。

「一人用が俺。二人用が君達だ」
「ずいぶんウブだの」

 からかう様な口調でローレッタが言う。

「どうせ俺はヘタレだ。ところで今日の見張りの順番はどうする」
「最初がフィオレラ。真ん中がシロクさん。慣れでらわが最後がいと思う」
「ローレッタが言うならそうしよう。今回は野営用に時計を用意した魔力式時計だ。光で時間を知らせてくれる」

 砂時計の魔力版で段々魔道具から魔力が抜ける様になっていた。残り魔力から時間を割り出すフィオレラと俺の力作である。

「一時間置きに光るから三回光ったら、起こしてくれ」
「じゃあ先に寝させてもらう。お休み」
「お休みなさい」
「休め」



 寝ていたら、身体を揺らされて起きる。

「フィオレラか交代の時間?」
「はい交代です。寝顔ばっちり見させてもらいました」
「こんな物で良かったら、満足いくまで見てくれ」

 照明用魔道具の灯りで周囲を見回す。
 一時間に一回、魔力探知すれば魔力を消耗させずに行える。
 気休めだけど、やってみよう。



 一時間が過ぎた時に遠吠えが聞こえた。
 ウインドウルフか厄介だ。
 二人を起こすとするか。
 二人を揺すり。

「二人共起きろ。ウインドウルフが来てる」
「はい今起きます」
「近けだが」
「遠吠えが聞こえた。フィオレラ魔力探知してくれ」
「【魔力探知】囲まれてますね」
「テントが邪魔でトーチカが出せない。少し離れてトーチカだけだそう」
「迎撃はどす」

 ローレッタが聞いてくる。

「最初に威圧具を試してみる。それでだめなら弓と魔術だ」
「近づいてきました。【土魔法】」

 トーチカが出現し、その窓から外を見る。
 暗闇には幾つもの光った目がこちらを見ていた。
 じりじりと輪を狭めてくるウインドウルフ。
 そろそろ良いだろう。
 威圧具を作動させる。
 ウインドウルフが一斉にビクッと反応した。
 上手くいったみたいだ。
 ウインドウルフが逃げて行く。



 あまり強くない魔獣には威圧具は効果的なのかな。
 フィオレラに魔力探知を頼む。
 ウインドウルフは逃げにかかっているみたいだ。
 かなり反応が離れたとフィオレラに報告を受けた。
 完全に反応がなくなる。
 二人は就寝した。
 それから、交代まで魔獣の襲撃は無い。
 ローレッタと交代して野営訓練一日目が終わった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

タブレット片手に異世界転移!〜元社畜、ダウンロード→インストールでチート強化しつつ温泉巡り始めます〜

夢・風魔
ファンタジー
一か月の平均残業時間130時間。残業代ゼロ。そんなブラック企業で働いていた葉月悠斗は、巨漢上司が眩暈を起こし倒れた所に居たため圧死した。 不真面目な天使のせいでデスルーラを繰り返すハメになった彼は、輪廻の女神によって1001回目にようやくまともな異世界転移を果たす。 その際、便利アイテムとしてタブレットを貰った。検索機能、収納機能を持ったタブレットで『ダウンロード』『インストール』で徐々に強化されていく悠斗。 彼を「勇者殿」と呼び慕うどうみても美少女な男装エルフと共に、彼は社畜時代に夢見た「温泉巡り」を異世界ですることにした。 異世界の温泉事情もあり、温泉地でいろいろな事件に巻き込まれつつも、彼は社畜時代には無かったポジティブ思考で事件を解決していく!? *小説家になろうでも公開しております。

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

最強の異世界やりすぎ旅行記

萩場ぬし
ファンタジー
主人公こと小鳥遊 綾人(たかなし あやと)はある理由から毎日のように体を鍛えていた。 そんなある日、突然知らない真っ白な場所で目を覚ます。そこで綾人が目撃したものは幼い少年の容姿をした何か。そこで彼は告げられる。 「なんと! 君に異世界へ行く権利を与えようと思います!」 バトルあり!笑いあり!ハーレムもあり!? 最強が無双する異世界ファンタジー開幕!

スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜

かの
ファンタジー
 世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。  スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。  偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。  スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!  冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~

あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。 彼は気づいたら異世界にいた。 その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。 科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。

処理中です...