転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

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第6章 湿原のドラゴン

第34話 大湿原

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 今日のミニアが取ってきた依頼は希少薬草の採取。
 オルーナ草という薬草なんだが沼地に生えているらしい。
 この辺で沼地というと馬車で三日ぐらい行った所にあるオゼール大湿原だ。
 飛んで行けばあっという間なので依頼を受けた。
 今回の依頼は合同パーティで行う。
 ギルドで待ち合わせだ。

 ミニアがギルドから何人かと一緒に連れ立って出てくる。
 何か見た顔ばっかりだな。
 Eランクパーティの『不壊の鎖』の三人とCランクパーティの『光輪の鋭刃』の二人か。
 『不壊の鎖』のニコとランドとリアムと『光輪の鋭刃』のリタリーとは飯を一緒に食ったな。
 ミニアの友達だと思うけど改めて見て年齢層が高いな。
 同年代の冒険者はいないのは分かっているから仕方ないけど。
 リタリーと一緒にいる戦士も前に森で会った事がある。
 俺に大声で喧嘩を売ってきた奴だ。

 それとどす黒いエプロンをつけた女がいる。
 誰だ。
 薬師だとすると、たぶん依頼主だな。
 俺に自己紹介するような酔狂な人間はリタリーだけだ。
 新顔は挨拶もせず俺の背中に乗り込む。
 七人も乗ると狭い。
 幾ら俺の背中が広いといっても限度がある。
 翼の根元に皮のロープを何本も縛り急ごしらえの命綱とした。
 落ちなきゃ良いんだがな。

 空の旅は順調に進み二時間程で大湿原に着いた。

「さっそく。セイーロ草めっけ」

 依頼主の女が薬草を摘む。

「ポーションにしなきゃね。ソクチス・シニスカガヌワムレ・
ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
モチキニソ・けモセレ・
モセほモチキニソろモチノイゆシニスカネトニツイラハゆシニスカよネニモチキイろナミシイハニミイシよレ・
モチキニソシイリイカイゆモセよレ・む」

 おお、知らない呪文だ。
 どんな効果かな。
 わくわく。
 目を凝らして見つめるが効果は一向に現れない。
 なんだ失敗か。

「ヒラニシ・モチニミゆヒラニシよ・が・
セラスカニラミろモチノイろカイトカゆよレ・む」

 女はがっかりしたふうもなく次の呪文を唱えた。
 この呪文は知っているポーション作成だ。

 女の手には薬草のかわりにポーションが現れた。
 最初の呪文が気になる。
 ねぇ教えて教えて。
 俺が期待にこもった目で見ていたのにミニアが気づいた。

「アニーさん。魔法。意味。教えて」

 ミニアが汚いエプロンの女に話し掛ける。
 あの女はアニーというのだな。

「あれね。洗浄の呪文とポーション作成よ」
「秘術なの?」
「あの呪文は錬金術士なら、みな知っているわ。初歩の初歩よ」
「ありがとう」

 あれが洗浄か。
 俺のなんちゃって洗浄とは違う。
 痕跡は残さないし、非常にスマートだ。
 解析してみる。

char dirt[10]; /*汚れ十立方センチ*/
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=magic_make(dirt,sizeof(dirt),IMAGEUNDEFINED); /*汚れを魔法として登録*/
 magic_delete(mp); /*汚れを消去*/
}

 こんな感じだろう。
 人間や魔獣も消去できるのかな。
 これは簡単に実験できる。
 大地の単語は分かっているのだから、地面に虫を埋めて一緒に消去すれば良い。
 後で実験しよう。

 大湿原は深い沼になっている所もあるので俺に乗り進む。
 肩や首につかまっているのだけど不思議と落ちない。
 運動音痴には冒険者は務まらないってところだろう。
 後で鞍というか手すりみたいな物を装着するか。
 空中で戦闘になったらミニアが危ない。

 浮島があると錬金術士のアニーが薬草を探すために上陸する。
 関係ない薬草も採取して処理するので、探索は遅々として進まない。
 今日は浮島に野営だな。
 日が低くなったので家が建つぐらい広い浮島でテントを張る。
 俺は浮島に乗れないので水の中でくつろぐ。

「ウィザ。寒くない?」

 ミニアはシチューの大鍋を提げながら俺の所に来て心配そうに声を掛けた。

「大丈夫だ」

 俺はそう答え、鍋と一緒にシチューを食べた。
 冷えた体にシチューの温かみが染みる。
 少し歪んだ鍋をぺっと吐き出し料理の余韻に浸る。

 辺りが暗くなり焚き火を燃やし始めた。
 木のパチパチはぜる音と蛙の声が旅の雰囲気を感じさせる。
 空を見上げると満点の星。
 水にもそれが映りとても綺麗だ。
 これだけでも来た甲斐があったな。

 半分水の中だが、こんなのも良いのかもなと考えた。
 ドラゴンは寝貯めが出来る。
 七晩起きていたぐらいでは行動に支障はでない。
 今日は起きていよう。

 夜は長い。
 そうださっきの消去の実験をしよう。
 魔法のイメージはこうだ。

char earth[10000]; /*大地一万立方センチ*/
void main(void)
{
 MAGIC *mp; /*魔法定義*/
 mp=magic_make(earth,sizeof(earth),IMAGEBALL); /*大地を魔法として登録*/
 magic_delete(mp); /*大地を消去*/
}

 浮島の土を消去で消す。
 穴が開きミミズやら虫やらが底でもがく。
 やっぱり生き物は駄目か。
 単語が土限定だからかも知れない。
 でも考えてみたら、土は葉っぱの腐ったのやら虫の屍骸なんかも混じっているはず。
 開いた穴の底にはそういう物が見当たらない。

 俺のウロコの欠片をアイテムボックスから出して土に埋める。
 土を消すと一緒に消えた。
 違いはなんだ。
 生きているか生きていないかの違いか。
 少し痛いが、剥がれかかったウロコを剥がして土に埋めて消した。
 ウロコが消える。
 死んでいればオッケーってことかな。

 虫を殺して埋めて土を消す。
 あれ虫の屍骸が残ったぞ。
 まだ死んでないって判定なのかな。

 頭潰しても死んでないってどんな判定だ。
 いや待てよ。
 ミニアの鎧を魔法登録して動かそうとしたら俺は失敗した。
 自分の魔法は好きに動かせるということは。
 そうか、魔力だ。
 魔力が染みているんだ。
 ミニアの鎧には魔力が染みていたんだ。
 だから俺は動かせなかった。

 自然の魔力は誰にでも動かせるのだろう。
 所有者はなしってところか。

 虫の屍骸もしばらくは魔力が抜けないのだろう。
 魔力が消えるのは十分ぐらいだと考えられる。
 筋力強化が消えるのがそれぐらいだからな。
 同じぐらいに違いない。

 他人の装備品を好きに消せたらチートだが魔力のせいで出来ないって事か。
 薬草の汚れはどうなんだ。
 草や微生物には魔力がないか、あっても微弱なのだろう。
 なるほどな。

 じゃあ風呂の代わりに洗浄の魔法ですますのは本人限定か。
 俺のなんちゃって洗浄も意味があるんだな。
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