転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

文字の大きさ
66 / 164
第11章 貴族のドラゴン

第66話 ミニア排斥の企み

しおりを挟む
 今日も貴族会議。
 議題は昨日に引き続いて、トナークとの交渉をどうするかだ。

「議長、少し説明をしてもらいたい。平民がなぜこの会議に出席しているのですかな」

 貴族の一人がそんな事を言い始めた。

「それは、陛下がお決めになられた事です。ドラゴンが出席できないので代理では」
「それはおかしい。不在の貴族に代理が認められた前例などありません」

 獣臭くてかなわんとの野次が飛ぶ。
 議長が王様に何か耳打ちした。
 王様が何か呟いたようだ。

「えー、隷属主のみ代理を認めると」
「なるほど貴族を隷属させた者がいれば代理に出来ると。通りですね。隷属させたのなら意見を強制的に言わせる事もできる」
「納得いただけましたか」
「いえ、まだあります。その駄竜はなんですか」
「そ、それは」

 またも議長が王様にお伺いを立てる。

「みなさん、武器をお持ちです。テイマーにとっての武器とは魔獣である」

 議長が言い放った。

「なるほど」

 なんか雲行きが怪しいな。
 しかし、俺をミニアが隷属させてないのがばれると不味いな。
 俺が暴れないから疑いもしないってところなんだろうが。
 非常に不味い。
 なんでこんなにミニアに対して風当たりが強いんだ。

「では昨日に引き続き、トナークとの交渉の件です。ドラゴンとドラゴンテイマーの追放は譲れないとの返答がありました」

 何かが、おかしい。
 何かは分からないが。

「いっその事。ドラゴンとドラゴンテイマーを処刑されては」

 おい、おい、暴論だろう。
 ミニアに伝言を送る。

「処刑の罪は?」

 ミニアが発言した。

「では魔道具一万個が作れなかった場合に、その罪という事でどうでしょう」

 俺はミニアに伝言を送った。

「材料さえあれば。作れる。約束する」
「会議での発言は重いですぞ。もう覆せません。みなさんも聞きましたよね」

 半分の貴族から拍手が起こる。

「いったん、休憩とします」

 そう議長が言った。
 休憩が終わって再び会議となった。

「トナークとの要求を断固、跳ね除けるです。どうです皆さん」

 満場一致の拍手が起こる。
 茶番だな。

「この件は決まった様なので本日は終了いたします」

 議長の声が空々しく聞こえた。
 魔道具を納品できないミニアを追い込んで何かしたいのだろうが。
 そうは行かない。
 その足で魔道具一万個分の材料を手に入れた。
 もう大丈夫だ。
 普通の妨害なら、平気だろう。

 だが、気がかりが出来た。
 どうやら後をつけてくる者がいるようだ。
 巧妙に人ごみに隠れているがドラゴンは誤魔化せない。
 飛ぶと着陸地点にも待ち構えている。
 どんだけ人を動員したんだ。
 貴族、一人だけの仕業じゃないな。

 草原に居る見張りは穴を掘って隠れているようだった。
 執念深い事だ。

 俺は街道脇の草原に許可なく豆腐ハウスを作った。
 ミニアを宿に泊めると安全が保てないからだ。
 それに魔道具を作る現場を見せないためだ。
 魔道具は今夜一晩で完成できるだろう。
 しかし、早々に提出しては後からどんな無理難題を言われるか分からない。
 一ヶ月の期間のぎりぎりまで提出しないつもりだ。

 許可なく豆腐ハウスを建てたのを咎められたら、俺がぶっ壊して知らん振りを決め込むつもりだ。
 さて、トナークの秘密を暴く算段をつけないとな。
 どうもそこが根っこのように思える。

 翌日になった。
 今日は登城の日ではなかったので、俺とミニアは国境の街まで飛んだ。
 まさかここまで見張りは居ないだろうと思ったら。
 居る。
 居やがる。
 それも一人ではない十人は居る。
 動員の数は凄いが奇妙な事がある。
 認識阻害を誰も使っていないのだ。

 どういう事かな。
 まあ良いや。
 情報収集だ。
 前線に向かって飛ぶ。
 前線にはもう兵士はほとんど居なかった。
 俺達が来るのが分かると喝采が起こる。

 ミニアが鞍から飛び降りて兵士に聞き込みを開始する。

「トナークはどう?」
「やつらは大人しいもんです。気味が悪いぐらいです。巡回もほとんどありません」
「そう」

 どう考えたらいいのだろうか。
 戦争を継続する意思はない様だ。
 ならさっさと賠償金を払えと思わなくもない。
 理由、理由っと。
 リトワースの残党がごっそり居なくなったとか。
 でもユフィレーヌは生き残りは少ないって言ってなかったか。
 待てよ、ブライシー騎士団にいるリトワースの人間がもう居ないのであって、他の人間は居るかも。
 でもそれならリトワースの残党を探すよな。
 場合によっては探し出して始末する。

 うん分からん。
 プログラマーは探偵じゃない。

 国境の街で聞き込みするか。
 屋台で食べ歩きしながらミニアが会話する。

「戦争が。終わってから。おかしな事ない」
「ないな。戦争前なら、トナークから逃げ出した奴らが沢山いたな。大方トナークが負けると踏んだんだろうさ」
「逆に攻め込まれる?」
「その通りだ。俺ならトナークが負けるとなりゃ。トナーク側に住んでいたら逃げ出すさ」
「難民はどこへ?」
「そういえば、いつの間にか居なくなったな。トナークには帰りづらいからこの国に散っていったんじゃないのか」
「ありがと。串焼き。追加で百」
「まいど」

 ユフィレーヌは戦争に勝つつもりだったはずだ。
 ならリトワースの人間を前もってこの国に定住させるぐらいやりそうだな。
 でも今、トナークが混乱している理由が分からない。
 時限爆弾でも仕掛けておいたのか。
 ありえるな。
 戦争に勝ってもトナークがユフィレーヌとの約束を守る可能性は低い。
 俺がユフィレーヌなら時限爆弾を仕掛けて置く。

 それがミニアの排斥にどう繋がるかだ。
 俺がこの国の王なら、トナークをドラゴンで滅ぼせぐらいミニアに命令する。
 失敗しても別に困らないからな。
 考えても分からん。
 王都に帰ってから相手の出方をみよう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...