転生ドラゴンの魔法使い~魔法はガチでプログラムだった~

喰寝丸太

文字の大きさ
121 / 164
第21章 助手のドラゴン

第121話 呪文効率学

しおりを挟む
 今日もミニアの講義に付き合う。
 一週間は同じ内容だから、聞いていて非常に飽きる。
 週が変わると内容が変わる。
 なんか面白い事ないかな。
 教室の部屋のドアが少し開いていてそこに誰か居る。
 ホラーか。
 いや、この世界は幽霊のたぐいは居ないはず。
 俺はドアの隙間の死角からそおっと近づいた。
 うん、まだいるな。
 ドア越しに息遣いきづかいを感じる。

「わっ」

 俺が脅かすとドアが大きく開けられ一人の男が転がり込んできた。

「いきなり、何をするんだ。驚いたじゃないか」
「隠れるように講義を見ていたお前が悪い」

「そこっ、うるさい。今、授業中」

 ミニアからお叱りの言葉を頂いてしまった。
 男に仕草で外に出るよう伝える。
 男と一緒に廊下に出ると、堰を切った様に喋り始めた。

「ふん、愚民には分からないだろうが、この天才ジャスガ様が直々に足を運んでやったのだ。嬉しく思うが良い。呪文翻訳学、大層な名前が付いているが、大した事が無い。最先端の研究と言えば、私がやっている呪文効率学が誰しも頭に浮かぶだろう。どうだね、呪文翻訳学など辞めて、その知識を呪文効率学に生かしてみないか。ミニア君にもそう伝えておきたまえ」

 えーと、端的に言えば俺は凄い下につけと言いに来たのかな。
 ところで呪文効率学ってなんだ。
 聞いてみるか。

「呪文効率学って何だ」
「ふん、無知な人間にも分かり易く説明してやろう。呪文効率学とは魔法の呪文を如何いかに短くするか追求する学問なのだよ」
「それで研究は進んだのか」
「そ、それは。鋭意努力中だ」

 うろたえっぷりが面白い。
 表情に出やすい奴だな。

「呪文の中に『モセ』てっのが何度も出て来るだろう。それを『モ』に変えてみろよ」
「そっそれは。禁忌に踏み込んでいるのではないか」
「そんなの気にしたら呪文は短くならんだろう。作法にのっとっていればプログラムは怒らないさ」
「ふん、さも分かってますという事を言いやがって。良いだろう、ミニア君に伝えておきたまえ。教授になるのは僕の方が先だと」

 そう言うとジャスガは去って行った。

 呪文効率学に興味があったのでダッセンの所に行った。

「よう、ダッセン。呪文効率学について教えろよ」
「気安いな。言っとくが。ミニアには雇われているが、お前には雇われていない」
「俺はミニアの師匠だぞ」
「くそう、権威には勝てないのか。何が知りたい?」
「呪文効率学について学生が知っている程度の事で良い」
「呪文効率学は呪文学の一部でミニアがやっている呪文翻訳学と扱いは一緒だな」
「人気はあるのか」
「最初の一週はかなり人数を集めるが、その後は閑古鳥かんこどりだな」
「なんでだ」
「詠唱が短い方が何かと有利なのは分かるだろ。でも講義の内容が酷い。一番簡単な呪文を教えて、これが究極ときたものだ」

 余計な事を教えたかな。
 でも人気の寿命が一週間延びただけだろう。

「面白そうな学問だが、講師があれじゃな」
「講師のジャスガには気をつけろ。黒い噂がある」
「へぇ、表情に感情が出やすい奴だと思ったんだがな」
「噂では、奴はカンニング入学らしい。でもその手口が判明してない」
「ほう、少し興味が出てきたな」
「学園の卒業も講師の試験もそれで乗り切ったという、もっぱらの噂だ」

 俺はミニアの所に戻ると、講義はちょうど終わった所だった。

「ミニア、呪文の短縮を講義に組み込んだらいいんじゃないか」
「どういうふうに」
「たとえば、方向のデータを示す『ラスコニカ』という魔法語あるよな。それを『ラ』に変えるんだ。かなりの呪文短縮になるだろ」
「そのネタは講義するのにはもったいない。論文に書く」
「それに少し不思議に思っている事がある。ライブラリが無い」

「ライブラリって?」
「この場合は自分で作った呪文を簡単に呼び出す方法だな。何百文字の呪文がたった一つの言葉で呼び出せる」
「それがあれば詠唱って意味無しになるんじゃないの」
「だけどやり方が分からない。総当りで念じると何日かかるか分からない」

「それなら、番人に聞けば良いよ」
「番人って誰だ?」
「苦戦したゴーレムが居たじゃないあれが番人よ」
「もしかして、アンチマジックの魔法の入手先って番人なのか」
「そうよ」
「これは大発見だな」
「でも代償がいるの。私の魔力を捧げないといけないの。知りたい情報量によって捧げる魔力の大きさは変わるわ」

 パケット通信かよ。
 思わず心の中で叫んだ。
 俺の魔力が使えれば、情報引き出しまくりなんだが。
 ミニアが言い出さないところから無理なんだろうな。
 これは是非とも番人に会わないと。

「よし、会いに行こう」
「今は駄目よ。一週間で講義内容が変わるから。その合間に休みがある。その時にね」

 くそう、週末が待ち遠しいぜ。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~

おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。 どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。 そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。 その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。 その結果、様々な女性に迫られることになる。 元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。 「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」 今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

知識スキルで異世界らいふ

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
他の異世界の神様のやらかしで死んだ俺は、その神様の紹介で別の異世界に転生する事になった。地球の神様からもらった知識スキルを駆使して、異世界ライフ

神々に見捨てられし者、自力で最強へ

九頭七尾
ファンタジー
三大貴族の一角、アルベール家の長子として生まれた少年、ライズ。だが「祝福の儀」で何の天職も授かることができなかった彼は、『神々に見捨てられた者』と蔑まれ、一族を追放されてしまう。 「天職なし。最高じゃないか」 しかし彼は逆にこの状況を喜んだ。というのも、実はこの世界は、前世で彼がやり込んでいたゲーム【グランドワールド】にそっくりだったのだ。 天職を取得せずにゲームを始める「超ハードモード」こそが最強になれる道だと知るライズは、前世の知識を活かして成り上がっていく。

26番目の王子に転生しました。今生こそは健康に大地を駆け回れる身体に成りたいです。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリー。男はずっと我慢の人生を歩んできた。先天的なファロー四徴症という心疾患によって、物心つく前に大手術をしなければいけなかった。手術は成功したものの、術後の遺残症や続発症により厳しい運動制限や生活習慣制限を課せられる人生だった。激しい運動どころか、体育の授業すら見学するしかなかった。大好きな犬や猫を飼いたくても、「人獣共通感染症」や怪我が怖くてペットが飼えなかった。その分勉強に打ち込み、色々な資格を散り、知識も蓄えることはできた。それでも、自分が本当に欲しいものは全て諦めなければいいけない人生だった。だが、気が付けば異世界に転生していた。代償のような異世界の人生を思いっきり楽しもうと考えながら7年の月日が過ぎて……

異世界転生したらたくさんスキルもらったけど今まで選ばれなかったものだった~魔王討伐は無理な気がする~

宝者来価
ファンタジー
俺は異世界転生者カドマツ。 転生理由は幼い少女を交通事故からかばったこと。 良いとこなしの日々を送っていたが女神様から異世界に転生すると説明された時にはアニメやゲームのような展開を期待したりもした。 例えばモンスターを倒して国を救いヒロインと結ばれるなど。 けれど与えられた【今まで選ばれなかったスキルが使える】 戦闘はおろか日常の役にも立つ気がしない余りものばかり。 同じ転生者でイケメン王子のレイニーに出迎えられ歓迎される。 彼は【スキル:水】を使う最強で理想的な異世界転生者に思えたのだが―――!? ※小説家になろう様にも掲載しています。

無限の転生~今世でついに人間卒業!? こんな人生こりごりだとは言ったけど、人間辞めたいとは言ってない~

ねむ鯛
ファンタジー
気づいたら人間を辞めていた。 繰り返す転生。訪れない平穏。終わりのない闘争。 そんな人生はこりごりだと言った少女は、なんか気づいたら鳥になっていた。 ……鳥だから人生じゃない? 望み通り? 違う、そうじゃない。 「巨大な魔物がひしめくこんな厳しい大自然で、才能のない私が果たして生き残れるのでしょうか……?」 才がないと自認する少女は、事実としてこれまでの転生で幾度となく敗北を味わっていた。 しかし転生を重ねるたびに着実に強くなっていたようで……?   「まあ、私の能力を使えばなんとかなるでしょう。……あれ? 使えなくなってる……」 「転生なんてこりごりですが、……投げ出して、後悔だけはしたくないから……!!」 これはチート封印、慣れない鳥の姿、弟妹達のじゃれつき、大自然の脅威などなんやかんやに襲われて。 もう転生なんてしたくないと涙目になりつつ、修行し直したり、能力を取り戻したりしながら、今世は絶対幸せに過ごすために頑張って、世界最強への道を駆け上がっていく女の子のお話。 あと出会う人の脳を焼いたりもするよ。 ※見切り発車、不定期更新です。ガールズラブは保険。 たくさん転生してきた女の子のお話です。人外転生、のち人化要素があります。 題名変えました。  (旧旧旧旧題:永劫無尽の魂源輪廻《ウロボロス》)  (旧旧旧題:無限の転生~人外少女は異世界の空を飛ぶ(略)~) (旧旧題:無才少女~今世は人外です~(略)) (旧題【悲報】無限に転生してきた私、遂に人類をやめる【タスケテ】)

処理中です...