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第3章 ヴァンパイアから始まる塩漬け肉
第17話 営業妨害
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「この聖氷肉、そんじょそこらの肉と違う。一口食べてみなさい。天にも昇る心持とはこのこと。ただし、気をつけきゃいけない。氷属性の特別な薪でないと調理できない。さあ、試供品を食べた食べた。お買い上げはボルチック商店で」
シャデリーが口上を述べて試供品を街の通行人に勧めている。
意外な才能だな。
「おう、おう。誰に断わってここで商売してやがる」
断わるっても何も、店の前なんだから関係ないだろう。
なんかチンピラ達が出てきたな。
リーダーは頬に傷のある男で、如何にもという目つきをしている。
「あんたたちに払うお金はないよ」
シャデリーがきっぱりと断わった。
「なにおう。今回は前の様な訳にはいかないぜ。水魔法が使える助っ人を用意したからな」
「ちょっと、待てよ。俺のゴーレムと語り合いたいのか」
「兄貴やばいですぜ。ゴーレムはしぶとい」
「ふん、また来るからな」
飛車と角行をみるとチンピラ達は去って行った。
「シャデリー、あいつらはよく来るのか」
「そうね。この間も来たわ。私の火魔法を見て逃げて行ったけど」
「こんな事なら実演販売を辞めるか」
「無駄じゃないの。実演販売しない日にも来たから」
なんか陰謀めいたものを感じるな。
ネズミのゾンビにあいつらの跡をつけさせた。
現在、ネズミは教会を探って貰うため多数運用している。
後はネズミの報告待ちだ。
しばらくして、ネズミが帰ってきた。
ネズミの報告は分かりづらいが、道順などを案内させればいい。
これで奴らの立ち寄り先は丸裸だ。
まず立ち寄ったのは雑貨屋だ。
「帰ってくんな。お前らにやるゼニはねぇ」
「誰かと勘違いしてませんか。買い物に来ただけです」
「兄さんがいかついゴーレムを連れているから勘違いしちまった。めんぼくねぇ」
「誰か性質の悪いやつらでも来ましたか。うちの店も被害に遭ってるんです」
「おう、あいつら他の店でもやってるのか。ますます許せねぇ」
「あまり強硬に出ると危ない目に遇うかもしれません。気をつけた方が良い」
「お前さんも教会のやつらと似たような事を言うのだな。帰ってくれ」
なんで教会の名前が出てくるんだ。
もっと詳しく聞きたいが、今は話を聞けそうにないな。
また出直してこよう。
「被害者同士なにか良い知恵が出るかもかもしれません。また来ます」
そう言って次の場所へ向った。
次の店もチンピラの被害に遇っているようだ。
だが、教会の名前は出てなかった。
関係ないのかな。
次の目的地はなんと教会だった。
「すいません。頬に傷のある人が財布を落としまして届けてあげたいのですが、何か知りませんか」
俺は神官をつかまえて尋ねた。
「ああ、その方なら寄付をする為に度々寄られます。司祭様と話している事もありましたから、司祭様に話を聞いてみましょうか」
「それには及びません。これも何かの縁です。教会には私もちょくちょく参拝に来ようと思います。神の導きがあればその人にも会えるでしょう」
「神に祈りを捧げるのは良い事です。きっと、あなたには良い出会いが訪れるでしょう」
「では私はこれで」
喜捨箱に銅貨を入れて教会を立ち去った。
あいつらが熱心な信者。
無いな。ありえないと思う。
それに寄付なんか絶対しそうにない。
何か裏があるな。
立ち寄り先を全て回ってから結論を出すか。
次の場所は寂れた酒場だった。
ネズミによれば奴らはここに居るらしい。
ここが根城だな。
しばらく張り込んだが、動きはありそうにない。
ネズミのゾンビを後に残し、俺は土産を持って雑貨屋に再び戻った。
「これ、うちの店で扱っている聖水漬けです」
「おう、悪いねぇ。さっきはすまなかったな。わしは頭に血が登る性分でな」
「いいんですよ。それで、教会はどんな事を言ってきたんですか」
「腹が立つ事に毎月喜捨を払えば奴らと話をつけてやると言ったんだ」
ふーん、たぶんだけど教会とチンピラは同じ穴のむじなだな。
チンピラにショバ代を払わない店には教会が仲裁して信者と寄付の獲得を行うって寸法だろう。
「ほうほう、それで」
「チンピラにショバ代を払うのと何が違うんだ。確かに喜捨はあいつらが要求する額より低い。でも、わしゃあやり口が気に食わん」
「うちの店でも教会には気をつけます」
警備兵は教会の味方だろうな。
さてどうやって始末をつけるか。
普通に殺すのは下策だな。
ヴァンパイアにしちまおう。
ヴァンパイアなら普通に会話もできる。
周りの人に気づかれにくいはずだ。
オークの血ならいくらでも調達できるから、維持も問題ないと思う。
やってやるぞ。
俺はと金を背負い鞄いっぱいに詰めて、やつらの酒場に踏み込む。
「お前はあの時の。何しにきやがった」
「おまえらに改心してもらおうかと説得に来たよ」
「何を……」
俺はと金を取り出すと顔面に向って投げつけた。
「ぐわっ」
「兄貴こいつ魔物使いなんじゃ」
「それならゴーレムの意味が通らねぇ」
俺はと金を投げまくった。
「水よ水弾となって穿て【ウォーターバレット】」
「おう、おっかない。と金盾になれ」
と金の体で水弾を吸収する。
水魔法使いの足元から、別のと金が脛にへばりついた。
「離れろ、離れろ。血を吸うな」
水魔法使いはパニックだ。
「やばい、逃げるぞ」
裏口は飛車と角行が押さえている。
「裏口が開きません」
「大人しくスライムに吸われとけ」
俺はと金を投げつけた。
と金は背中に当たって、えり元から身体に吸い付いた。
「とってぇ。背中とってぇ」
リーダーは剣を抜いて俺の隙を窺っている。
俺も香車を抜いて対峙した。
「こんな事をすれば輝職同盟が黙ってないぞ」
「そこら辺の御託はヴァンパイアにしてからゆっくり聞くよ」
「お前、死体術士か」
「と金群がれ」
「くそう。覚えて……」
九匹の吸血スライムに一斉に集られリーダーが死んで生き残りは居なくなった。
少し散らかったが、血痕を残さずに上手く処理できた。
これならヴァンパイアにすれば、問題ないだろう。
「ヴァンパイアになれ【メイクアンデッド】」
血を抜かれたからか、青白いヴァンパイアが出来たな。
「さて、洗いざらい喋ってもらうぞ。まずは教会との関係だ」
「はいボス。教会の下部組織に輝職同盟がありまして、その更に下部組織があっしらです」
「輝職同盟ってのは始めて聞くな。どんな団体だ」
「レア職を崇めて差別職を弾圧する秘密結社です。水魔法使いがそのメンバーです」
なるほどチンピラは秘密結社の資金稼ぎ部隊だな。
他にもいるはずだ。
これは潰さないとだな。
シャデリーが口上を述べて試供品を街の通行人に勧めている。
意外な才能だな。
「おう、おう。誰に断わってここで商売してやがる」
断わるっても何も、店の前なんだから関係ないだろう。
なんかチンピラ達が出てきたな。
リーダーは頬に傷のある男で、如何にもという目つきをしている。
「あんたたちに払うお金はないよ」
シャデリーがきっぱりと断わった。
「なにおう。今回は前の様な訳にはいかないぜ。水魔法が使える助っ人を用意したからな」
「ちょっと、待てよ。俺のゴーレムと語り合いたいのか」
「兄貴やばいですぜ。ゴーレムはしぶとい」
「ふん、また来るからな」
飛車と角行をみるとチンピラ達は去って行った。
「シャデリー、あいつらはよく来るのか」
「そうね。この間も来たわ。私の火魔法を見て逃げて行ったけど」
「こんな事なら実演販売を辞めるか」
「無駄じゃないの。実演販売しない日にも来たから」
なんか陰謀めいたものを感じるな。
ネズミのゾンビにあいつらの跡をつけさせた。
現在、ネズミは教会を探って貰うため多数運用している。
後はネズミの報告待ちだ。
しばらくして、ネズミが帰ってきた。
ネズミの報告は分かりづらいが、道順などを案内させればいい。
これで奴らの立ち寄り先は丸裸だ。
まず立ち寄ったのは雑貨屋だ。
「帰ってくんな。お前らにやるゼニはねぇ」
「誰かと勘違いしてませんか。買い物に来ただけです」
「兄さんがいかついゴーレムを連れているから勘違いしちまった。めんぼくねぇ」
「誰か性質の悪いやつらでも来ましたか。うちの店も被害に遭ってるんです」
「おう、あいつら他の店でもやってるのか。ますます許せねぇ」
「あまり強硬に出ると危ない目に遇うかもしれません。気をつけた方が良い」
「お前さんも教会のやつらと似たような事を言うのだな。帰ってくれ」
なんで教会の名前が出てくるんだ。
もっと詳しく聞きたいが、今は話を聞けそうにないな。
また出直してこよう。
「被害者同士なにか良い知恵が出るかもかもしれません。また来ます」
そう言って次の場所へ向った。
次の店もチンピラの被害に遇っているようだ。
だが、教会の名前は出てなかった。
関係ないのかな。
次の目的地はなんと教会だった。
「すいません。頬に傷のある人が財布を落としまして届けてあげたいのですが、何か知りませんか」
俺は神官をつかまえて尋ねた。
「ああ、その方なら寄付をする為に度々寄られます。司祭様と話している事もありましたから、司祭様に話を聞いてみましょうか」
「それには及びません。これも何かの縁です。教会には私もちょくちょく参拝に来ようと思います。神の導きがあればその人にも会えるでしょう」
「神に祈りを捧げるのは良い事です。きっと、あなたには良い出会いが訪れるでしょう」
「では私はこれで」
喜捨箱に銅貨を入れて教会を立ち去った。
あいつらが熱心な信者。
無いな。ありえないと思う。
それに寄付なんか絶対しそうにない。
何か裏があるな。
立ち寄り先を全て回ってから結論を出すか。
次の場所は寂れた酒場だった。
ネズミによれば奴らはここに居るらしい。
ここが根城だな。
しばらく張り込んだが、動きはありそうにない。
ネズミのゾンビを後に残し、俺は土産を持って雑貨屋に再び戻った。
「これ、うちの店で扱っている聖水漬けです」
「おう、悪いねぇ。さっきはすまなかったな。わしは頭に血が登る性分でな」
「いいんですよ。それで、教会はどんな事を言ってきたんですか」
「腹が立つ事に毎月喜捨を払えば奴らと話をつけてやると言ったんだ」
ふーん、たぶんだけど教会とチンピラは同じ穴のむじなだな。
チンピラにショバ代を払わない店には教会が仲裁して信者と寄付の獲得を行うって寸法だろう。
「ほうほう、それで」
「チンピラにショバ代を払うのと何が違うんだ。確かに喜捨はあいつらが要求する額より低い。でも、わしゃあやり口が気に食わん」
「うちの店でも教会には気をつけます」
警備兵は教会の味方だろうな。
さてどうやって始末をつけるか。
普通に殺すのは下策だな。
ヴァンパイアにしちまおう。
ヴァンパイアなら普通に会話もできる。
周りの人に気づかれにくいはずだ。
オークの血ならいくらでも調達できるから、維持も問題ないと思う。
やってやるぞ。
俺はと金を背負い鞄いっぱいに詰めて、やつらの酒場に踏み込む。
「お前はあの時の。何しにきやがった」
「おまえらに改心してもらおうかと説得に来たよ」
「何を……」
俺はと金を取り出すと顔面に向って投げつけた。
「ぐわっ」
「兄貴こいつ魔物使いなんじゃ」
「それならゴーレムの意味が通らねぇ」
俺はと金を投げまくった。
「水よ水弾となって穿て【ウォーターバレット】」
「おう、おっかない。と金盾になれ」
と金の体で水弾を吸収する。
水魔法使いの足元から、別のと金が脛にへばりついた。
「離れろ、離れろ。血を吸うな」
水魔法使いはパニックだ。
「やばい、逃げるぞ」
裏口は飛車と角行が押さえている。
「裏口が開きません」
「大人しくスライムに吸われとけ」
俺はと金を投げつけた。
と金は背中に当たって、えり元から身体に吸い付いた。
「とってぇ。背中とってぇ」
リーダーは剣を抜いて俺の隙を窺っている。
俺も香車を抜いて対峙した。
「こんな事をすれば輝職同盟が黙ってないぞ」
「そこら辺の御託はヴァンパイアにしてからゆっくり聞くよ」
「お前、死体術士か」
「と金群がれ」
「くそう。覚えて……」
九匹の吸血スライムに一斉に集られリーダーが死んで生き残りは居なくなった。
少し散らかったが、血痕を残さずに上手く処理できた。
これならヴァンパイアにすれば、問題ないだろう。
「ヴァンパイアになれ【メイクアンデッド】」
血を抜かれたからか、青白いヴァンパイアが出来たな。
「さて、洗いざらい喋ってもらうぞ。まずは教会との関係だ」
「はいボス。教会の下部組織に輝職同盟がありまして、その更に下部組織があっしらです」
「輝職同盟ってのは始めて聞くな。どんな団体だ」
「レア職を崇めて差別職を弾圧する秘密結社です。水魔法使いがそのメンバーです」
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