漬物はネクロマンサーの香り~大量レベルアップの秘訣は新鮮な野菜の死体。大根アンデッド(漬物味)から始まる最強への道~

喰寝丸太

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第8章 領主ヴァンパイアから始まる教会排斥

第49話 錬金術師

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 領主に紹介された錬金術師に会いにいった。

「初めまして。領主から紹介されて来ました。あなたが錬金術師ですか」
「ええ、そうよ」

 錬金術師はお洒落な感じの何処にでもいる二十代の女性だった。

「ホムンクルスを定期的に欲しいのですが、都合できますか」
「仕事が欲しいから願ったり叶ったりだわ」
「何か俺の顔についています」

 彼女があんまりじろじろ見るものだから気になった。

「あなた、禁忌持ちね」
「なぜそれを」
「用心しているのは分かるけど、追われる者特有の仕草が出ているわ」
「ちなみにどんな」
「部屋に入った時に逃げ道をまず探したでしょ。次に相手の武装の確認。人が隠れていそうな所に目をやったわね」
「なるほど。初対面の人には自分の店以外で会わない方がいいのか」
「そうね。緊張は悟られ易いわ」
「密告するのか」
「はっきり言うと私も教会に追われているのよね」
「何をやったんだ」
「魂を持ったホムンクルスの研究」

「生命を創造しようとしたのか」
「ええ、ホムンクルスには魂が無いと言われているわ。私は霊術士と組んで研究してたの」
「それは教会の逆鱗げきりんに触れるな」
「まったく、進歩を否定してどうなるって言うの」

 なんとなく彼女は信頼しても良さそうな気がした。

「俺はサクタだ。死体術士だ」
「私はセルマ。ちなみに本名よ。偽名はケミカよ」
「ケミカ、ホムンクルスを早速用意してくれ」
「いいわよ。こっちに来て」

 隣室に案内された。
 そこには大きなタライが特殊なランプに熱せられていた。
 タライの中身ははっきり言って臭い。

「精液とハーブと糞と血よ。ホムンクルスとなれ【アルケミー】」

 タライの材料が子供ぐらいの人型をとる。
 人間と違うのは髪の毛がなくてへそがない。
 そして性器がない。
 瞳孔がなくて虹彩だけだ。
 なんとなく宇宙人を連想させる。

「使う上で注意点はあるか」
「魔力が切れると元に戻るから、一週間たったら連れて来て」
「知性は」
「知識は一通り持っているわ」

「こいつにマンドラゴラを引き抜かせたらどうなる」
「もちろん、元の材料に戻るわよ」
「ケミカはその場合どうなる」
「死なないわね」
「じゃあ、大もうけができる」

「ホムンクルスはね。知識を持っているの。当然そんな仕事は拒否して材料に戻ってしまうわ」
「俺はある機械でマンドラゴラヴァンパイアを切断しているんだが。その仕事をやってくれると思うか」
「あなたがやって見せれば、納得して仕事すると思う」
「そうか。よしホムンクルスついて来い。お前の名前は駒箱こまばこだ」
「ネームをインプットしました」

 ホムンクルスの声は無機質だ。
 どことなく電子音を連想させる。

「他に何か聞きたい事はある」
「こいつミスはするかな」
「感情はないから。人間よりミスは少ないわね」
「ありがとう。助かったよ」

 俺は用意していた金貨三十枚を皮袋に入れたまま渡した。
 ケミカは重さを確かめると机の引き出しに無造作に放り込んだ。

「何か美味しい仕事があれば、紹介して」
「情報が欲しいな。重要な情報なら金を払う」
「こんなのはどう。この街は禁忌持ちの極悪人らに狙われているわ」
「なんで」
「禁忌持ちを取り締まらないから、楽園だと思われているのよ。かく言う私も裏の情報屋に、この街を紹介してもらったの」
「そうか、情報の対価の金貨一枚だ」

 金貨を財布から出して投げ渡した。
 そして、ケミカの家を駒箱こまばこを連れて出た。
 禁忌持ちの極悪人か。
 ぶっ殺して、ヴァンパイアになってもらおう。

 家に戻り離れの小屋で駒箱こまばこに仕事の説明をする事にした。

「やってみるからな。まず、切断機の刃を持ち上げる。次にマンドラゴラヴァンパイアをセットして、タイマーをセット、スイッチを押して少し離れる」

 マンドラゴラヴァンパイアが切断され叫び声を上げた。

「マンドラゴラヴァンパイアが切断されたら血を与える。後は繰り返しだ」
「プロセスをインプットしました」
「よろしく頼むぞ」
「プロセスはスタートしました」

 駒箱こまばこの仕事ぶりを眺める。

「そうだ。もし、異常があった場合は仕事を中断しろよ。休んでて良い」
「フォールトをインプットしました」

 明日からは禁忌持ちの極悪人を狩ろう。
 強敵でなければいいが。
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