賠償スキルで無双します~魔王との戦いで逃げる時に勇者達に生贄として置いて行かれたので、賠償スキルでみんな奪ってやった~

喰寝丸太

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滅殺復讐ギルド人編

第11話 月陰る

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Side:ウメオ
「ワズフールさん死んだわ」

 機織りが悲しそうな目でそう言った。

「ああ、騙された商人か。で依頼票は」
「それならここに。殺しの相手はビッグブラック一味」

 ギルド職員が依頼票と金貨6枚を取り出した。
 一味じゃ分からん。
 殺しの相手を調べないとな。

「この金貨6枚はワズフールの娘さんが年季奉公で稼いだお金」
「機織り、分かってる。ここにくるお金は全て命を削っているってな。じゃあ調べてくる」

 そう言って俺は金貨2枚を手に取った。
 リリムとシャランラが金貨を手に取る。

 俺はロウソクの炎をふっと吹き消した。
 さて、ビッグブラックの商会の噂を酒場で拾い集める。
 良い噂しか出て来ない。
 だが、取引のあったいくつかの商会は潰れている。
 なのに悪い噂がない。
 もみ消したな。

 商会の従業員は誰も堅い感じだ。
 悪そうな奴はいない。
 外面には気を使っているな。
 さてと、手代の一人に飲みに行くのが好きな奴がいる。
 こいつにターゲットを絞った。

「お兄さん羽振りが良いねぇ」

 俺は同じテーブルに座った。

「なんだ奢れってのか」
「いいや逆だ。その運にあやかろうってことで、俺が奢るから一杯やって下さい」
「おお、そういうことなら。給仕、エールを。お代はここの人が」
「はいよ」

 エールを一杯奢って、そして俺はさらに切り出す。

「いい娘がいるんですがね。いえ、お代は要らない。運を貰おうってんですよ」
「ほう、じゃ行くか」

 手代を宿屋の一室に案内する。

「娘はどこだ」
「ここですよ」

 俺は魔道具『一夜の蝶の羽ばたき』を起動した。
 これは幻影を見せて気持ちよくさせるというものだ。

「うへぇ、はうん」
「お兄さん、商人に詐欺して殺しをやるとしたら、ビッグブラック一味は誰です?」
「うん、お役人のダウシャルと護衛のレイコック。ううん、はうっ」

 それだけ聞けば十分だ。
 あとはこっちで調べる。
 良い夢見ろよ。
 宿屋から出て酒場で情報収集。

 まずはビッグブラック、こいつは商会の会頭で、趣味らしい趣味もない。
 スキルは重力軽減。
 護衛のレイコック、こいつは人を殺すのが趣味だな。
 スキルは刺突と鋭刃。
 役人のダウシャル、こいつは何より金が好き。
 スキルは空気判読と世辞。

 賠償の時間だ。

「こんにちは」

 ワズフール商会はお葬式の準備中だった。
 喪主の席があるので俺は近寄って話し掛けた。

「おじさんは誰?」
「キュートナちゃん、この人はウメオと言ってお姉さんの知り合い」
「シャランラさんの友達」

「お父さんと語らいたい」
「えっ、死んだ人と話せるの」
「まあな」
「私は元気にやっているから心配しないでと言って」

 俺は案内された棺に手をやった。

「賠償スキルを使わせてやる。キュートナが元気にやっているから心配しないでだとさ」
『これはありがたい。【賠償】』

――――――――――――――――――――――――
名前:ワズフール
レベル:38
魔力:3713/3713
スキル:
  値付
  重力軽減
  刺突
  鋭刃
  空気判読
  世辞
――――――――――――――――――――――――

 うん、たぶんレイコックのレベルが高かったな。
 値付はワズフールさんのスキルだろう。
 やはり復讐の相手はあの3人で良いようだ。
 足元には金貨の山。
 キュートナは目を丸くしてそれを見てた。

「レベルと経験値貰うぞ」
『どうぞ。娘をお願いします』
「任せておけ。ステータスオープン」

――――――――――――――――――――――――
名前:ウメオ・カネダ
レベル:38
魔力:0/0
スキル:
  賠償
――――――――――――――――――――――――

「お父さんが取った賠償金はどうする?」
「シャランラさんが預かって下さい」
「キュートナちゃんの年季奉公を無しにしてもいいのよ」
「いいえ、このままだと商人として未熟です。一杯勉強しないと。それに父さんの命の代償を使うなら、ワズフール商会再建の時です」
「好きにするといいさ」

 殺しの会合を開く。
 醤油蔵のテーブルの上にあるロウソクの炎が揺れる。

「殺しの相手はビッグブラックとダウシャルとレイコック」
「私は誰をやればいいのかしら?」
「ビッグブラックは店から滅多に出ない。だから店の中でやる。シャランラが商材として糸を持ち込む。リリムは護衛だ」
「ということは、私はレイコックね」

 女領主が頷いた。

「私はビッグブラック」

 機織りも頷く。

「残った俺はダウシャルだ」

 俺はロウソクの炎を吹き消した。
 俺達3人は月明かりの下進み、やがて月は雲に隠れた。
 俺達は闇に溶けた。
 犬が悲しそうな遠吠えを上げる。

 やがて辺りに聞こえるのは、ヒタヒタ歩く俺達の足音だけになった。
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