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第4章 盗まれたスペルブック編
第208話 人気投票と、ペットゲームと、ファンの励まし
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ベークが来ないなと思っていたら、来やがった。
「次の勝負は人気投票だ」
ベークに人差し指を突き付けられてそう宣言された。
人気投票は建国祭でやったから目新しさがない。
あれをまだ引きずっているのかな。
「ルールは?」
「物を一つ用意する。その物の人気が、どちらが高いかで、人気投票だ。物や金での買収は禁止する」
「展示の期間は?」
「1週間だ」
こいつらしいと言えばらしいな。
純粋な人としての魅力で、勝負しようと言わない辺りがな。
ベークはもう既に品物を用意しているんだろうな。
「10日くれ」
「よし、10日後だ。逃げるなよ」
そう言ってベークは去って行った。
俺が何を作ろうかと考えていたら、レクティがそばに寄って来た。
「ベークの品物が何か分かりました」
レクティ、優秀だな。
「聞いても作ろうとしている物に影響はないが、せっかく調べてくれたんだから聞くよ」
「ベークの品物はハムです」
「地味な物を選んだな」
「いいえ、卑怯な手段で来るつもりですね。ベークの家、ライト伯爵家は畜産が盛んです。商会も経営しているのですが、そこでハムの大売り出しを10日後に、期間を一週間でするそうです。生徒会にも即売会をやりたいと申請書が出されています」
「食い物は建国祭で失敗したんだから、別の手でくれば良いのに。展示即売会はありなのか。まあ別に良いな。俺は魔道具を作るつもりだから」
「オルタネイト主催で展示即売会をしましょう」
「やるか。でも大売り出しはしない」
「商品に自信がおありなのですね」
「格の違いを見せつけてやるさ」
俺が考えたのはペットゲーム機だ。
1週間の展示で、ペットが星に帰るまでをやる。
要素は進化と、餌やりと、糞の処理と、一緒に遊ぶだ。
このぐらいなら、10日で作れる。
プログラムは条件分岐の塊になるだろうから面白みはないが。
あとはペットのデザインだな。
「レクティに聞いたのだけど、ベークが勝負のお題を伝えたみたいね。何か私に手伝えることない」
そうセレンが言ってきた。
「あるよ。デザインだ」
「デザイン、面白そう」
マイラも寄って来た。
「じゃあ、みんなでやろう。ペットは個性がないとね」
マイラは、少しキモイペットをデザインした。
でも動きがユーモラスだ。
レクティは、普通というか、どことなく上品さがある。
よく訓練された犬みたいなペットだ。
リニアのペットは狼系だな。
動きが野生を感じさせる。
セレンはというと可愛いのをデザインしてきた。
この中で一番じゃないかな。
俺、俺はロボットみたいなのにした。
動きが想像し易かったのだ。
たぶんハズレとか言われるんだろうな。
イメージで動きとデザインが出来るので作成は早い。
ペットの進化の条件と機嫌が悪くなったりのプログラムが厄介だった。
それ以外は難航はしない。
ペットの声のイメージも4人と俺が担当した。
俺のペットの声は電子音と電気信号の音だ。
簡単だった。
ペットゲームのβ版は勝負の日の3日前に無料で放出してある。
バグを見つけると、製品版がただで貰えるように手配した。
子供は夢中になった。
そりゃそうだよね。
バグも一日で大体落ち着いた。
進化系統のバグは分かりづらいので、滅茶苦茶な進化をしても仕様だと誤魔化す事にしている。
勝負の日が来た。
展示即売会が開かれる。
ベーク陣営も同じだ。
あっちは良い匂いをさせている。
「タイト、負けてるよ」
マイラが悔しそうに言った。
「まあまあ、そのうち食いつくさ」
展示即売会でぼちぼちと売れた。
メインの展示ブースでは係の人が交代でゲーム上のペットのお世話をしている。
世話を放棄すると星に帰ってしまうから大変だ。
もっとも頻繁に呼ばれたりはしないがな。
多くても30分に1回程度だ。
お休みの挨拶を言うと、ペットはスリープモードに入る。
呼ぶ間隔が大幅に広がる。
でも寝ている最中でも呼ばれる事はたまにある。
睡眠不足が多発しないと良いんだけど。
ゲームを買った人は真剣に係員に相談している。
上手い育て方のコツを聞いているようだ。
展示5日目になると人気が逆転した。
みんな、夢中だ。
そうそうゲームの名前は『お世話します』にした。
あのお世話は殺意を覚えたからな。
プログラムが見えると、ネタが分かって面白くなくて、単純作業だ。
で、殺意を覚えるというわけだ。
まあ殺意は大げさだな。
イラっとくる。
で『お世話します』にした。
お世話するゲームなんだよと言い聞かせれば出来ない事もない。
最終日、生徒会が投票を取り仕切る。
俺の圧勝だった。
「汚いぞ。どうせ展示即売会が終わったら商品の値段を上げるんだろう」
さっそくベークが文句を言いに来た。
「いや、1年ぐらいは値上げはしないんじゃないかな。そうだよなレクティ」
「材料の魔石が上がらない限りは、上げるつもりはございません」
「だそうだ」
「ぐぬぬ。覚えてろよ。あと勝負は2回ある」
ベークが大股で去って行った。
「こんかい私は役に立ったのだろうか」
「セレン、暗いぞ。ペットの人気投票を見てみろよ。セレンのが1位だ」
「ほんとう?」
「ああ、自信を持て」
この後、マイラ達3人の機嫌を取るのが大変だった。
でも、人気投票に一言書く欄を作ったんだ。
それには賞賛や溺愛の言葉が溢れている。
万人受けしなくても刺さる人には刺さるという事はある。
みんなそれを読んで納得した。
「次の勝負は人気投票だ」
ベークに人差し指を突き付けられてそう宣言された。
人気投票は建国祭でやったから目新しさがない。
あれをまだ引きずっているのかな。
「ルールは?」
「物を一つ用意する。その物の人気が、どちらが高いかで、人気投票だ。物や金での買収は禁止する」
「展示の期間は?」
「1週間だ」
こいつらしいと言えばらしいな。
純粋な人としての魅力で、勝負しようと言わない辺りがな。
ベークはもう既に品物を用意しているんだろうな。
「10日くれ」
「よし、10日後だ。逃げるなよ」
そう言ってベークは去って行った。
俺が何を作ろうかと考えていたら、レクティがそばに寄って来た。
「ベークの品物が何か分かりました」
レクティ、優秀だな。
「聞いても作ろうとしている物に影響はないが、せっかく調べてくれたんだから聞くよ」
「ベークの品物はハムです」
「地味な物を選んだな」
「いいえ、卑怯な手段で来るつもりですね。ベークの家、ライト伯爵家は畜産が盛んです。商会も経営しているのですが、そこでハムの大売り出しを10日後に、期間を一週間でするそうです。生徒会にも即売会をやりたいと申請書が出されています」
「食い物は建国祭で失敗したんだから、別の手でくれば良いのに。展示即売会はありなのか。まあ別に良いな。俺は魔道具を作るつもりだから」
「オルタネイト主催で展示即売会をしましょう」
「やるか。でも大売り出しはしない」
「商品に自信がおありなのですね」
「格の違いを見せつけてやるさ」
俺が考えたのはペットゲーム機だ。
1週間の展示で、ペットが星に帰るまでをやる。
要素は進化と、餌やりと、糞の処理と、一緒に遊ぶだ。
このぐらいなら、10日で作れる。
プログラムは条件分岐の塊になるだろうから面白みはないが。
あとはペットのデザインだな。
「レクティに聞いたのだけど、ベークが勝負のお題を伝えたみたいね。何か私に手伝えることない」
そうセレンが言ってきた。
「あるよ。デザインだ」
「デザイン、面白そう」
マイラも寄って来た。
「じゃあ、みんなでやろう。ペットは個性がないとね」
マイラは、少しキモイペットをデザインした。
でも動きがユーモラスだ。
レクティは、普通というか、どことなく上品さがある。
よく訓練された犬みたいなペットだ。
リニアのペットは狼系だな。
動きが野生を感じさせる。
セレンはというと可愛いのをデザインしてきた。
この中で一番じゃないかな。
俺、俺はロボットみたいなのにした。
動きが想像し易かったのだ。
たぶんハズレとか言われるんだろうな。
イメージで動きとデザインが出来るので作成は早い。
ペットの進化の条件と機嫌が悪くなったりのプログラムが厄介だった。
それ以外は難航はしない。
ペットの声のイメージも4人と俺が担当した。
俺のペットの声は電子音と電気信号の音だ。
簡単だった。
ペットゲームのβ版は勝負の日の3日前に無料で放出してある。
バグを見つけると、製品版がただで貰えるように手配した。
子供は夢中になった。
そりゃそうだよね。
バグも一日で大体落ち着いた。
進化系統のバグは分かりづらいので、滅茶苦茶な進化をしても仕様だと誤魔化す事にしている。
勝負の日が来た。
展示即売会が開かれる。
ベーク陣営も同じだ。
あっちは良い匂いをさせている。
「タイト、負けてるよ」
マイラが悔しそうに言った。
「まあまあ、そのうち食いつくさ」
展示即売会でぼちぼちと売れた。
メインの展示ブースでは係の人が交代でゲーム上のペットのお世話をしている。
世話を放棄すると星に帰ってしまうから大変だ。
もっとも頻繁に呼ばれたりはしないがな。
多くても30分に1回程度だ。
お休みの挨拶を言うと、ペットはスリープモードに入る。
呼ぶ間隔が大幅に広がる。
でも寝ている最中でも呼ばれる事はたまにある。
睡眠不足が多発しないと良いんだけど。
ゲームを買った人は真剣に係員に相談している。
上手い育て方のコツを聞いているようだ。
展示5日目になると人気が逆転した。
みんな、夢中だ。
そうそうゲームの名前は『お世話します』にした。
あのお世話は殺意を覚えたからな。
プログラムが見えると、ネタが分かって面白くなくて、単純作業だ。
で、殺意を覚えるというわけだ。
まあ殺意は大げさだな。
イラっとくる。
で『お世話します』にした。
お世話するゲームなんだよと言い聞かせれば出来ない事もない。
最終日、生徒会が投票を取り仕切る。
俺の圧勝だった。
「汚いぞ。どうせ展示即売会が終わったら商品の値段を上げるんだろう」
さっそくベークが文句を言いに来た。
「いや、1年ぐらいは値上げはしないんじゃないかな。そうだよなレクティ」
「材料の魔石が上がらない限りは、上げるつもりはございません」
「だそうだ」
「ぐぬぬ。覚えてろよ。あと勝負は2回ある」
ベークが大股で去って行った。
「こんかい私は役に立ったのだろうか」
「セレン、暗いぞ。ペットの人気投票を見てみろよ。セレンのが1位だ」
「ほんとう?」
「ああ、自信を持て」
この後、マイラ達3人の機嫌を取るのが大変だった。
でも、人気投票に一言書く欄を作ったんだ。
それには賞賛や溺愛の言葉が溢れている。
万人受けしなくても刺さる人には刺さるという事はある。
みんなそれを読んで納得した。
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