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第1章 禁忌活用編
第12話 簡易魔道具できあがる
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ウッドゴーレム十体が犬ゴーレムを山盛りに持ってぞろぞろ歩く。
もの凄く目立っている。
途中、道端の子供が欲しい欲しいを連発。
通り過ぎると子供が涙目になる。
ルシアラの店で売っている事を宣伝しておいた。
ゴーレムを外に待たせドアをくぐる。
「納品に来たよ」
俺がそう言うとルシアラが奥から出て来る。
「おっ、早いな。今お茶を淹れるから待ってろ」
奥のテーブルの椅子に座りしばらく待つと、ティーセットを持ったルシアラが戻って来た。
「マリリさんは?」
「用事で外に出ている」
「まあ、良いけど。ところで、変形スキルと抽出スキルと混合スキルを持った人いないかな」
「仕事を頼むのか?」
「聞いていると思うけど、俺は奴隷だったんで、見る物全てが面白い。そのスキルで何が作れるのか見たいんだ」
流石に禁忌を犯しているのを悟られないように偽装工作する為にスキルが覚えたいとは言えない。
「そうか、なら、あたいの親父が工房をやっていて、そこの職人がそのスキルを持っていたはずだ。紹介状を書いてやるよ」
上手くいって良かった。
これで簡易魔道具作成も一歩前進だ。
「ありがと」
倉庫に犬ゴーレムを納品して、工房に行く。
勿論ゴーレムは護衛の一体を連れて、残りは宿の裏庭に置いてきた。
工房は職人街にあり、ファス工房、金属製品を各種承りますと看板に書いてある。
「こんにちわ」
「なんです?」
若い職人に紹介状を渡すと、職人は奥に行ってから再び帰って来た。
「親方は留守なんで、俺が案内します」
俺は工房で変形、抽出、混合のスキルを見せてもらうと、なんと三つのスキルは魔力走査した結果同じ事をしていると分かった。
変形は元素の結合に魔力で干渉して形を変える。
抽出は元素の結合に働きかけ、一定の物質を抜き出す。
混合は魔力で元素の結合に干渉して混ぜ合わせるといった具合だ。
元素の結びつきに干渉するのは一緒だ結果が違うだけ。
工房の裏庭のジャンク置き場でスキルを試す。
魔力に持たせるイメージが少し異なるだけだったので簡単に覚えられた。
でもこれ、物理の知識が無いと魔力走査しても何のことやら分からないはずだ。
もの凄い不親切に思えた。
帰り道にライタに話し掛ける。
「前から不思議だったんだけど。一回スキルを発動すると覚えるのって何でだと思う」
『スキルは魔力回路が作られると覚えられるんじゃないかな。一回の発動で良いってのが謎だが』
「なんかこの謎を追求すると禁忌に触れて死ぬような目に会いそうな予感がする」
『たぶん、魔力が何かってところまで考えないと解決しないな』
「困った事に、それって禁忌なんだよな」
『禁忌って言えば魔石にスキル許可出来ただろう。ゴーレムにスキル許可してみないか』
「ゴーレムが大爆発しそうで嫌なんだけど」
『制御も許可すれば、きっと大丈夫だよ』
「それよりもとりあえず、簡易魔道具を作ってマリリに見せたい」
罪状鑑定の魔道具は使い所が限られる為、新たにスキルを覚える事にした。
宿に帰り、掃除をしていたヴェラに話し掛ける。
「頼みがあるんだけど」
「そんな事言って私に惚れてるもんだから、部屋に呼び込んでいかがわしい真似するつもりでしょ」
「いや、この場でも出来る事なんだけど」
「キスするつもりね」
「いや、スキルを見せて欲しいだけだよ。生活スキルが良い」
スキルの分類は国によって違うが、この国では生活スキル、生産スキル、特殊スキル、武術スキル、魔法スキル、鑑定スキルに分かれていた。
生活スキルは別名生活魔法と呼ばれたりしているが、生活する上で便利なスキルだ。
攻撃に使うスキルなどと違って持っている人が多い為に隠さないのが普通だった。
「なんだ、服を洗浄して欲しいのね。早く言えば良いのに。大銅貨一枚よ」
洗浄スキルを見せて貰うと、魔力で汚れをくっ付けて落とすという仕組みだ。
ライタのアドバイスで空気の中に溶け込んでいる水分を魔力にくっ付け引き寄せる。
そうしたら、生水スキルが覚えられた。
魔力で銅貨をくっ付け、空中で動かしたら、念動スキルが。
スキルが一挙に三つも覚えられた。
爆発しても良いように草原に行き、魔石に洗浄のスキルを許可する。
突然の爆発。
予期しない爆発に俺はびっくりして飛び上がった。
離れてやっていたのが、功を奏した形だ。
「何でだ。手順は間違って無いはず」
『魔力視を使ってないだろ』
そうだ、何時もは魔力視を使っていた。
禁忌やばいな、罠がありすぎだ。
という事は魔力回路の複写には魔力視が絶対いるという事になる。
簡易魔道具を他人が作り出す確率が限りなくゼロになった。
商売敵が出てこないのは嬉しいけど、禁忌を犯して生き残るのは大変だと改めて思う。
『スキルを覚える為の最後のピースが埋まったよ』
「教えてよ」
『推測になる、魔力視があれば複写できるんだ。レベル0はイメージした時に回路が一瞬出来て消える。普通はそれが段々と固定化される。魔力視の場合はいきなり複写固定化してレベル1にしてしまう』
「なるほどそんな仕組みなんだな」
魔力視凄いな、最初は役に立たないとか思ったけど、ものづくりやスキル獲得に役に立っている。
洗浄と生水の簡易魔道具を作ったら、ライタが。
『ここまできたら、ゴーレムにスキルを許可しようぜ』
そうだ、小さいクレイゴーレムなら魔力も少ないし爆発しても問題ないかも。
手の平大のゴーレムを作り生水スキルを許可する。
ゴーレムにスキルを使えとイメージを送るが、何も起こらない。
「うーん、爆発しなかったのは良いけれど、上手くいかないもんだな」
『魔力を蓄えたり吸い出したり出来る所はゴーレムも魔石と同じだ。魔石との違いは生き物だったかそうでないかって事じゃないかな』
「そうか、それなら皮とか使えばいいのかな」
皮を早速仕入れてきてやってみた。
結果は反応無し。
『反応無しという事は今も魔石は生きているってことだろう』
「ゴーレムを生き物には流石に出来ないよ」
『並列システムなら入れられる可能性がある。思考が必要なのかも』
今度は並列システムとスキルと制御の魔力回路を入れて見た。
ゴーレムの中の並列システムがスキルを使うと見事、水玉が現れる。
遂にやったけど、魔石が取り出されても生きているなんて事実は段々と禁忌に近づいている気がしないでもない。
そして、魔力ゴーレムの中にスキルを入れるのは今でも恐い。
あの魔力が全て爆発したら、俺も粉微塵に吹き飛ぶだろう。
「なあ、魔力ゴーレムにスキルを入れるのは絶対しないからな」
『ああ、分かった』
簡易魔道具の色抜きと染色と変形はすんなりと出来た。
魔石の赤い色は鉄分の色という知識が増えただけだ。
土産物屋に簡易魔道具のサンプルを持って行く。
土産物屋のドアを開けるとマリリが出迎えてくれた。
「商品のサンプルを持ってきました」
俺の言葉にマリリは嬉しそうに顔をほころばせる。
「じらさないで、見せてちょうだい」
俺は四角くて青い簡易魔道具をマリリに渡し、使い方を説明する。
マリリは驚愕し、奥に声を掛けた。
「ルシアラ、ちょっと来て。凄いよこれ」
ルシアラが訝しげな表情で奥から出てきた。
「何興奮してるんだ。見せてみな」
ルシアラの半信半疑な顔が簡易魔道具を試すと驚愕の表情に変わる。
「絶対売れるわ。フィル、ありがとう」
「これ、俺にしか作れないのだけど、そこは良いの」
「冒険者の片手間でどれだけ作れる?」
「一時間もあれば百個ぐらい作れると思う」
「なら決まりね。私、これを持って色々な場所へ売りに行くわ」
「フィル、お前は頼りなさそうだけど、やる時はやる男だな」
マリリからお金を預かり、帰りに冒険者ギルドで魔石を仕入れて宿に帰る。
百個の簡易魔道具を作り、今日の仕事を終えた。
着ぐるみゴーレムの魔力補給がありがたい。
これが無かったら幾日掛かる事やら。
もの凄く目立っている。
途中、道端の子供が欲しい欲しいを連発。
通り過ぎると子供が涙目になる。
ルシアラの店で売っている事を宣伝しておいた。
ゴーレムを外に待たせドアをくぐる。
「納品に来たよ」
俺がそう言うとルシアラが奥から出て来る。
「おっ、早いな。今お茶を淹れるから待ってろ」
奥のテーブルの椅子に座りしばらく待つと、ティーセットを持ったルシアラが戻って来た。
「マリリさんは?」
「用事で外に出ている」
「まあ、良いけど。ところで、変形スキルと抽出スキルと混合スキルを持った人いないかな」
「仕事を頼むのか?」
「聞いていると思うけど、俺は奴隷だったんで、見る物全てが面白い。そのスキルで何が作れるのか見たいんだ」
流石に禁忌を犯しているのを悟られないように偽装工作する為にスキルが覚えたいとは言えない。
「そうか、なら、あたいの親父が工房をやっていて、そこの職人がそのスキルを持っていたはずだ。紹介状を書いてやるよ」
上手くいって良かった。
これで簡易魔道具作成も一歩前進だ。
「ありがと」
倉庫に犬ゴーレムを納品して、工房に行く。
勿論ゴーレムは護衛の一体を連れて、残りは宿の裏庭に置いてきた。
工房は職人街にあり、ファス工房、金属製品を各種承りますと看板に書いてある。
「こんにちわ」
「なんです?」
若い職人に紹介状を渡すと、職人は奥に行ってから再び帰って来た。
「親方は留守なんで、俺が案内します」
俺は工房で変形、抽出、混合のスキルを見せてもらうと、なんと三つのスキルは魔力走査した結果同じ事をしていると分かった。
変形は元素の結合に魔力で干渉して形を変える。
抽出は元素の結合に働きかけ、一定の物質を抜き出す。
混合は魔力で元素の結合に干渉して混ぜ合わせるといった具合だ。
元素の結びつきに干渉するのは一緒だ結果が違うだけ。
工房の裏庭のジャンク置き場でスキルを試す。
魔力に持たせるイメージが少し異なるだけだったので簡単に覚えられた。
でもこれ、物理の知識が無いと魔力走査しても何のことやら分からないはずだ。
もの凄い不親切に思えた。
帰り道にライタに話し掛ける。
「前から不思議だったんだけど。一回スキルを発動すると覚えるのって何でだと思う」
『スキルは魔力回路が作られると覚えられるんじゃないかな。一回の発動で良いってのが謎だが』
「なんかこの謎を追求すると禁忌に触れて死ぬような目に会いそうな予感がする」
『たぶん、魔力が何かってところまで考えないと解決しないな』
「困った事に、それって禁忌なんだよな」
『禁忌って言えば魔石にスキル許可出来ただろう。ゴーレムにスキル許可してみないか』
「ゴーレムが大爆発しそうで嫌なんだけど」
『制御も許可すれば、きっと大丈夫だよ』
「それよりもとりあえず、簡易魔道具を作ってマリリに見せたい」
罪状鑑定の魔道具は使い所が限られる為、新たにスキルを覚える事にした。
宿に帰り、掃除をしていたヴェラに話し掛ける。
「頼みがあるんだけど」
「そんな事言って私に惚れてるもんだから、部屋に呼び込んでいかがわしい真似するつもりでしょ」
「いや、この場でも出来る事なんだけど」
「キスするつもりね」
「いや、スキルを見せて欲しいだけだよ。生活スキルが良い」
スキルの分類は国によって違うが、この国では生活スキル、生産スキル、特殊スキル、武術スキル、魔法スキル、鑑定スキルに分かれていた。
生活スキルは別名生活魔法と呼ばれたりしているが、生活する上で便利なスキルだ。
攻撃に使うスキルなどと違って持っている人が多い為に隠さないのが普通だった。
「なんだ、服を洗浄して欲しいのね。早く言えば良いのに。大銅貨一枚よ」
洗浄スキルを見せて貰うと、魔力で汚れをくっ付けて落とすという仕組みだ。
ライタのアドバイスで空気の中に溶け込んでいる水分を魔力にくっ付け引き寄せる。
そうしたら、生水スキルが覚えられた。
魔力で銅貨をくっ付け、空中で動かしたら、念動スキルが。
スキルが一挙に三つも覚えられた。
爆発しても良いように草原に行き、魔石に洗浄のスキルを許可する。
突然の爆発。
予期しない爆発に俺はびっくりして飛び上がった。
離れてやっていたのが、功を奏した形だ。
「何でだ。手順は間違って無いはず」
『魔力視を使ってないだろ』
そうだ、何時もは魔力視を使っていた。
禁忌やばいな、罠がありすぎだ。
という事は魔力回路の複写には魔力視が絶対いるという事になる。
簡易魔道具を他人が作り出す確率が限りなくゼロになった。
商売敵が出てこないのは嬉しいけど、禁忌を犯して生き残るのは大変だと改めて思う。
『スキルを覚える為の最後のピースが埋まったよ』
「教えてよ」
『推測になる、魔力視があれば複写できるんだ。レベル0はイメージした時に回路が一瞬出来て消える。普通はそれが段々と固定化される。魔力視の場合はいきなり複写固定化してレベル1にしてしまう』
「なるほどそんな仕組みなんだな」
魔力視凄いな、最初は役に立たないとか思ったけど、ものづくりやスキル獲得に役に立っている。
洗浄と生水の簡易魔道具を作ったら、ライタが。
『ここまできたら、ゴーレムにスキルを許可しようぜ』
そうだ、小さいクレイゴーレムなら魔力も少ないし爆発しても問題ないかも。
手の平大のゴーレムを作り生水スキルを許可する。
ゴーレムにスキルを使えとイメージを送るが、何も起こらない。
「うーん、爆発しなかったのは良いけれど、上手くいかないもんだな」
『魔力を蓄えたり吸い出したり出来る所はゴーレムも魔石と同じだ。魔石との違いは生き物だったかそうでないかって事じゃないかな』
「そうか、それなら皮とか使えばいいのかな」
皮を早速仕入れてきてやってみた。
結果は反応無し。
『反応無しという事は今も魔石は生きているってことだろう』
「ゴーレムを生き物には流石に出来ないよ」
『並列システムなら入れられる可能性がある。思考が必要なのかも』
今度は並列システムとスキルと制御の魔力回路を入れて見た。
ゴーレムの中の並列システムがスキルを使うと見事、水玉が現れる。
遂にやったけど、魔石が取り出されても生きているなんて事実は段々と禁忌に近づいている気がしないでもない。
そして、魔力ゴーレムの中にスキルを入れるのは今でも恐い。
あの魔力が全て爆発したら、俺も粉微塵に吹き飛ぶだろう。
「なあ、魔力ゴーレムにスキルを入れるのは絶対しないからな」
『ああ、分かった』
簡易魔道具の色抜きと染色と変形はすんなりと出来た。
魔石の赤い色は鉄分の色という知識が増えただけだ。
土産物屋に簡易魔道具のサンプルを持って行く。
土産物屋のドアを開けるとマリリが出迎えてくれた。
「商品のサンプルを持ってきました」
俺の言葉にマリリは嬉しそうに顔をほころばせる。
「じらさないで、見せてちょうだい」
俺は四角くて青い簡易魔道具をマリリに渡し、使い方を説明する。
マリリは驚愕し、奥に声を掛けた。
「ルシアラ、ちょっと来て。凄いよこれ」
ルシアラが訝しげな表情で奥から出てきた。
「何興奮してるんだ。見せてみな」
ルシアラの半信半疑な顔が簡易魔道具を試すと驚愕の表情に変わる。
「絶対売れるわ。フィル、ありがとう」
「これ、俺にしか作れないのだけど、そこは良いの」
「冒険者の片手間でどれだけ作れる?」
「一時間もあれば百個ぐらい作れると思う」
「なら決まりね。私、これを持って色々な場所へ売りに行くわ」
「フィル、お前は頼りなさそうだけど、やる時はやる男だな」
マリリからお金を預かり、帰りに冒険者ギルドで魔石を仕入れて宿に帰る。
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