無限魔力のゴーレム使い ~無力な奴隷から最強への一歩は逆転の発想から~

喰寝丸太

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第2章 Sランク成り上がり編

第41話 アイテム鞄ゲット

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 久しぶりのダンジョンだ。
 通路に魔獣が出ないのでボス部屋だけを攻略してどんどん進む事にした。
 ゼロレンジ魔法で粗方のボスは片付き、そうでないのも銃魔法でなんとかなった。

 ボスは魔道具のドロップ率が良いみたいだ。
 二回に一回は魔道具を落とす。
 そして、俺は今、二十階のボスの扉の前に立っていた。
 資料によればここが最下層らしい。

 扉を開け中に入ると扉が閉まり、だだっ広い部屋にいよいよラスボスが召喚される。
 巨大な四足のシルエットが見えた。
 土色の鱗の体、頭には角が三本あって、長い尻尾の先には棘が生えていた。
 アースドラゴンという奴じゃないだろうか。
 こいつは強敵だ。



 アースドラゴンが雄叫びを上げ戦闘開始。
 まずは小手調べに銃魔法を撃つ。
 土魔法の弾が体の表面近くで消えた様に見えた。
 跳ね返った感触も無い。
 魔法防御を持っているのだろうな。
 銃弾を金属に換え銃魔法を撃つが弾かれた。
 魔力ゴーレムのゼロレンジ魔法を使い体近くで爆発させるがノーダメージのようだ。
 爆風や衝撃波は届いているはずなんだが。
 トレントゴーレムに特攻させてみる。

 素早さで翻弄して足を攻撃といきたいのだが、当然のごとく尻尾でなぎ払われた。
 見事に蹴散らされた。
 動けなくなったゴーレムは居ないが、何度も喰らうと不味い。
 尻尾は範囲攻撃だもんな少しぐらい飛びのいたぐらいでは当たる。

 アースドラゴンが大口を開ける。
 やばい、トレントゴーレムは飛びのいたが、間に合わず五体のうちの二体が消し炭になった。
 こいつは参った打つ手がない。



 突進してきたので土魔法で壁を作ったら、どすんとアースドラゴンは激突した。
 角が壁を貫通している。
 そして、すぐに魔法防御で溶かされた。

 飛んで来た尻尾を俊足スキルを使い慌ててよける。
 あれ、さっき土魔法が当たったぞ。
 突進中は魔法防御が切れるのか。
 攻撃のチャンスなのだろうけど時間が短い。

 大口を開いたのでブレスが来ると思い土魔法の壁を出す。
 ブレスの炎は土魔法で防ぎとめられた。
 ブレス中の魔法防御はどうだ。
 土魔法の礫を撃つ。
 礫は跳ね返らなかった。
 ブレスは魔法やスキルではないのだな。
 千日手になりそうだ。



「ライタ、なんとかならないか」
『冷却スキル、フルパワーなんてどうかな。いや、水魔法で液体ヘリウムだ』
「冷やせば良いんだね。それで行こう」

 水魔法で液体ヘリウムを大量に出して空気を冷やす。
 瞬く間に吐く息が白くなり、アースドラゴンの動きが鈍り、最後には眠ってしまった。
 チャンスだ。
 加速砲の準備に入った。
 砲弾に貫通のスキルを掛ける。
 砲弾を加速領域に入れると弾はみるみる加速してアースドラゴンに突き刺さった。
 アースドラゴンは声を上げずに魔石と魔道具になった。



 魔道具はポーチの形をしている。
 もしかしてこれはアイテム鞄じゃないだろうか。
 魔石に魔力を込め、アイテム鞄に食わせて使用できるようにする。
 試しに背負い鞄にある魔石を入れると魔石は吸い込まれるように入っていった。
 間違いないアイテム鞄だ。
 冒険者する為の目的の一つが叶ってしまった。

 今回、ドラゴンを倒せたのは閉鎖空間だったのとドラゴンが飛ぶタイプじゃなかったからだろう。
 まだSランクの腕には遠いが、限定された条件ならそれに適うのかも。



「ライタ、目的の一つが叶ったよ」
『良かったな。俺はゆっくりとフィギュアが作りたいよ』
「魔道具も幾つか手に入れたし、魔石を食わせた後のカスで好きなだけ作れば良い」
『そうさせて貰うよ』

 アイテム鞄は魔石の使用量が大きい。
 今日獲得した魔石を全て食わせても魔力が満杯にならない。
 しょうがないのでボス部屋に何度も入って魔石を確保した。
 ラスボスは違うドラゴンが出てくると恐いので避けた。



 帰ってきてから、フィギュアを作っている時にライタが気になる事を言い始める。

『なあ、魔道具に魔石を食わせると体積が減ってないか』
「じゃあ、秤で計ってみたら」

 計測してみると、なんと重さが魔道具に魔石を食わせると減っていた。
 魔力には重さが殆んどないはずだ。

「どういう事だろう」
『魔石が生命体だと考えるとある推測が成り立つ。生命が活動を終える時に新たな生命を産み出すのは良くある話だ』
「魔道具は魔石の出産を手伝う道具って事」
『そうなるだろうな』
「じゃあ、人類が魔道具を使うのをやめると魔獣はどうなるのかな」
『滅びるんじゃないかな』



『君達に頼みがある』
「ライタ、超越者が」
『頼みを言ってみろ』
『今、分かった事実を広めないで欲しい』
「なんで」
『魔獣が滅びに向かうと色々と不味いのだよ』
「すっきりしないけど。分かった」

 でもこの事実は既に複数の人間が知っているような気がする。
 こんな単純な事に気づかないなんて事はないと思う。
 超越者が口止めして回っているのかな。
 それとも教会が。

『お詫びにダンジョンの仕組みについて教えよう』
『それは興味があるな』

『推察の通り、ダンジョンは魔石が新たな寄生先に宿る為のシステムだ。魔道具に吸収された魔石は死ぬのではなく胞子となって飛び散る』

 そうなると、超越者がダンジョンを作ったのだな。

「それじゃ、今の簡易魔道具は超越者にとってマイナスなんじゃないか」
『魔石は取り出して十年ほど経つと崩れて胞子となって飛び散る。遅いか早いかの違いだ。ただ自然と崩れた魔石は殆んど胞子を出さないのだよ。簡易魔道具は崩れるタイミングの時に魔力が沢山入っていれば問題ない。どちらにしろ今の生産量では誤差の範囲より低い』

 魔獣が寿命で死んで埋もれた魔石も最後は胞子になるのだな。
 それだと量が足りないのか。

 という事は魔道具は胞子の生産工場という事だな。
 人間が魔道具を使う事で胞子が大量に拡散するのだろう。



『じゃあ、直接、胞子を作らないのはなぜだ』
『胞子はエネルギーを摂る手段がないからだ。魔力というエネルギーを込める必要がある』

 そうだよな卵は物を食わない。

『胞子にエネルギーを直接込めたら良いんじゃ』
『大きな理由は魔力は生命体にしか扱えないからだ』

 胞子の全てに魔力を込める作業をするなんて気の遠くなる量だ。
 いくら超越者でも手に余るのだろうな。
 ダンジョンの魔石には魔力が入っていないのはそういう理由か。

「そうか、魔力を込める手間を人間にやらせているのか」
『その通りだ』
「よく分かったよ」

『無料で魔石と魔道具を配らないのは何故だ』
『我々は人類に工夫を求めているのだよ。危険が無いと成長しないと考えている』

 そうだよな無料で魔石と魔道具が手に入ると堕落するかも。
 それに魔獣を倒す人が居なくなる可能性もある。
 魔獣の世界になる事も望んでいないのだろう。

「そういえばダンジョンの魔獣は生物なのかな」
『あれは、擬似物質で魔獣を再現した作り物だ』

 ライタの世界にあるロボットみたいなものかな。

「ダンジョンの色々が分かったね」
『ああ、理解した』
『ではさらばだ』

 魔獣が滅びると困るのは何となく分かる。
 魔獣の脅威がなくなって戦争がはびこるのが嫌なんだろう。
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