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第2章 Sランク成り上がり編
第50話 貴族になる
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マリリが帰ってから何日も待たされ、Sランク昇格の通知が来た。
Sランク昇格には儀式などない。
受付でギルドカードを出し更新してもらうだけだ。
あっさりしたものだが、このぐらいが俺には合っている。
次の日。
城の警護の騎士に声を掛け、案内され中に入る。
貴族だと先触れを出すそうだが、俺は使用人の一人も居ない。
それに奴隷上がりだし、体面なんか気にしてもな。
小部屋で待たされ大広間に案内される。
大広間には沢山の貴族と思われる見物人が詰め掛けていた。
赤い絨毯の道を行き玉座の前でひざまずいてこうべを垂れる。
しばらくすると角笛が鳴り響き何人かの足音がした。
当然のことながら魔力視で正確な人数は把握している。
「頭を上げて良いぞ」
そう言われたので頭を起こし玉座を見上げる。
国王と思われる初老の男性が椅子から立ち上がり目の前に来た。
御付きの者が剣を差し出すとすらりと抜き放ち、俺の両肩を叩き言う。
「国王の名において準男爵爵位を授ける」
とりあえず決まり文句を言う。
「国のために忠誠を尽くします」
「ふむ」
そう言うと剣を御付きの者に渡し去って行った。
俺が立ち上がると一人の貴族が近寄ってくる。
「わしに金貨一万枚を出せ。さすれば闇ギルドと手打ちにしてやってもよい」
たしかに闇ギルドはめんどくさいと思うよ。
だけど、殺人や盗みは論外だし、違法奴隷にも思うところがある。
借金で奴隷になるのは構わないが、違法な金利などで罠に嵌め違法奴隷にするのは違うと思う。
これからも違法奴隷に会えば開放するつもりだ。
そうなれば答えは決まっている。
「お断りだ」
「ほう、その強気がいつまで続くかな。泣きつきたくなったら何時でも言ってくるが良い」
そう言って貴族は人ごみにまぎれた。
もう一人、若い男性貴族が話し掛けてきた。
「さっきの話、読唇術で聞いていたよ」
「なんの用です」
俺は少し面倒になり、ぶっきらぼうに言った。
「貴族派の誘いを断るという事は。私達の国王派に入ってくれるのだろう」
「どっちも御免だな」
「では中立派に入るとでも」
「俺はソロで良い」
「それはまた豪気な。気にいりましたよ。私はランデ男爵です。お見知りおきを」
男性貴族は一礼すると去っていった。
その後、役人が来て色々な事を教え始める。
くだらない規則なんかは聞き流し、最後に本を手渡された。
その中に今言った事が書いてあるそうだ。
なんでこんなに親切なのかというと冒険者上がりの貴族がたびたびトラブルを起こした。
それで、斬り合いに発展した事もあり暗黙の規則を教えろとなったらしい。
その中の項目に登城の義務というものを見つけた。
領地の無い貴族は一定間隔で城に来ないといけないらしい。
少し困った。
マリリに手紙を出そう。
そうすればまた仕入れにマリリがやってくるに違いない。
たまには顔がみたいというのも我侭だろうか。
王都の周りの魔獣は弱いので旨味がない。
冒険者稼業で稼ぐのは絶望的だ。
まだ売ってないラスボスのドロップ品もあるから焦る必要はない。
でも、これじゃ事実上の引退だろう。
もう少し調べておけば良かった。
今更、貴族辞めたいとも言えないし。
情報不足を反省した俺は城から出た足で情報屋の所に行った。
ゴリオットの店で聞いた情報屋は城壁の壁の近くにあった。
うわ、壁が太陽を遮って、昼間でも暗くてじめじめしてやがる。
扉をノックしたら返答があったので、挨拶して入る。
「こんちは」
「おや、Sランクの無敵のフィルではないですか。誰の紹介ですか」
「ゴリオットの店の店員から聞いた」
いつか情報屋に来ようと思って場所だけは聞いていた。
もっと早く利用すれば良かったな。
「何が知りたいので」
「貴族の力関係とか。貴族に関する噂もろもろだ」
そして、色々な情報を得た。
まずこの国の貴族の現状だ。
現在、貴族は三つの派閥に分かれている。
一番大きいのが貴族派。
次が国王派。
一番小さいのは中立派という事だ。
貴族派は闇ギルドに繋がりがあり、国王派は近衛騎士団を掌握していて闇ギルドを潰そうとしていた。
中立派は金になるならどちらの派閥にも手を貸すらしい。
三つ巴ではなく貴族派対国王派という事だ。
闇ギルドに対する俺のこれまでの態度から国王派だと思われているんだろうな。
国王派の貴族の対応が良かったのはこのせいだと思う。
ただ、魔獣の活性化に関してはどの派閥も協力して対応している。
そして、貴族派は他の国が魔獣で弱っているうちに攻め取る事を思索。
国王派は余った軍を各国に派遣して恩を売ろうと考えている。
中立派は武器を売りつけられるのならどちらでも。
そんな考えらしい。
どの派閥に入るかだけど、一番考えが近いのは国王派。
儲かるのは中立派。
貴族派はだめだな闇ギルドとは性が合わない
権力争いには興味を持てそうに無いから、やっぱりしばらくソロで行こう。
次はダリウスの事だ。
ダリウスは大の馬車嫌いだと聞いた。
馬と名の付く物が嫌いらしい。
なんでも成人になりたての頃は天才ともてはやされていたと。
だが、知り合いに馬ゴーレムを操れないのを馬鹿にされ殺してしまった。
今では殺し屋として活躍中だとか。
移動はもっぱら徒歩で、今も王都目指して移動中と情報屋は言っていた。
いや分かるよ馬ゴーレム難しいものな。
俺は苦労しなかったが、一緒に習っていた奴隷は物にならなかった。
それでさんざん鞭を打たれていた。
才能が要るのだろう。
ゴーレム騎士団のメンバーが操れるが不思議だ。
よく考えてみると女ゴーレム使いにとっては戦闘用ゴーレムより馬ゴーレムの方が馴染み深いのだろう。
子供の頃から訓練してたに違いない。
ダリウスはプライドが高くて邪魔されると非常に怒るらしい。
それで闇ギルドが手を出してこなかったのか。
闇ギルドにもルールみたいな物があるんだろうか。
とにかく、ダリウスは王都に着き次第、対処する。
そして周辺国だ。
この国の周辺国はエルフ国、ドワーフ国、ビースト国、聖アルフェロラ国、商都市連合国の五つが大きい所だ。
エルフ国、ドワーフ国、ビースト国はその名の通りの人種が多くて国もその人種が治めている。
聖アルフェロラ国は教会が、商都市連合国は商人が治めている。
どの国も魔獣で大変な被害を出した。
この国でも俺がワイバーンのスタンピードを討伐していなければ都市の十ぐらいは消えてたかも。
魔獣被害は現在でも続いている。
冒険者としての仕事は沢山ありそうだ。
国内外問わず救援要請があれば行く事にした。
それにしても権力争いしてる場合じゃないだろう。
一波乱ありそうだと感じた。
Sランク昇格には儀式などない。
受付でギルドカードを出し更新してもらうだけだ。
あっさりしたものだが、このぐらいが俺には合っている。
次の日。
城の警護の騎士に声を掛け、案内され中に入る。
貴族だと先触れを出すそうだが、俺は使用人の一人も居ない。
それに奴隷上がりだし、体面なんか気にしてもな。
小部屋で待たされ大広間に案内される。
大広間には沢山の貴族と思われる見物人が詰め掛けていた。
赤い絨毯の道を行き玉座の前でひざまずいてこうべを垂れる。
しばらくすると角笛が鳴り響き何人かの足音がした。
当然のことながら魔力視で正確な人数は把握している。
「頭を上げて良いぞ」
そう言われたので頭を起こし玉座を見上げる。
国王と思われる初老の男性が椅子から立ち上がり目の前に来た。
御付きの者が剣を差し出すとすらりと抜き放ち、俺の両肩を叩き言う。
「国王の名において準男爵爵位を授ける」
とりあえず決まり文句を言う。
「国のために忠誠を尽くします」
「ふむ」
そう言うと剣を御付きの者に渡し去って行った。
俺が立ち上がると一人の貴族が近寄ってくる。
「わしに金貨一万枚を出せ。さすれば闇ギルドと手打ちにしてやってもよい」
たしかに闇ギルドはめんどくさいと思うよ。
だけど、殺人や盗みは論外だし、違法奴隷にも思うところがある。
借金で奴隷になるのは構わないが、違法な金利などで罠に嵌め違法奴隷にするのは違うと思う。
これからも違法奴隷に会えば開放するつもりだ。
そうなれば答えは決まっている。
「お断りだ」
「ほう、その強気がいつまで続くかな。泣きつきたくなったら何時でも言ってくるが良い」
そう言って貴族は人ごみにまぎれた。
もう一人、若い男性貴族が話し掛けてきた。
「さっきの話、読唇術で聞いていたよ」
「なんの用です」
俺は少し面倒になり、ぶっきらぼうに言った。
「貴族派の誘いを断るという事は。私達の国王派に入ってくれるのだろう」
「どっちも御免だな」
「では中立派に入るとでも」
「俺はソロで良い」
「それはまた豪気な。気にいりましたよ。私はランデ男爵です。お見知りおきを」
男性貴族は一礼すると去っていった。
その後、役人が来て色々な事を教え始める。
くだらない規則なんかは聞き流し、最後に本を手渡された。
その中に今言った事が書いてあるそうだ。
なんでこんなに親切なのかというと冒険者上がりの貴族がたびたびトラブルを起こした。
それで、斬り合いに発展した事もあり暗黙の規則を教えろとなったらしい。
その中の項目に登城の義務というものを見つけた。
領地の無い貴族は一定間隔で城に来ないといけないらしい。
少し困った。
マリリに手紙を出そう。
そうすればまた仕入れにマリリがやってくるに違いない。
たまには顔がみたいというのも我侭だろうか。
王都の周りの魔獣は弱いので旨味がない。
冒険者稼業で稼ぐのは絶望的だ。
まだ売ってないラスボスのドロップ品もあるから焦る必要はない。
でも、これじゃ事実上の引退だろう。
もう少し調べておけば良かった。
今更、貴族辞めたいとも言えないし。
情報不足を反省した俺は城から出た足で情報屋の所に行った。
ゴリオットの店で聞いた情報屋は城壁の壁の近くにあった。
うわ、壁が太陽を遮って、昼間でも暗くてじめじめしてやがる。
扉をノックしたら返答があったので、挨拶して入る。
「こんちは」
「おや、Sランクの無敵のフィルではないですか。誰の紹介ですか」
「ゴリオットの店の店員から聞いた」
いつか情報屋に来ようと思って場所だけは聞いていた。
もっと早く利用すれば良かったな。
「何が知りたいので」
「貴族の力関係とか。貴族に関する噂もろもろだ」
そして、色々な情報を得た。
まずこの国の貴族の現状だ。
現在、貴族は三つの派閥に分かれている。
一番大きいのが貴族派。
次が国王派。
一番小さいのは中立派という事だ。
貴族派は闇ギルドに繋がりがあり、国王派は近衛騎士団を掌握していて闇ギルドを潰そうとしていた。
中立派は金になるならどちらの派閥にも手を貸すらしい。
三つ巴ではなく貴族派対国王派という事だ。
闇ギルドに対する俺のこれまでの態度から国王派だと思われているんだろうな。
国王派の貴族の対応が良かったのはこのせいだと思う。
ただ、魔獣の活性化に関してはどの派閥も協力して対応している。
そして、貴族派は他の国が魔獣で弱っているうちに攻め取る事を思索。
国王派は余った軍を各国に派遣して恩を売ろうと考えている。
中立派は武器を売りつけられるのならどちらでも。
そんな考えらしい。
どの派閥に入るかだけど、一番考えが近いのは国王派。
儲かるのは中立派。
貴族派はだめだな闇ギルドとは性が合わない
権力争いには興味を持てそうに無いから、やっぱりしばらくソロで行こう。
次はダリウスの事だ。
ダリウスは大の馬車嫌いだと聞いた。
馬と名の付く物が嫌いらしい。
なんでも成人になりたての頃は天才ともてはやされていたと。
だが、知り合いに馬ゴーレムを操れないのを馬鹿にされ殺してしまった。
今では殺し屋として活躍中だとか。
移動はもっぱら徒歩で、今も王都目指して移動中と情報屋は言っていた。
いや分かるよ馬ゴーレム難しいものな。
俺は苦労しなかったが、一緒に習っていた奴隷は物にならなかった。
それでさんざん鞭を打たれていた。
才能が要るのだろう。
ゴーレム騎士団のメンバーが操れるが不思議だ。
よく考えてみると女ゴーレム使いにとっては戦闘用ゴーレムより馬ゴーレムの方が馴染み深いのだろう。
子供の頃から訓練してたに違いない。
ダリウスはプライドが高くて邪魔されると非常に怒るらしい。
それで闇ギルドが手を出してこなかったのか。
闇ギルドにもルールみたいな物があるんだろうか。
とにかく、ダリウスは王都に着き次第、対処する。
そして周辺国だ。
この国の周辺国はエルフ国、ドワーフ国、ビースト国、聖アルフェロラ国、商都市連合国の五つが大きい所だ。
エルフ国、ドワーフ国、ビースト国はその名の通りの人種が多くて国もその人種が治めている。
聖アルフェロラ国は教会が、商都市連合国は商人が治めている。
どの国も魔獣で大変な被害を出した。
この国でも俺がワイバーンのスタンピードを討伐していなければ都市の十ぐらいは消えてたかも。
魔獣被害は現在でも続いている。
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