レベルを上げて通販で殴る~囮にされて落とし穴に落とされたが大幅レベルアップしてざまぁする。危険な封印ダンジョンも俺にかかればちょろいもんさ~

喰寝丸太

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第2章 異世界帰還でざまぁ編

第88話 おっさん、チクる

 選挙戦を前にして哲候てっこうさんにお呼ばれした。
 前に会った河豚料理店で哲候てっこうさんはいきなり切り出した。

「聞いて下さい。私の地盤で、ある議員が弁護士を使って票集めをしているのです」
「ほうほう、それで?」

 鍋をつつきながら適当に相槌を打つ。

「生活困窮者を集めて、弁護士付きで生活保護の申請に行かせるのです」
「なるほど、申請が通りやすいようにアドバイスすると」

「そうなんです。合法なのがなんとも」
「それは中々上手い手だな」

「こちらも違法すれすれをやってますから、しょうがないって言えばしょうがない」
「へぇどんな事を?」

「同じ苗字の従兄弟に祭りがあると言っただけです」
「それで?」

「従兄弟がお金を出して酒を購入して持って行きました」
「寄付のところに張り出される紙には苗字しか書かないわけですか?」

「どれほど効果が望めるか分からないですけど、親戚がいてありがたいと思いますよ」
「なるほど、あくまで親戚が寄付したという訳ですな」

「それと研修旅行を行っています」
「うちにも回覧が回ってきました。2千円ポッキリのバス旅行ですか?」

「議員なら補助金とかが出て2千円でできるのでしょうけど、私に補助金は出ないですからね。運転手もうちから出して安くやっているようになってます」
「だいたい分かったよ」

 裏金で補填しているのだろうな。
 帳簿では2千円で収まっているのだろう。
 全て想像だけどな。

「それで情勢はいかがですか?」
「危ないですね。当選ラインぎりぎりです」
「それはいけない。今回は俺に秘策がある。人間やめますかは大げさだな。ちょっと術に頼る」

「これは山田さんは先生とお呼びしないとならなくなりそうです」
「そこまでしなくとも良いよ。当選のあかつきには色々な所を紹介してくれれば」

「それで私は何をやれば?」
「演説の前に演説が上手くなった気になる青汁を飲んでくれれば良いだけだよ。簡単でしょ」

「副作用とかないのですよね?」
「大丈夫だ」

「こうなったら腹を括りますよ。議員になるためだったら何でもすがります」
「サンプルを置いとく。使って見てくれ」

 俺はアジテーション・ポーション、別名、扇動ポーションを出してちゃぶ台に置いた。
 このポーション生贄の禁書に書かれていたのだけれどとんだ欠陥ポーションだ。
 レベル5までの人間にしか効果がなく、しかも後から更に演説の上手い人の話を聞くと上書きされてしまう。
 レベル5は異世界では小学生の平均レベルだ。
 精神魔法の一種だろうと推測されるが、使えない事この上ない。

 しかし、地球ではチートだけどな。

 そして、選挙期間がやって来た。
 俺がする事は何にもないけどね。
 偶にメールを貰って青汁を差し入れるだけだ。

 選挙結果は言うまでもない哲候てっこうさんの圧勝、いや哲候てっこう先生の圧勝だった。

 記者からネタを掴んだと連絡を貰った。

「ご苦労様」
「ネタというか賄賂の証拠を、行方不明になった記者がロッカーに入れてたらしいのですが。それがどこか分からない」
「手がかりが何かないとな」

 ロッカーといえば前に鍵を拾ったな。
 まさか。
 俺は鍵の写真を撮って興信所に依頼した。
 ロッカーはすぐに見つかった。
 なんと、山田ダンジョンのロッカールームだった。

 ロッカーの鍵を開ける。
 メモリーカードがあって、俺の親父がダンジョン内で現金を秘書らしき人間に渡している写真と動画が出てきた。
 コピーをとって検察に送る事にした。

 ほどなくして議員秘書が逮捕されたというニュースが流れた。
 贈賄側として親父の名前が挙がっている。
 チャンスだ。
 俺は買収を加速させた。

 それとこの証拠を掴んだ記者を殺害した疑惑も出ているらしい。
 殺害には俺も落とされたあの落とし穴が使われたみたいだ。
 そういえば俺も誰かに落とされたな。
 認識阻害はカメラに映る。
 俺が退治した中に俊足スキルを持つ奴がいたな。

 俺は哲候てっこうさんに連絡を取って、議員の権限で殺された記者のダンジョンレコーダーの記録を取り寄せてもらった。
 映像を一コマずつ見ていくとあるコマに人が映っていた。
 そいつは俺が退治した俊足スキル持ちだった。
 俺はその事実を証拠と共に検察へ送った。
 殺人を犯した闇冒険者が喋るのも時間の問題だな。

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