93 / 100
魔王決戦編
第84話 懲罰部隊
しおりを挟む
「僕は我慢できない」
エターヤル王子が俺に向かって言った。
「何がです」
「懲罰部隊という存在が許せないんだ」
「懲罰部隊というと罪人だけで構成されたあれかな」
「そうだよ、いやいや戦うなんて僕らの存在を侮辱している。魔王の軍勢と戦うのは名誉なんだ」
それもどうかと思うけど、当時は魔王と戦うのが正義で格好いいみたいな風潮だったんだろうな。
「どうすれば良いんだ」
「とにかく何とかしてくれたまえ。アンデッドを蘇らす事ができるのだから、それぐらい不可能ではないはずだ」
無理難題を押し付けられたな。
とにかく部隊に行って話を聞いてみるか。
軍が野営しているテントで一際だらしない一角がある。
傾いたテントなんてのもざらで、辺りには酒の臭いが充満していた。
「こんにちは」
「なんだ」
「懲罰部隊をなんとかしてくれって言われたんだ」
「それは何か、俺らに早く死ねって事か」
「いや、そういう事ではなく誇りを持って生きて欲しい」
「ははは、こいつは面白い事を聞いた。そんな事できる訳ないだろ」
くそう、なんか腹立ってきたな。
いやいや戦ってるだって。
よく考えたら来訪者も似たようなものじゃないか。
なんの罪もない分、来訪者の方が数倍酷い気がする。
「よし、お前達を無罪にしてやる」
「お前お偉いさんなのか。上に掛け合ってくれるのか。こいつはお見それいたしやした」
「殺人などの犯罪ではない限り無罪にしてやる。全員呼んで来い」
俺がそう言うと男は駆け出して行った。
ほどなくしてきちっと整列した兵士の列が現れた。
「お前の罪は」
「貴族の糞野郎が娘に手を出したんでぶん殴ってやったんでさぁ」
「そうか、カタログスペック100%」
俺は免罪符片手にスキルを掛けた。
免罪符っていうのは教会が売っていて全ての罪を許すと言われている。
全ての罪を許すんだから問題ないだろう。
俺達が貴族なんかともめた時に使えるかもと思って買っておいた。
「これで俺は無罪なんで」
「そうだ、罪人を示す刺青も消えているはずだ」
「本当だ消えてやがる。でも今更地元に戻ってもなぁ」
「やる気があるのなら魔王討伐軍で働けばいい」
「考えてみるよ」
「次の人」
「俺は空腹に耐えかねてパンを盗んだ」
「カタログスペック100%。次どうぞ」
「俺は税金が払えなくて徴税士をぶんなぐっちまった」
「カタログスペック100%。次どうぞ」
「俺は盗みだ」
「嘘こけ、婦女暴行だって自慢していただろうが」
「お前は駄目だ。次」
「喧嘩で人を殴って殺しちまった」
「うーん、難しいな。よく考えたら俺は裁判官でもなんでもない。こんな判断できるか。よしコインを投げろ」
「投げましたぜ」
「表だな。カタログスペック100%」
なんとか全員裁く事ができたので、エターヤル王子に報告に行った。
「済まなかったな。面倒な事を言って。でどうやったの」
「免罪符を使った」
「なるほどね。実は僕は来訪者も苦々しく思っているんだよ。彼らが嫌いとか言うんじゃなくて。無理やり連れてきて戦わせるのはどうかと思う」
「その考えには賛成できるな」
「僕は今、後ろ盾や権力は無いけれど。もしこの戦いで生き残れたら、その辺を改革したい」
「是非やってくれ」
エターヤル王子の人となりがなんとなく分かった。
彼には俺達のように召喚の被害者を出さないよう頑張って貰いたい。
エターヤル王子が俺に向かって言った。
「何がです」
「懲罰部隊という存在が許せないんだ」
「懲罰部隊というと罪人だけで構成されたあれかな」
「そうだよ、いやいや戦うなんて僕らの存在を侮辱している。魔王の軍勢と戦うのは名誉なんだ」
それもどうかと思うけど、当時は魔王と戦うのが正義で格好いいみたいな風潮だったんだろうな。
「どうすれば良いんだ」
「とにかく何とかしてくれたまえ。アンデッドを蘇らす事ができるのだから、それぐらい不可能ではないはずだ」
無理難題を押し付けられたな。
とにかく部隊に行って話を聞いてみるか。
軍が野営しているテントで一際だらしない一角がある。
傾いたテントなんてのもざらで、辺りには酒の臭いが充満していた。
「こんにちは」
「なんだ」
「懲罰部隊をなんとかしてくれって言われたんだ」
「それは何か、俺らに早く死ねって事か」
「いや、そういう事ではなく誇りを持って生きて欲しい」
「ははは、こいつは面白い事を聞いた。そんな事できる訳ないだろ」
くそう、なんか腹立ってきたな。
いやいや戦ってるだって。
よく考えたら来訪者も似たようなものじゃないか。
なんの罪もない分、来訪者の方が数倍酷い気がする。
「よし、お前達を無罪にしてやる」
「お前お偉いさんなのか。上に掛け合ってくれるのか。こいつはお見それいたしやした」
「殺人などの犯罪ではない限り無罪にしてやる。全員呼んで来い」
俺がそう言うと男は駆け出して行った。
ほどなくしてきちっと整列した兵士の列が現れた。
「お前の罪は」
「貴族の糞野郎が娘に手を出したんでぶん殴ってやったんでさぁ」
「そうか、カタログスペック100%」
俺は免罪符片手にスキルを掛けた。
免罪符っていうのは教会が売っていて全ての罪を許すと言われている。
全ての罪を許すんだから問題ないだろう。
俺達が貴族なんかともめた時に使えるかもと思って買っておいた。
「これで俺は無罪なんで」
「そうだ、罪人を示す刺青も消えているはずだ」
「本当だ消えてやがる。でも今更地元に戻ってもなぁ」
「やる気があるのなら魔王討伐軍で働けばいい」
「考えてみるよ」
「次の人」
「俺は空腹に耐えかねてパンを盗んだ」
「カタログスペック100%。次どうぞ」
「俺は税金が払えなくて徴税士をぶんなぐっちまった」
「カタログスペック100%。次どうぞ」
「俺は盗みだ」
「嘘こけ、婦女暴行だって自慢していただろうが」
「お前は駄目だ。次」
「喧嘩で人を殴って殺しちまった」
「うーん、難しいな。よく考えたら俺は裁判官でもなんでもない。こんな判断できるか。よしコインを投げろ」
「投げましたぜ」
「表だな。カタログスペック100%」
なんとか全員裁く事ができたので、エターヤル王子に報告に行った。
「済まなかったな。面倒な事を言って。でどうやったの」
「免罪符を使った」
「なるほどね。実は僕は来訪者も苦々しく思っているんだよ。彼らが嫌いとか言うんじゃなくて。無理やり連れてきて戦わせるのはどうかと思う」
「その考えには賛成できるな」
「僕は今、後ろ盾や権力は無いけれど。もしこの戦いで生き残れたら、その辺を改革したい」
「是非やってくれ」
エターヤル王子の人となりがなんとなく分かった。
彼には俺達のように召喚の被害者を出さないよう頑張って貰いたい。
20
あなたにおすすめの小説
異世界に召喚されたが「間違っちゃった」と身勝手な女神に追放されてしまったので、おまけで貰ったスキルで凡人の俺は頑張って生き残ります!
椿紅颯
ファンタジー
神乃勇人(こうのゆうと)はある日、女神ルミナによって異世界へと転移させられる。
しかしまさかのまさか、それは誤転移ということだった。
身勝手な女神により、たった一人だけ仲間外れにされた挙句の果てに粗雑に扱われ、ほぼ投げ捨てられるようなかたちで異世界の地へと下ろされてしまう。
そんな踏んだり蹴ったりな、凡人主人公がおりなす異世界ファンタジー!
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
A級パーティから追放された俺はギルド職員になって安定した生活を手に入れる
国光
ファンタジー
A級パーティの裏方として全てを支えてきたリオン・アルディス。しかし、リーダーで幼馴染のカイルに「お荷物」として追放されてしまう。失意の中で再会したギルド受付嬢・エリナ・ランフォードに導かれ、リオンはギルド職員として新たな道を歩み始める。
持ち前の数字感覚と管理能力で次々と問題を解決し、ギルド内で頭角を現していくリオン。一方、彼を失った元パーティは内部崩壊の道を辿っていく――。
これは、支えることに誇りを持った男が、自らの価値を証明し、安定した未来を掴み取る物語。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
【収納∞】スキルがゴミだと追放された俺、実は次元収納に加えて“経験値貯蓄”も可能でした~追放先で出会ったもふもふスライムと伝説の竜を育成〜
あーる
ファンタジー
「役立たずの荷物持ちはもういらない」
貢献してきた勇者パーティーから、スキル【収納∞】を「大した量も入らないゴミスキル」だと誤解されたまま追放されたレント。
しかし、彼のスキルは文字通り『無限』の容量を持つ次元収納に加え、得た経験値を貯蓄し、仲間へ『分配』できる超チート能力だった!
失意の中、追放先の森で出会ったのは、もふもふで可愛いスライムの「プル」と、古代の祭壇で孵化した伝説の竜の幼体「リンド」。レントは隠していたスキルを解放し、唯一無二の仲間たちを最強へと育成することを決意する!
辺境の村を拠点に、薬草採取から魔物討伐まで、スキルを駆使して依頼をこなし、着実に経験値と信頼を稼いでいくレントたち。プルは多彩なスキルを覚え、リンドは驚異的な速度で成長を遂げる。
これは、ゴミスキルだと蔑まれた少年が、最強の仲間たちと共にどん底から成り上がり、やがて自分を捨てたパーティーや国に「もう遅い」と告げることになる、追放から始まる育成&ざまぁファンタジー!
スキル間違いの『双剣士』~一族の恥だと追放されたが、追放先でスキルが覚醒。気が付いたら最強双剣士に~
きょろ
ファンタジー
この世界では5歳になる全ての者に『スキル』が与えられる――。
洗礼の儀によってスキル『片手剣』を手にしたグリム・レオハートは、王国で最も有名な名家の長男。
レオハート家は代々、女神様より剣の才能を与えられる事が多い剣聖一族であり、グリムの父は王国最強と謳われる程の剣聖であった。
しかし、そんなレオハート家の長男にも関わらずグリムは全く剣の才能が伸びなかった。
スキルを手にしてから早5年――。
「貴様は一族の恥だ。最早息子でも何でもない」
突如そう父に告げられたグリムは、家族からも王国からも追放され、人が寄り付かない辺境の森へと飛ばされてしまった。
森のモンスターに襲われ絶対絶命の危機に陥ったグリム。ふと辺りを見ると、そこには過去に辺境の森に飛ばされたであろう者達の骨が沢山散らばっていた。
それを見つけたグリムは全てを諦め、最後に潔く己の墓を建てたのだった。
「どうせならこの森で1番派手にしようか――」
そこから更に8年――。
18歳になったグリムは何故か辺境の森で最強の『双剣士』となっていた。
「やべ、また力込め過ぎた……。双剣じゃやっぱ強すぎるな。こりゃ1本は飾りで十分だ」
最強となったグリムの所へ、ある日1体の珍しいモンスターが現れた。
そして、このモンスターとの出会いがグレイの運命を大きく動かす事となる――。
最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)
みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。
在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる