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6.篠原里美
4.気が付くと成長していた
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里美は、ニュートラルなポジションに立った。自分の意見を自分に押し付けようとする者には意見をぶつけたが、押し付けてこない者には里美も押し付けない。自分の存在をメタ認知できていたからこそ、偏らなかった。
高校に入ると、アメリカ時代の悪い記憶は忘れた。残っていたのは良い記憶ばかりだ。アメリカに住んでいて本当に良かった。日本に戻って来ると、英語がしゃべれるから羨望の的だ。少なくとも英語だけは成績が良い。逆に英語教師に気を使わせるくらいで、とても気分が良かった。
先生に嫌われていると分かっていても、発音や訳し方の間違いを指摘せずにはいられない。先生を言い負かすのは楽しかった。
アメリカでの生活のおかげで、だいぶ論理的に白黒はっきりした考えを持つようになっていたから、先生を言い負かすのなんて楽勝だ。
戻ってきたのが中学の時で良かった、と里美は心底思った。日本の生徒と比べて独立心と我が強い里美は、自分がクラスで浮いている、と薄々感づいていたからだ。
それでも、その不安定さは思考能力でカバーした。正確には他意見が出る前に自分の意見を言って同意を求める。そうすれば、周りは意見を言わずに、自分に同調してくれる。すぐにその術を身につけられたのは、まだ周りが思春期で不安定だったからだろう。里美の様に性格が出来上がっていなかったから、先んじて手を打つことが出来たのだ。
少し実力主義的なところがある。人種性別で人を別けることはしない代わりに、知らず知らずのうちに頭脳や身体能力で分けるようになった。
ただ単に頭が良いということではない。自分で問題を定義して勉強するとか、身体やチームプレイを訓練するとか、発想力がある者に対して里美は一目置くようになった。結果として、一目置く要素がない者とは付き合わなかった。
同じ目線で見れば、多くの生徒の中心にいるようである。だが、教師の立場から見ると、少し異なっていた。柚奈と萌愛だけが友達で、それ以外とは交流が無いように映った。
英語以外の科目の成績は普通で悪いわけでは無い。そして素行も悪くない。それに加えて校長と教頭が、帰国子女を少し腫れ物のように見ていた。だから教師達は里美になにも言わなかった。実際、校長が「当たり障りないように」、と英語教師に指示していた。
もちろん教師達は、里美にそれを言わなかったが、里美は肌で感じていた。それも里美の防御壁になって、 我が世の春を謳歌していた。
高校に入ると、アメリカ時代の悪い記憶は忘れた。残っていたのは良い記憶ばかりだ。アメリカに住んでいて本当に良かった。日本に戻って来ると、英語がしゃべれるから羨望の的だ。少なくとも英語だけは成績が良い。逆に英語教師に気を使わせるくらいで、とても気分が良かった。
先生に嫌われていると分かっていても、発音や訳し方の間違いを指摘せずにはいられない。先生を言い負かすのは楽しかった。
アメリカでの生活のおかげで、だいぶ論理的に白黒はっきりした考えを持つようになっていたから、先生を言い負かすのなんて楽勝だ。
戻ってきたのが中学の時で良かった、と里美は心底思った。日本の生徒と比べて独立心と我が強い里美は、自分がクラスで浮いている、と薄々感づいていたからだ。
それでも、その不安定さは思考能力でカバーした。正確には他意見が出る前に自分の意見を言って同意を求める。そうすれば、周りは意見を言わずに、自分に同調してくれる。すぐにその術を身につけられたのは、まだ周りが思春期で不安定だったからだろう。里美の様に性格が出来上がっていなかったから、先んじて手を打つことが出来たのだ。
少し実力主義的なところがある。人種性別で人を別けることはしない代わりに、知らず知らずのうちに頭脳や身体能力で分けるようになった。
ただ単に頭が良いということではない。自分で問題を定義して勉強するとか、身体やチームプレイを訓練するとか、発想力がある者に対して里美は一目置くようになった。結果として、一目置く要素がない者とは付き合わなかった。
同じ目線で見れば、多くの生徒の中心にいるようである。だが、教師の立場から見ると、少し異なっていた。柚奈と萌愛だけが友達で、それ以外とは交流が無いように映った。
英語以外の科目の成績は普通で悪いわけでは無い。そして素行も悪くない。それに加えて校長と教頭が、帰国子女を少し腫れ物のように見ていた。だから教師達は里美になにも言わなかった。実際、校長が「当たり障りないように」、と英語教師に指示していた。
もちろん教師達は、里美にそれを言わなかったが、里美は肌で感じていた。それも里美の防御壁になって、 我が世の春を謳歌していた。
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