53 / 192
16.旅行3日目
2.基本性能
しおりを挟む
「ねえ陸君、3人でビーチボールしようよ」と有紀子。
「お、いいねぇ」加奈子は即賛同して「私達はか弱い女子だから、私と有紀子対陸君ね」
陸としては、うきが浮いている深みまで泳いでいきたかったが、まあ良いやと思った。
ビーチバレーが始まると、すぐに有紀子がへたれた。
「陸君ズルいー、遠くに放るんだもん」
加奈子が呆れ気味に、左手の甲を腰に据える。
「それがテニスで私に勝てない理由ね、有紀」
テニス部の練習を見たことがある陸であったが、そういえば試合を見たことは無い。
「どのくらい差があるの?」陸が加奈子に訊いた。
「分かんない、でも全勝ゼロ敗」
「マジで⁉」
加奈子から戦績を聞いた陸が、見てはいけないようなものを見るような目で有紀子を見る。怒った有紀子が突き飛ばしてやろう、と走ってくるので、陸は逃げた。
有紀子は追いつき損ねたばかりか、砂に足を取られて転んでしまった。遠くまで逃げた陸に向かって砂を投げつけてムスッとしている。
有紀子は良い的だ。運動神経は悪くない。2年のレギュラーに選ばれているのだから間違いない。だが、陸や加奈子とはスペックが違う。
「もうイヤ!」有紀子が陸に叫ぶ。
「悪かったよ」
「本当ごめんね、有紀」
味方であるにも関わらず、フォローせずに笑っていた加奈子も、申し訳なさそうに謝る。
お詫びに海の家でかき氷をおごる、という陸の言葉で機嫌を直した有紀子は、「加奈子の分も」と、付け加えて言った。そして、陸を置いて加奈子を連れ、走って行ってしまった。
(俺って、相当幸せ者だな)
陸は、小栗と寺西が羨むのも無理が無い、と思った。
海の家でかき氷を注文してしばらくすると、水着にTシャツの日焼けしたhip hopって感じの女性店員が3人の前にとんでもないものを運んできた。
すっごい量だ。子供の顔くらいあるでかいヤツ、テレビでしか見たことが無い。更に驚いたのは、有紀子の注文したかき氷。黒蜜、粒あん、練乳、バナナのソースに白玉があって、更にアイスクリームがの乗っかっていた。
加奈子はトロピカルなやつだ。氷は小を選んで、トッピングで色々な果物を乗せる。
陸は、シンプルなブルーハワイを食べながら言った。
「性格出るよな、有紀子の何なんだ、それ」
「え? 普通だよ」
有紀子のきょとんとした声に、加奈子が笑った。
「これだけ甘い物食べて太らないんだから、羨ましい。私だったら、すぐ太っちゃうよ、君のくびれが愛おしい」
「オヤジか!⁉」(陸&有紀子)
ハモリの一撃がさく裂した。
「お、いいねぇ」加奈子は即賛同して「私達はか弱い女子だから、私と有紀子対陸君ね」
陸としては、うきが浮いている深みまで泳いでいきたかったが、まあ良いやと思った。
ビーチバレーが始まると、すぐに有紀子がへたれた。
「陸君ズルいー、遠くに放るんだもん」
加奈子が呆れ気味に、左手の甲を腰に据える。
「それがテニスで私に勝てない理由ね、有紀」
テニス部の練習を見たことがある陸であったが、そういえば試合を見たことは無い。
「どのくらい差があるの?」陸が加奈子に訊いた。
「分かんない、でも全勝ゼロ敗」
「マジで⁉」
加奈子から戦績を聞いた陸が、見てはいけないようなものを見るような目で有紀子を見る。怒った有紀子が突き飛ばしてやろう、と走ってくるので、陸は逃げた。
有紀子は追いつき損ねたばかりか、砂に足を取られて転んでしまった。遠くまで逃げた陸に向かって砂を投げつけてムスッとしている。
有紀子は良い的だ。運動神経は悪くない。2年のレギュラーに選ばれているのだから間違いない。だが、陸や加奈子とはスペックが違う。
「もうイヤ!」有紀子が陸に叫ぶ。
「悪かったよ」
「本当ごめんね、有紀」
味方であるにも関わらず、フォローせずに笑っていた加奈子も、申し訳なさそうに謝る。
お詫びに海の家でかき氷をおごる、という陸の言葉で機嫌を直した有紀子は、「加奈子の分も」と、付け加えて言った。そして、陸を置いて加奈子を連れ、走って行ってしまった。
(俺って、相当幸せ者だな)
陸は、小栗と寺西が羨むのも無理が無い、と思った。
海の家でかき氷を注文してしばらくすると、水着にTシャツの日焼けしたhip hopって感じの女性店員が3人の前にとんでもないものを運んできた。
すっごい量だ。子供の顔くらいあるでかいヤツ、テレビでしか見たことが無い。更に驚いたのは、有紀子の注文したかき氷。黒蜜、粒あん、練乳、バナナのソースに白玉があって、更にアイスクリームがの乗っかっていた。
加奈子はトロピカルなやつだ。氷は小を選んで、トッピングで色々な果物を乗せる。
陸は、シンプルなブルーハワイを食べながら言った。
「性格出るよな、有紀子の何なんだ、それ」
「え? 普通だよ」
有紀子のきょとんとした声に、加奈子が笑った。
「これだけ甘い物食べて太らないんだから、羨ましい。私だったら、すぐ太っちゃうよ、君のくびれが愛おしい」
「オヤジか!⁉」(陸&有紀子)
ハモリの一撃がさく裂した。
0
あなたにおすすめの小説
誰でもイイけど、お前は無いわw
猫枕
恋愛
ラウラ25歳。真面目に勉強や仕事に取り組んでいたら、いつの間にか嫁き遅れになっていた。
同い年の幼馴染みランディーとは昔から犬猿の仲なのだが、ランディーの母に拝み倒されて見合いをすることに。
見合いの場でランディーは予想通りの失礼な発言を連発した挙げ句、
「結婚相手に夢なんて持ってないけど、いくら誰でも良いったってオマエは無いわww」
と言われてしまう。
本日、私の大好きな幼馴染が大切な姉と結婚式を挙げます
結城芙由奈@コミカライズ3巻7/30発売
恋愛
本日、私は大切な人達を2人同時に失います
<子供の頃から大好きだった幼馴染が恋する女性は私の5歳年上の姉でした。>
両親を亡くし、私を養ってくれた大切な姉に幸せになって貰いたい・・・そう願っていたのに姉は結婚を約束していた彼を事故で失ってしまった。悲しみに打ちひしがれる姉に寄り添う私の大好きな幼馴染。彼は決して私に振り向いてくれる事は無い。だから私は彼と姉が結ばれる事を願い、ついに2人は恋人同士になり、本日姉と幼馴染は結婚する。そしてそれは私が大切な2人を同時に失う日でもあった―。
※ 本編完結済。他視点での話、継続中。
※ 「カクヨム」「小説家になろう」にも掲載しています
※ 河口直人偏から少し大人向けの内容になります
すべてはあなたの為だった~狂愛~
矢野りと
恋愛
膨大な魔力を有する魔術師アレクサンダーは政略結婚で娶った妻をいつしか愛するようになっていた。だが三年経っても子に恵まれない夫妻に周りは離縁するようにと圧力を掛けてくる。
愛しているのは君だけ…。
大切なのも君だけ…。
『何があってもどんなことをしても君だけは離さない』
※設定はゆるいです。
※お話が合わないときは、そっと閉じてくださいませ。
愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
王妃は涙を流さない〜ただあなたを守りたかっただけでした〜
矢野りと
恋愛
理不尽な理由を掲げて大国に攻め入った母国は、数カ月後には敗戦国となった。
王政を廃するか、それとも王妃を人質として差し出すかと大国は選択を迫ってくる。
『…本当にすまない、ジュンリヤ』
『謝らないで、覚悟はできています』
敗戦後、王位を継いだばかりの夫には私を守るだけの力はなかった。
――たった三年間の別れ…。
三年後に帰国した私を待っていたのは国王である夫の変わらない眼差し。……とその隣で微笑む側妃だった。
『王妃様、シャンナアンナと申します』
もう私の居場所はなくなっていた…。
※設定はゆるいです。
18年愛
俊凛美流人《とし・りびると》
恋愛
声を失った青年と、かつてその声に恋をしたはずなのに、心をなくしてしまった女性。
18年前、東京駅で出会ったふたりは、いつしかすれ違い、それぞれ別の道を選んだ。
そして時を経て再び交わるその瞬間、止まっていた運命が静かに動き出す。
失われた言葉。思い出せない記憶。
それでも、胸の奥ではずっと──あの声を待ち続けていた。
音楽、記憶、そして“声”をめぐる物語が始まる。
ここに、記憶に埋もれた愛が、もう一度“声”としてよみがえる。
54話で完結しました!
復讐のための五つの方法
炭田おと
恋愛
皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。
それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。
グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。
72話で完結です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる