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37.加奈子と彩絵の回想
2.処女を捧げた日
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彩絵は狭いユニットバスに佇み、両方の掌に打ちつけて溜まるシャワーのお湯を見ながら考えていた。
(ヤバい、どうしてこんなことになっちゃったんだろう、私。島根さんの家でシャワー浴びてるなんて)
自分の体を見やる。何の抵抗もなく流線型の肌をお湯が流れていく。同年代の女性と比べて、明らかに未発達な体。
誰もが彩絵を見て、小学生だとか中学生だとか言って笑う。彩絵も笑ってそれをネタにしていたが、内心とても傷ついていた。
彩絵はブスではない。それどころか、アイドルのように可愛い女の子だ。彩絵自身も周りの子よりも可愛い、と認識していた。
昔から誰もが彩絵を可愛いと言うし、マスコット的な存在として常にまわりからの人気もあった。だが、成長するにつれて変化していく友達の洋服のシルエット。自分のシルエットを見ると不安になった。
可愛いと言われれば彩絵も当然嬉しく思うが、同時に女性としての魅力が無い、と言われているように感じていた。それらが錯綜した不思議な劣等感。
こんな体系で島根は自分を好きでいてくれるのか、まったく自信が持てない。シャワーから出れば、確実に私は抱かれる。そう彩絵は確信していた。
3月で21歳となった彩絵を祝って2人だけのパーティを開いていた。少しほろ酔い気分となった彩絵と島根は良い雰囲気になって、思わずキスをしてしまった。先にシャワーを浴びるよう島根に勧められて、今ここにいる。シャワーを浴び始めてからすぐに、部屋の電気が消されたスイッチ音が微かに聞こえた。
混乱する彩絵。
(どうすればいい? こういう時どうするの?)
なんせ彩絵は処女だ。未知の世界に迷い込んでいた。浴室から出たくない。一生閉じこもっていたかった。でも体は火照っていた。憧れの初体験だ。
全ての脳細胞をフル回転して考えた。いや、考えていなかった。脳は機能停止したようにフリーズしている。でもフリーズの裏で過去の記憶を高速処理していた。
バスタオルを巻いて出れば良い。彩絵ちゃんコンピューターが弾きだした答えはこれだった。昔読んだ何作かの少女漫画で、ヒロインが結ばれるシーンを見たことがある。そこには、ヒロインがバスタオル姿でベッドに入る。あとは島根に任せれば良い。脳みそは力尽きた。
シャワーを止めた彩絵は、体を拭きながら何度も深呼吸した。息が荒いと恥ずかしいからだ。
体つきに関しては、著しく自己肯定感が低い。他のことであれば、多少傷ついて凹んでも、まあいいさ、と思える。結構ポジティブだと彩絵は自分でも思っていた。
しかし、こと愛し合うことに関しては、そう思えなかった。緊張で胸が苦しい。吐いてしまいそうだ。
彩絵は、当時の気持ちを思い返して、もし島根に嫌われたら、自殺しようとまで思いつめたことを思い出した。彩絵は、トイレから戻って来た島根の姿を見ながら、「うふふー」と笑った。
(ヤバい、どうしてこんなことになっちゃったんだろう、私。島根さんの家でシャワー浴びてるなんて)
自分の体を見やる。何の抵抗もなく流線型の肌をお湯が流れていく。同年代の女性と比べて、明らかに未発達な体。
誰もが彩絵を見て、小学生だとか中学生だとか言って笑う。彩絵も笑ってそれをネタにしていたが、内心とても傷ついていた。
彩絵はブスではない。それどころか、アイドルのように可愛い女の子だ。彩絵自身も周りの子よりも可愛い、と認識していた。
昔から誰もが彩絵を可愛いと言うし、マスコット的な存在として常にまわりからの人気もあった。だが、成長するにつれて変化していく友達の洋服のシルエット。自分のシルエットを見ると不安になった。
可愛いと言われれば彩絵も当然嬉しく思うが、同時に女性としての魅力が無い、と言われているように感じていた。それらが錯綜した不思議な劣等感。
こんな体系で島根は自分を好きでいてくれるのか、まったく自信が持てない。シャワーから出れば、確実に私は抱かれる。そう彩絵は確信していた。
3月で21歳となった彩絵を祝って2人だけのパーティを開いていた。少しほろ酔い気分となった彩絵と島根は良い雰囲気になって、思わずキスをしてしまった。先にシャワーを浴びるよう島根に勧められて、今ここにいる。シャワーを浴び始めてからすぐに、部屋の電気が消されたスイッチ音が微かに聞こえた。
混乱する彩絵。
(どうすればいい? こういう時どうするの?)
なんせ彩絵は処女だ。未知の世界に迷い込んでいた。浴室から出たくない。一生閉じこもっていたかった。でも体は火照っていた。憧れの初体験だ。
全ての脳細胞をフル回転して考えた。いや、考えていなかった。脳は機能停止したようにフリーズしている。でもフリーズの裏で過去の記憶を高速処理していた。
バスタオルを巻いて出れば良い。彩絵ちゃんコンピューターが弾きだした答えはこれだった。昔読んだ何作かの少女漫画で、ヒロインが結ばれるシーンを見たことがある。そこには、ヒロインがバスタオル姿でベッドに入る。あとは島根に任せれば良い。脳みそは力尽きた。
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しかし、こと愛し合うことに関しては、そう思えなかった。緊張で胸が苦しい。吐いてしまいそうだ。
彩絵は、当時の気持ちを思い返して、もし島根に嫌われたら、自殺しようとまで思いつめたことを思い出した。彩絵は、トイレから戻って来た島根の姿を見ながら、「うふふー」と笑った。
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