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挫こうとする者は必ずいるが、諦めてはならない
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モミの木の神が言いました。
「あれが、果ての岩地で拾われた何某か?」
少し離れた所にいるバラに聞こえるように言いました。バラは城へと続く階段の端に静かに座っていました。下から上位神が階段を上がってくるのを見て、モミの木の神の一団が通り過ぎるのまで、正座をして待っているのです。
モミの木の神は、一緒にいる神々に向かって、わざと憤った様子を滲ませたように言いました。
「こんなにイバラを伸ばして景観を台無しにして、もう少し立場をわきまえようとは思わんのかね」
城の外庭は、一周イバラに覆われていました。初めはノシバが生えていたところも、今はイバラが覆っています。モミの神の言い方は意地悪でしたが、内容はもっともでした。バラの茂ようとする勢いは、ノシバを圧倒して生え変わる力を弱めてしまったため、段々とバラの生える範囲が広がっていったのです。
ノシバは特別迷惑をしてはいませんでした。仲間を滅ぼされたわけではなく、力を増すバラに、心よく土地を譲ったのです。彼らにとってバラは同じ外庭に植えられた仲間で、もともと同じ精でした。今では1番の出世頭です。ノシバ達はバラとの仲間意識から、自分達の住む土地が狭まっても、バラを応援していたのです。
当然バラもお返しをしていました。バラは自らの葉や花を煎じて栄養たっぷりのお茶をこしらえて、ノシバにご馳走していました。お城でもらったお菓子もいつもあげていました。ノシバの精は数が多かったので、順繰りにあげていました。
バラはノシバを力で圧倒するのではなく、なるべく同じか少し低いところから接するようにしていましたから、土地を奪われたと、みんなに敵視されることはありません。
ですが、バラは気が付いていませんでした。外庭が世界の全てではない、ということを。城の外に住む、もっと力のある者達の目にはどう映るかなど、考える余地もなかったのです。
初めは裏庭の隅っこに植え付けられたバラでした。彼が植えられた直後に、その一角を除いて、全てノシバが敷かれました。姫の計画では、後々色々な花の咲く草を植えて、お花畑にする予定があったのです。
姫が宮殿に住んでいた時に、その話を直接聞いた事のあるモミの神でしたから、嘆きたい気持ちがあったのかもしれません。目を閉じたモミのまぶたの裏には、色とりどりの花が、きれいに区画された花壇を彩る光景でした。
モミの神は、大きなため息をつきました。なんせバラは、トゲばかりがあって、ほとんど花を咲かさない上に、咲いても小さな花しかつけられないからです。もっと美しい花の神や精霊は沢山いましたし、美味しい甘い実や酸っぱい実をつける木や草の神や精霊も沢山います。
モミの神は、宮殿に仕える老神です。花の里の神々の中で、最も偉い家臣の1人です。そのような地位の高い神が、政に携わっていない姫にどんな用事があって、睡蓮城を訪ねてきたのでしょうか。
多くの神々がモミの神に付き従っています。城を訪れた神々の足元を、バラの精は頭を低くして見ていました。すれ違う度に、神達はバラを冷たく睨み下ろして、馬鹿にしました。
姫は、花の里で2番目に偉い神様です。ですから、その居城に、偉い神の子でもないただの精がいるのが気に入らないのでした。花も小さく醜くくねったイバラが、何故姫の寵愛を一身に受けるのでしょう。それが妬ましくてしょうがないのです。
ある日モミの神は、花の主神に召し出された際に言いました。
「殿下、既に城の半分がイバラに覆われており、城がそのトゲに埋もれてしまうのは、時間の問題でございます。
わたくしが思うに、このままでは、姫君は睡蓮城に閉じ込められてしまうでしょう。
畏れ多くも花の姫の居城を覆うなど、反逆以外の何ものでもございません。
早急に打ち払ってしまうべきです」
花の主神は答えて言いました。
「バラの精霊の事は、わたしも心配していました。
ですが、反逆とは言い過ぎでしょう。
睡蓮城から伝わってくる姫の雰囲気はとても健やかで、毎日を楽しく過ごしている様子ですし、バラのことも気に入っているのでしょう。
バラも我が娘に対して邪な心を抱いてはいませんし、良く仕えてくれています。
初めにわたしは、“心配している”と言いましたが、姫をその意に反して幽閉してしまうという心配ではなく、姫への忠誠心を1人よがりな方向に発現させて、また自らのトゲに傷つけられてしまうのではないかという心配です」
花の主神は、とても遠回しにモミの神をいさめました。モミは畏まって言葉のトーンを抑え、せめて城に絡まったイバラだけでも剪定すべき、と上申しました。
花の主神は、静かに優しく言葉を授けます。
「姫に任せましょう、2人の主従関係は、この上なく良好ですよ」
モミはバラを睡蓮城から排除したい、と考えていました。辺境で生まれた誰の子かもわからない身の上である上、イバラの多さに対して花の量も大変少ないのに、城で幅を利かせているなんて許せませんでした。
モミは忠臣ですから、そのような考えを勝手に実行しようとはしませんでした。花の主神の御言葉を忠実に実行しようと思っていました。ですが、姫を利用して、自らの野望を実現しよう、と画策もしていました。
モミの木の神は、姫に言いました。
「この城は先の神魔戦争の際、アメフリノ木の神が封じられていたのは、姫もご存じでしょう。
今や神軍で1師団を率いる将軍の地位にある彼の伝説が残る由緒正しき城、その城が無様にイバラに覆われているなど、彼は耐えられますまい」
「バラの妖精は、わたしを守りたい一心で、イバラを城に伸ばしたのです。
わたしに拾われるまで1人寂しく過ごしていましたから、優しくしてくれたわたしが恋しいのでしょう。
当時はまだ1000歳位でしたのに、同じ年頃の精と違って、お母様やお父様の愛情を一身に受ける事が出来なかったのですよ、可愛そうだとは思いませんか?
わたしが裏庭に植えた時、あの子はまだ精でしたでしょ? 同じ精の中でもとても力が弱かったの。
なのに、今はどうでしょう。
未熟児みたいに弱々しかったあの子の神気は、うそみたいに強くなって、今では妖精に昇華していますでしょう?
わたしは、バラの妖精の頑張りを見るのが楽しいので、このままで良いと思っているのです」
「しかし姫、この城は、花の里で1、2を争う立派な巨城でございます。
各里からの観光客だけでなく、上位神なども訪れることもございましょう。
宮殿を訪問した各里の高官も訪れることもあるのですから、不作法に好き勝手にツルを這わせては、示しがつきません」
姫は言葉に詰まりました。お立場上、何でも好きにできないのです。花の里で2番目に偉い神様ですから、何でも好きにできそうですが、花の里とそこに暮らす民の為に、主神も姫もいるのです。他の里に侮られるような行為は避けなければなりません。
モミの木の神は、つらつらと具申し続けました。
「それに、バラへの姫の寵愛ぶりときたら、たった1人をひいきしすぎではございませんか?
他にもたくさんの精がいるのに、なぜバラばかりと遊ばれるのですか?
他にもお友達になりたい精霊も沢山いるのに、まだ妖精の身分のバラをいつもそばにおいてばかりいると、皆が羨んで仕方がなくなるでしょう?」
草木を分け隔てなく愛でなければならないのですから、確かにバラばかりをひいきしているわけにはいきません。ひいきを受けるだけの特別な地位につければ良いのですが、神気の弱い妖精に勤まる地位はありません。
モミの話は更に続きます。
「バラが、いつかは姫の騎士になりたいと口にしていることをご存知ですか?
姫は、バラの成長を見ているのが楽しいともおっしゃいましたが、もしこのまま傍に置き続けるというのであれば、いつかは、侍従や兵士になることになるでしょう。
バラの望みから言えば、兵士にしてやるのが妥当と思います。
どうでしょうか、非常の際にバラを出してみては?」
姫は驚いて訊き返しました。
「従軍させるというのですか?」
姫は驚いて訊き返しました。
「妖精ふぜいにそんなことは出来ますまい。
ただ、悪い虫が出た時に、駆除しに行く兵について行って、見学する程度で良いのです」
バラのこの先の成長を考えると、庭に植わったままでは精霊になれるか分かりません。つくしの精霊に体を鍛えてもらっていますが、つくし自体正規の兵士ではありませんから、育てられるのも限度があります。ですが、姫はバラが城から出るのが心配でなりません。
「剪定の方は、姫にお任せしましょう。
今の半分くらいにすれば良いのですから、天上界に住まう最高神にお見せしても恥ずかしくないようにしてください。
半分も残るんですから良いでしょう? これ以上イバラを伸ばしても、バラは昇華しませんから。
その代り、戦いを見せるのはわたくしにお任せください。悪いようにはいたしませんゆえ」
傍に爺やがいましたが、彼は何も言えません。下位神でしたし、ただのお守り役なのです。宮殿にいた頃も無役で、立場の低い神でした。何か言おうとしましたが、モミの木の神に睨まれて、視線を落としてしまいました。
モミの木の神は、姫がまだ子供で、自分の意見を主張し通すことが出来ないのを良いことに、上手く話しを誘導して、自分の望む方向に持っていったのです。
彼は一計をあんじていました。城に絡まったイバラを伐採する事、いつも姫にべったりのバラを城から連れ出す事です。バラを姫の神気の保護から引っ張り出したかったのです。
もちろん姫の同意が無ければ、家臣のモミには何も出来ませんから、周りからどう思われるかという話を用いて、姫が反論できないようにしたのでした。そして、姫に任せた剪定作業も、事実上自らの配下で行えるようにしたのです。
モミの木の神は、話を〆ました。
「それでは、そういう事にいたしましょう。
剪定の為の精霊をお送りしますので、お使いください」
モミは、姫が言葉を見つけられない事を見定めてから、返答を待たずに会見の間から下がりました。
バラは、力も無いのに大それたことを繰り返し口にしていた為に、変化を望まないもっと大きな力のある者達に睨まれ、崖っぷちに追いやられてしまったのです。目立ってしまったのが、最大の原因でした。
「あれが、果ての岩地で拾われた何某か?」
少し離れた所にいるバラに聞こえるように言いました。バラは城へと続く階段の端に静かに座っていました。下から上位神が階段を上がってくるのを見て、モミの木の神の一団が通り過ぎるのまで、正座をして待っているのです。
モミの木の神は、一緒にいる神々に向かって、わざと憤った様子を滲ませたように言いました。
「こんなにイバラを伸ばして景観を台無しにして、もう少し立場をわきまえようとは思わんのかね」
城の外庭は、一周イバラに覆われていました。初めはノシバが生えていたところも、今はイバラが覆っています。モミの神の言い方は意地悪でしたが、内容はもっともでした。バラの茂ようとする勢いは、ノシバを圧倒して生え変わる力を弱めてしまったため、段々とバラの生える範囲が広がっていったのです。
ノシバは特別迷惑をしてはいませんでした。仲間を滅ぼされたわけではなく、力を増すバラに、心よく土地を譲ったのです。彼らにとってバラは同じ外庭に植えられた仲間で、もともと同じ精でした。今では1番の出世頭です。ノシバ達はバラとの仲間意識から、自分達の住む土地が狭まっても、バラを応援していたのです。
当然バラもお返しをしていました。バラは自らの葉や花を煎じて栄養たっぷりのお茶をこしらえて、ノシバにご馳走していました。お城でもらったお菓子もいつもあげていました。ノシバの精は数が多かったので、順繰りにあげていました。
バラはノシバを力で圧倒するのではなく、なるべく同じか少し低いところから接するようにしていましたから、土地を奪われたと、みんなに敵視されることはありません。
ですが、バラは気が付いていませんでした。外庭が世界の全てではない、ということを。城の外に住む、もっと力のある者達の目にはどう映るかなど、考える余地もなかったのです。
初めは裏庭の隅っこに植え付けられたバラでした。彼が植えられた直後に、その一角を除いて、全てノシバが敷かれました。姫の計画では、後々色々な花の咲く草を植えて、お花畑にする予定があったのです。
姫が宮殿に住んでいた時に、その話を直接聞いた事のあるモミの神でしたから、嘆きたい気持ちがあったのかもしれません。目を閉じたモミのまぶたの裏には、色とりどりの花が、きれいに区画された花壇を彩る光景でした。
モミの神は、大きなため息をつきました。なんせバラは、トゲばかりがあって、ほとんど花を咲かさない上に、咲いても小さな花しかつけられないからです。もっと美しい花の神や精霊は沢山いましたし、美味しい甘い実や酸っぱい実をつける木や草の神や精霊も沢山います。
モミの神は、宮殿に仕える老神です。花の里の神々の中で、最も偉い家臣の1人です。そのような地位の高い神が、政に携わっていない姫にどんな用事があって、睡蓮城を訪ねてきたのでしょうか。
多くの神々がモミの神に付き従っています。城を訪れた神々の足元を、バラの精は頭を低くして見ていました。すれ違う度に、神達はバラを冷たく睨み下ろして、馬鹿にしました。
姫は、花の里で2番目に偉い神様です。ですから、その居城に、偉い神の子でもないただの精がいるのが気に入らないのでした。花も小さく醜くくねったイバラが、何故姫の寵愛を一身に受けるのでしょう。それが妬ましくてしょうがないのです。
ある日モミの神は、花の主神に召し出された際に言いました。
「殿下、既に城の半分がイバラに覆われており、城がそのトゲに埋もれてしまうのは、時間の問題でございます。
わたくしが思うに、このままでは、姫君は睡蓮城に閉じ込められてしまうでしょう。
畏れ多くも花の姫の居城を覆うなど、反逆以外の何ものでもございません。
早急に打ち払ってしまうべきです」
花の主神は答えて言いました。
「バラの精霊の事は、わたしも心配していました。
ですが、反逆とは言い過ぎでしょう。
睡蓮城から伝わってくる姫の雰囲気はとても健やかで、毎日を楽しく過ごしている様子ですし、バラのことも気に入っているのでしょう。
バラも我が娘に対して邪な心を抱いてはいませんし、良く仕えてくれています。
初めにわたしは、“心配している”と言いましたが、姫をその意に反して幽閉してしまうという心配ではなく、姫への忠誠心を1人よがりな方向に発現させて、また自らのトゲに傷つけられてしまうのではないかという心配です」
花の主神は、とても遠回しにモミの神をいさめました。モミは畏まって言葉のトーンを抑え、せめて城に絡まったイバラだけでも剪定すべき、と上申しました。
花の主神は、静かに優しく言葉を授けます。
「姫に任せましょう、2人の主従関係は、この上なく良好ですよ」
モミはバラを睡蓮城から排除したい、と考えていました。辺境で生まれた誰の子かもわからない身の上である上、イバラの多さに対して花の量も大変少ないのに、城で幅を利かせているなんて許せませんでした。
モミは忠臣ですから、そのような考えを勝手に実行しようとはしませんでした。花の主神の御言葉を忠実に実行しようと思っていました。ですが、姫を利用して、自らの野望を実現しよう、と画策もしていました。
モミの木の神は、姫に言いました。
「この城は先の神魔戦争の際、アメフリノ木の神が封じられていたのは、姫もご存じでしょう。
今や神軍で1師団を率いる将軍の地位にある彼の伝説が残る由緒正しき城、その城が無様にイバラに覆われているなど、彼は耐えられますまい」
「バラの妖精は、わたしを守りたい一心で、イバラを城に伸ばしたのです。
わたしに拾われるまで1人寂しく過ごしていましたから、優しくしてくれたわたしが恋しいのでしょう。
当時はまだ1000歳位でしたのに、同じ年頃の精と違って、お母様やお父様の愛情を一身に受ける事が出来なかったのですよ、可愛そうだとは思いませんか?
わたしが裏庭に植えた時、あの子はまだ精でしたでしょ? 同じ精の中でもとても力が弱かったの。
なのに、今はどうでしょう。
未熟児みたいに弱々しかったあの子の神気は、うそみたいに強くなって、今では妖精に昇華していますでしょう?
わたしは、バラの妖精の頑張りを見るのが楽しいので、このままで良いと思っているのです」
「しかし姫、この城は、花の里で1、2を争う立派な巨城でございます。
各里からの観光客だけでなく、上位神なども訪れることもございましょう。
宮殿を訪問した各里の高官も訪れることもあるのですから、不作法に好き勝手にツルを這わせては、示しがつきません」
姫は言葉に詰まりました。お立場上、何でも好きにできないのです。花の里で2番目に偉い神様ですから、何でも好きにできそうですが、花の里とそこに暮らす民の為に、主神も姫もいるのです。他の里に侮られるような行為は避けなければなりません。
モミの木の神は、つらつらと具申し続けました。
「それに、バラへの姫の寵愛ぶりときたら、たった1人をひいきしすぎではございませんか?
他にもたくさんの精がいるのに、なぜバラばかりと遊ばれるのですか?
他にもお友達になりたい精霊も沢山いるのに、まだ妖精の身分のバラをいつもそばにおいてばかりいると、皆が羨んで仕方がなくなるでしょう?」
草木を分け隔てなく愛でなければならないのですから、確かにバラばかりをひいきしているわけにはいきません。ひいきを受けるだけの特別な地位につければ良いのですが、神気の弱い妖精に勤まる地位はありません。
モミの話は更に続きます。
「バラが、いつかは姫の騎士になりたいと口にしていることをご存知ですか?
姫は、バラの成長を見ているのが楽しいともおっしゃいましたが、もしこのまま傍に置き続けるというのであれば、いつかは、侍従や兵士になることになるでしょう。
バラの望みから言えば、兵士にしてやるのが妥当と思います。
どうでしょうか、非常の際にバラを出してみては?」
姫は驚いて訊き返しました。
「従軍させるというのですか?」
姫は驚いて訊き返しました。
「妖精ふぜいにそんなことは出来ますまい。
ただ、悪い虫が出た時に、駆除しに行く兵について行って、見学する程度で良いのです」
バラのこの先の成長を考えると、庭に植わったままでは精霊になれるか分かりません。つくしの精霊に体を鍛えてもらっていますが、つくし自体正規の兵士ではありませんから、育てられるのも限度があります。ですが、姫はバラが城から出るのが心配でなりません。
「剪定の方は、姫にお任せしましょう。
今の半分くらいにすれば良いのですから、天上界に住まう最高神にお見せしても恥ずかしくないようにしてください。
半分も残るんですから良いでしょう? これ以上イバラを伸ばしても、バラは昇華しませんから。
その代り、戦いを見せるのはわたくしにお任せください。悪いようにはいたしませんゆえ」
傍に爺やがいましたが、彼は何も言えません。下位神でしたし、ただのお守り役なのです。宮殿にいた頃も無役で、立場の低い神でした。何か言おうとしましたが、モミの木の神に睨まれて、視線を落としてしまいました。
モミの木の神は、姫がまだ子供で、自分の意見を主張し通すことが出来ないのを良いことに、上手く話しを誘導して、自分の望む方向に持っていったのです。
彼は一計をあんじていました。城に絡まったイバラを伐採する事、いつも姫にべったりのバラを城から連れ出す事です。バラを姫の神気の保護から引っ張り出したかったのです。
もちろん姫の同意が無ければ、家臣のモミには何も出来ませんから、周りからどう思われるかという話を用いて、姫が反論できないようにしたのでした。そして、姫に任せた剪定作業も、事実上自らの配下で行えるようにしたのです。
モミの木の神は、話を〆ました。
「それでは、そういう事にいたしましょう。
剪定の為の精霊をお送りしますので、お使いください」
モミは、姫が言葉を見つけられない事を見定めてから、返答を待たずに会見の間から下がりました。
バラは、力も無いのに大それたことを繰り返し口にしていた為に、変化を望まないもっと大きな力のある者達に睨まれ、崖っぷちに追いやられてしまったのです。目立ってしまったのが、最大の原因でした。
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