FRIENDS

緒方宗谷

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一年生の二学期

🍭

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「わたしは病院とおうちで 一年 八か月 リハビリをして、ひ だ ま り 高校に 入れて“もれえ” ました」
「入れてもらえました?」
「うん、入れても ら え ました」
「大変だったんだね」
「うん」そう答えた奈緒は、言葉に合わせて首を左右交互に揺らしながら「あっちいってぇ、こっちいってぇ、あっちいってぇ、こっちいってぇ、ってやってやった」と言って、満足げに鼻から息を吐く。
 よくわからない様子で宙を見やった杏奈が、仕切り直しとばかりに声のトーンを少し上げる。
「それじゃあ楽しいほうがいいよね、せっかく入ったのにこれじゃあ、来ないほうがましだもん。友達いっぱい作って、楽しい学園生活をエンジョイしようよ」
 奈緒は強張った微笑を返す。
「でも、無理 しなくて 大 丈 夫。みんなは わたしのことがきらいだから。わたしはよだれが汚いし、分からない。お母さんも 言 い “まして”。今日も南ちゃんの腕によだれをして、ごめんなさいと 言った。“きちんと”南ちゃんもいやでした」
「そんなことないって。みんなだってただ、どう接していいか分からないだけだよ」
「わたしは 十五歳の時に倒れ ました。後ろにいたサラリーマンの人が 救急車 呼び ました。その人がいなかったら、死んで ました。
 目が覚めた時、東京の病院でした。でも遠くでした。集中治療室 でした。
 わたしは知らなった。 お母さんとお父さんが 知らなかった。それで出ました」
「退院したの?」杏奈は考えて訊く。
「ううん、一年半 入院しました」
 奈緒が頭頂部を見せる。
「遠くの病院に入院しないといけないほど大変だったんだ」杏奈が呟く。
 そこにあったのは、太くて長い傷痕だった。それは生々しい薄クリーム色で、一センチくらいの幅があり、一本の毛髪もない。まさに頭蓋骨を一部取り外したと分かる跡だった。
 
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