166 / 796
一年生の二学期
第五十二話 たこ焼き
しおりを挟む
体育館で行われるプログラムは全て終了したが、校庭の一角では、屋台B級グルメグランプリが開催されていた。
生徒会の任務がある二人と別れた菜緒たちが次の目的地にたどり着くと、既にそこは大混雑状態。いつもはなにもない人工芝の校庭が、あたかも市が開かれたかのような賑わいぶりだ。
それを眺めながら、春樹が言った。
「食いに来てる生徒は半分しかいないとしても三百人くらいいるか? 市民の人合わせて四、五百人は超えるよな」
エプロンをつけた制服やジャージ姿の生徒たちが営む屋台は、どこも大盛況。
突如、奈緒が叫んだ。
「うわぁ、“ちょろろ”“ありゅよ”、“ちょろちょ”。食べに行こう」
「お昼食べたじゃん」
「じゃあ、あっちのたこ焼き屋さんで、 た べ る。それから“ち りょ りょ” 食べる」
人混みでごった返す中をクラスメイトの小島が走って来た。なにやら慌てた様子ですり抜けるように走る彼のそばを歩く奈緒を、南が止める。
この子は、険しい顔を彼女に向けた。
「失敗した。こんなことなら、サンドウィッチ買ってこなければよかった。なんで教えてくれなかったの、こんなに 色々あるん じゃ、食べ ない わけには いかないのに」
「行程表にあったじゃん。みんなで知ってるよ」
「言うのが遅い。食べ終わってから、あとで屋台見に行こうだなんてひどすぎる。ねえ、春樹君もそう思う でしょ?」
「思う」と、彼即答。
南は、春樹を蹴飛ばそうとしてよけられてから、続けて横蹴りを入れるもそれもすかされた。
「思わないよ、もし思うにしても、あんた同罪」
「わーった、わーった[わかった、わかった]。じゃー、援護射撃。先生にたこ焼きおごってもらえるんだから、なにも今素人が作ったたこ焼きに金出して食べなくてもいいだろ」
「それもそうか」奈緒は、克己するような険しい表情で頷いてからそう呟き、辺りを見渡して、「じゃああれ食べたい。なにあれ、ばくどん。ばくどん……なに?」と叫ぶ。
「ばくだん焼き」
春樹にそう教えられた奈緒がすぐさま駆けて行くと、追いかけてきた南が、後ろから呼び止める。
「あんな大きいの食べられないでしょ」
「そんなことない。食べたことある」
「さっき、知らなかったじゃん」
「見たら知ってた」
生徒会の任務がある二人と別れた菜緒たちが次の目的地にたどり着くと、既にそこは大混雑状態。いつもはなにもない人工芝の校庭が、あたかも市が開かれたかのような賑わいぶりだ。
それを眺めながら、春樹が言った。
「食いに来てる生徒は半分しかいないとしても三百人くらいいるか? 市民の人合わせて四、五百人は超えるよな」
エプロンをつけた制服やジャージ姿の生徒たちが営む屋台は、どこも大盛況。
突如、奈緒が叫んだ。
「うわぁ、“ちょろろ”“ありゅよ”、“ちょろちょ”。食べに行こう」
「お昼食べたじゃん」
「じゃあ、あっちのたこ焼き屋さんで、 た べ る。それから“ち りょ りょ” 食べる」
人混みでごった返す中をクラスメイトの小島が走って来た。なにやら慌てた様子ですり抜けるように走る彼のそばを歩く奈緒を、南が止める。
この子は、険しい顔を彼女に向けた。
「失敗した。こんなことなら、サンドウィッチ買ってこなければよかった。なんで教えてくれなかったの、こんなに 色々あるん じゃ、食べ ない わけには いかないのに」
「行程表にあったじゃん。みんなで知ってるよ」
「言うのが遅い。食べ終わってから、あとで屋台見に行こうだなんてひどすぎる。ねえ、春樹君もそう思う でしょ?」
「思う」と、彼即答。
南は、春樹を蹴飛ばそうとしてよけられてから、続けて横蹴りを入れるもそれもすかされた。
「思わないよ、もし思うにしても、あんた同罪」
「わーった、わーった[わかった、わかった]。じゃー、援護射撃。先生にたこ焼きおごってもらえるんだから、なにも今素人が作ったたこ焼きに金出して食べなくてもいいだろ」
「それもそうか」奈緒は、克己するような険しい表情で頷いてからそう呟き、辺りを見渡して、「じゃああれ食べたい。なにあれ、ばくどん。ばくどん……なに?」と叫ぶ。
「ばくだん焼き」
春樹にそう教えられた奈緒がすぐさま駆けて行くと、追いかけてきた南が、後ろから呼び止める。
「あんな大きいの食べられないでしょ」
「そんなことない。食べたことある」
「さっき、知らなかったじゃん」
「見たら知ってた」
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。
カレンと晴人はその後、どうなる?
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません
竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる