FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の一学期

🍭

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 歩き出す前に、白いバッシュで踵を返した春樹が今来た道を見やり、進もうとしている方向も見て一言漏らす。
「ほんとコンビニないんだな」
 すると南が答える。
「うん、子供の頃に何度か遊びに来たけど、一軒もないね。今は探せばあるかもしれないけど、昔からこんな感じ。変わったのは駅前くらいかな。なんにもない」
「つーか、駅からここに来るまで、自販機ってあったか? ここから見える範囲で一個もないぞ」
「まあ、ジュースに頼るなってことだよね。エコフェス行ってないでしょ。ESGなんだよ、黒磯は」
 勝ち誇ったように言って歩き出した南に、後ろから杏奈が言った。
「SDGsでしょ」
「ばかじゃん」
 春樹に笑われた南が振り返って、こぶしを振るいながら追いかける。ひらりひらりとかわす彼に「ちょこざいなっ」と吐き捨ると、捕まえるのを諦めて負け惜しみのように言葉を投げつける。
「似たような意味だよ」
「よく言う。どういう意味か言ってみ?」
 口ごもる南に、務が助け舟を出した。
「SDGsは、Sustainable Development Goalsの略で、持続可能な開発目標って意味。百六十九の達成基準と二百三十二の指標が定められているんだよ。人類が、自然豊かな地球の環境を守りながら、様々な課題に取り組んで解決して、恒久平和を目指そうという指針とでもいうのかな? ESGは、環境のEnvironment、社会のSocial、統治のGovernanceの頭文字。だいたいSDGsとおんなじだと思っていいよ。企業目標か、国や地域の目標かの差だと思って差し支えないと思う」
 南が首を傾げて訊く。
「つまりは……」
「小沢さんの言ったことは、べつに間違いでもなんでもない」
「ほら」南が、勝ち誇ったようにふんぞり返って、春樹を上から目線で見下ろした。
「この、裏切り者―!」
 泣き叫ぶ春樹に迫り寄られた務だったが、ものおじする様子もなく笑った。
「昨日のお風呂発言で、お前とひとくくりにされているから、ちょっと調整して、ついたイメージを払しょくしないと」
「ふん。頭のいいやつで羨ましいこった」
「うん。務君は、春樹君と違って頭がいいねぇ」、と菜緒。
 瞳をキラキラさせたこの子が憧憬の眼差しを務に向けるのを見て、春樹が嘆いた。
「ほらほら、騙されてるやつがいますよ、ここに」
 諦めムードの彼を奈緒たちは、しばらく弄んで過ごした。




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