FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

第百七十九話 包帯の少女

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 蝉の声が、高湿度で熱い空気を劈く。
 奈緒と共に戸越公園駅に降り立った南が、満眸の空に向かって手のひらをかざし、陰になった自分の手の甲を見やる。
「女子高生の麗しき二の腕をなんだと思ってるんだろうね、あの太陽は。じりじりと焼かれる音が聞こえると錯覚できそうなほど暑いんですけど」
 駅の屋根の外は、0コンマ00001581光年向こうから八分十九秒かけてやって来た燦々と輝く太陽の光に満たされている。
 心なしか汗で輝いて見える肌を、奈緒がピンク色で縁どられた白いハンカチで拭った。
「天気 予報では、当分雨降らないって」
「雨の予報が聞かれなくなって久しいのに、やなこという予報士だね――て、予報士のせいじゃないんだけど」
 夏休みが終了して新学期が始まる初日の今日、一学期同様に南と旗の台駅のホームで待ち合わせをした奈緒は、あまりの日照りに躊躇して逡巡したのち「えいやぁ」と商店街へと足を一歩踏み出した。
「そういえば、務君来なかったね。一学期いっぱいで生徒会もクラス委員も辞めるって言っていたのに。お仕事なくなるから、二学期から一緒に学校来られるねって思っていたのに。でもなんで急に辞めるなんて言い出したんだろ」
 思惑う様子を見せて首を傾げた南がぱくぱくと唇と動かし、口の中の空気に言葉を混ぜた。
「まあ、とめられたりしたんだろうけど、突然だったね。なんでもバレー部にも少し出たいって憶い始めてたみたい」
 雲も疎らな一筆塗りの蒼穹の下、茹りながらもようやく学校に着いくと、この子は南と共に教室へと向かう。
 五階のエレベーターホールでUターンした奈緒が、教室に沿って横一直線に伸びる廊下に踏み入って急に立ち止まった。
「どうしたの、奈緒。急に止まらないで」南が文句をつけた。
 左肩にぶつかりそうになってつんのめる体を立て直す彼女に目もくれず、微動だにしない奈緒が眼前の様子を窺う。
「なんか、人いる」
「そりゃいるでしょ。学校なんだから」
「そうじゃなくて、入り口。A組の入り口に人いる」
 二人が前のドアにできたこじんまりとした人だかりを眺めていると、小走りで向かってきた瑠衣が声をかけてきた。
「たいへんたいへぇん。聞いたぁ? あの話ぃ。なんかぁ、廣飯さんが((自殺したんだって))」



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