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二年生の二学期
第百八十七話 仲直り大作戦 務編
「南ちゃん、お待たせー」
人が二人しかいない北千束駅の静かなホームに、奈緒の声が響いた。
「おそいー。もう時間とっくに過ぎてるよ。しかもなんで上り電車から降りてくるの」
南が、黒いアメリカンスリーブの裾から見えそうで見えない腹部をポリポリかきながらぼやく。
「今日は、仲直り大作戦だから、おしゃれをしていましたの」と、つつましさを装ったふうに答えた奈緒が、ボタン全開の白い半そでワイシャツから溢れるまろやかな二つの山容の稜線を視線でなぞって、いがぐり頭の装いを吟味する。
足をぴんと張って大きくハの字に開いた南が、ベルトを通していない腰のベルトループに左右のこぶしをあてがい、縦に並んだ二つの大きなタックボタンを見せつけるようにふんぞり返った。
「奈緒のご要望通り、一番女の子らしい服装でキメてきたよ。本日は膝も破れていないし。まあ、どことなくヤンキー風だけどいいよね」
「どことなくって言えてるのがすごい。まんまヤンキーのくせして」
目福とばかりに奈緒は、ほんの少しだけ見える谷間の影に視線をうずめて一言、
「色気がない」
「うるさいなぁ。いいでしょべつに。だって告白しに行くわけじゃないんだから。遅刻したことも謝んないでなに言ってるの」
「スカート探してた。薄いあんず色の透けたやつ。ヒラヒラしてて三重だから かわいいのに、どこかにいっちゃった」
首を傾げてそっぽを向いた南が、ボトムスを瞥見してから奈緒の両眼へと視線を戻す。
「スカート? センターにあげちゃったんじゃないの?」
「あげてないの。どこかにしまってあるの。お母さんもそう言ってたけど、あるよ。あれ穿いて きたかったのに 見つからないから、お母さんのクローゼットから選んでた」
しばらく「あるの」「ないの」と他愛もない紛擾が続く。
「ふつうでいいじゃん」南が回答に変化をつけた。
「でも、お母さんのでいいの見つけて満足したら、南ちゃんのこと忘れて大岡山に行って、あらって思って戻ってきた。 わ す れ ま し た ご め ん な さ いっ」
「手紙で十分じゃない? 服装なんて気にしなくていいと思うよ。向こうも普段着だと思う」
「でも、仲直りしたほうが お得ですよと、ずきゅんとする必要が、あ るっ。今日は、せっかく書いた手紙を読んで、可愛くおねだりして、しょうがないなぁ、仲直りするかぁ、思わせる方向でいくんだから。ほら、“ガールズヒッポホッポ”なポーズも練習して」
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