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二年生の二学期
🌻
しおりを挟む「どんな話だったの?」奈緒が下唇で上唇を押し上げて、目をぱちくりさせた。
「君もそばにいて聞いてたじゃない」
「ううーん、難しくて分かんなかった」
南が視線を落として、もう一口水を飲む。
「奈緒は気にしなくていいよ。どうせ男同士のことで、わたしら女子には関係ないから。それよりなにその紙、下敷き?」
「違うよ、ほら、ちゃんとよく見て」
差し出された厚紙を手にした南が、三枚のそれを扇のように開いて、少し感動した様子の息を吐く。
「英語、1泊2か、くわいが悪いので私が来ました、現金、半額、ご夫妻,ご、意識不明、まづは」
書いてあった文字を幾つか読み上げて、裏面を見やる。
「ただいま、親子、スイス、ニュージーランド、ちか1かい、片道‐往復、幸せ、楽しい、未納、頑張る、大変、せいざ、ゆっくり、……頑張るが二つある。大変も」
「あらぁ、やだもう、だめだぁ」
奈緒は背もたれに寄りかかると、そのままソファに側臥してふさぎ込む。そして大きなため息をついた。
テーブル越しにそれを見やった南が、瞳を爛々と輝かせながら莞爾とした笑みを湛える。
「すごいよ奈緒、こんな資料まで作ってたなんて。一枚はまだ新しいけど、二枚はもうボロボロじゃない。端が一か所かけてるし。これ、病気になってから作ったんでしょ? てことはまだ三年くらいしか経ってないじゃない。それなのにこんなに使い込んでるなんて、並大抵の努力の結果じゃないよ。わたしだったら、絶対あきらめて、手紙なんか書こうとなんてしないもん」
「南ちゃんへの手紙も、これ見て書いたの」
「うれしい。わたしも協力するよ、またあの二人に手紙出すんでしょ。今度は成功させようね」
彼女の微笑を目の当たりにした奈緒は、大きなひまわりを見つけた時のような驚きと喜びをまぜたようなはにかみとを一緒に、じんわりと表情に浮かべた。
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