FRIENDS

緒方宗谷

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二年生の二学期

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 喜びのあまり口端を上げて半月状にした唇を維持したままの奈緒は、爛々と瞳を輝かせながら、務の言う通りに首にかけてみる。きつね色のマフは、丁度みぞおちより低い位置にぶら下がった。左手を使って右手を中に入れてみたこの子は、満足した様子で唇をとじ、更にキューピットラインを優しく斜め上に引き延ばす。
 そうしてゆっくりと、一つ一つの発音を粒立てるように「“ありがとお”」とお礼の言葉を述べ、言い終わると同時に腰から上を右横に傾けて、目をつぶってにっこりと微笑んだ。
「うん……気に入ってくれたのなら、うれしい」
 のぼせた様子の務が視線をはずしてポリポリと後頭部を掻く。秋空の夕暮れというにはまだ早い九月の空のように、務の頬は朱に染まった。
「じゃあそろそろお開きにする?」
 南がみんなを見渡して伺う。それに呼応する形で奈緒が声を上げた。
「じゃあ〆は、駅前でおはぎ食べまーす」
「さっき最後って言ってたくせに、結局また食べるのね。そーだろーとは薄々思っていたけれど」
 四人はホットサンド専門店をあとにして、ビー玉で作られたリーフ飾りに彩られるビー玉専門店の横を通り抜けながら、南からビー玉アートのお店の話を聞きつつ、荏原中延の駅へと歩いていく。駅前の道路を右折して、こじんまりとした和菓子店を覗くと、出てきたおじいちゃんに奈緒が声をかける。
「おはぎよっつ、くださいな」
「こしとつぶがありますが」灰色の帽子をかぶっためがねのおじいちゃんが訊ねてから、「こしあんとつぶあん」言い直して返答を待つ。
「全部こしあんで」
 奈緒は、商品を受け取ると南に渡して、すぐに経木を開けるように急かす。そして一つ手に取って頬張る。
「あんずの葛餅もおいしい。ほぼあんこ。疲れた時はこれに限る」
「限るとか言いながら、他のも散々食べるくせして」
「あたりまえじゃん」奈緒が「くふっ」と笑った。それを三人が微笑ましく見守る。
 全員が食べ終わると、奈緒と南が、務と春樹を荏原中延駅前まで送ってゆく。別れを告げて改札越しに振り向いて手を振る男子二人を、奈緒が呼び止めた。
「楽しいお誕生会、ありがとうございました」
 二人が「こちらこそ」と答えて、左右別々の階段を下りて行く。その頃、辺りには、赤い夕陽に照らされた杪秋の日差しの残滓が、取り残されたように残っていた。


 ちなみに、余ったかりんとうは二袋とも奈緒が持って帰った。













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