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二年生の二学期
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しみじみとした微笑に、理沙が言った。
「ほんと。歯、溶けちゃって、小さなギザギザだったじゃん。終わってんな、こいつって思ってた。でも、それが格好よかったよね」
「なんであんなやつと……。昔のわたしばかみたい。天翔君、かっこいい不良で憧れてた」
「みんなね」
理沙が継いだあと、誰も言葉を繋げず静かになったが、数秒してから、沈んでいくような声で萌音が告白した。
「今でもわたしたちバカだよ。シンナーどころじゃないし」
「やめなよ、脳みそ溶けるよ」南がぴしゃりと言う。
「そう思うんだけどね」理沙が悲しげに答えると、「うん……」と萌音も頷く。
しばらく沈黙が続いたあと、萌音がトイレへと立つ。そして、部屋から出て行く。その背中を見送ってから、南が魂のこもったような声を出した。
「理沙、このままあいつについていく気か? ブチャのやつ警察に追われてんだろ。わたしのとこまで、ちらほらと噂が流れてくるよ。覚せい剤ってほんとなの?」
「分かんない。でも昔っからじゃん。そうでもおかしくないよ。いつもポケットで『絶頂』や『魔きのこ』[両方とも合成麻薬]の瓶ジャラジャラさせてたでしょ」
「ならなおさら縁切らなきゃ」
「それで真理、フルボッコだよ。無理だって」
「頼むよ、ここから出て一緒に逃げよう。警察に洗いざらい話して保護してもらえば、なんとかなるよ」
「ごめん、無理だよ。分かってるでしょ? あたしらだって殺されたくないし。なあ」
部屋に戻ってきた露出の高い女を見る。
萌音は小さく「うん」と答えた。スティレットを揃えて、おしりをつけない体育座りすると、コンビニのS袋からおにぎりを出して二人に渡し、立ち上がる。
「賞味期限切れてるけど、よかったらどーぞ」
「ありがと」二人がお礼を返す。
「浜田さんは?」理沙がフライでぎらつくアイレットを一瞥して訊いた。
「知らない。出てろって言われた」
それを聞いて、再び南が懇願を始める。
「今のうちにせめてこの子だけでも」
「無理」萌音が目を閉じて遮った。「いい金づるだって、ブチャ笑ってビール飲んでたよ。もうわたしらお金ないし、いよいよ荒れてきてたから。絶対に二人を手放さないかも。こんな状況だから売るものも思うように売り歩けないしさ」
南は、床をこぶしで叩いた。
「あのデブふざけやがって」
奈緒が親友の表情に目を奪われて息を飲む。彼女のその面表は、今まで見たことがないほど追い詰められた形相だった。
「ほんと。歯、溶けちゃって、小さなギザギザだったじゃん。終わってんな、こいつって思ってた。でも、それが格好よかったよね」
「なんであんなやつと……。昔のわたしばかみたい。天翔君、かっこいい不良で憧れてた」
「みんなね」
理沙が継いだあと、誰も言葉を繋げず静かになったが、数秒してから、沈んでいくような声で萌音が告白した。
「今でもわたしたちバカだよ。シンナーどころじゃないし」
「やめなよ、脳みそ溶けるよ」南がぴしゃりと言う。
「そう思うんだけどね」理沙が悲しげに答えると、「うん……」と萌音も頷く。
しばらく沈黙が続いたあと、萌音がトイレへと立つ。そして、部屋から出て行く。その背中を見送ってから、南が魂のこもったような声を出した。
「理沙、このままあいつについていく気か? ブチャのやつ警察に追われてんだろ。わたしのとこまで、ちらほらと噂が流れてくるよ。覚せい剤ってほんとなの?」
「分かんない。でも昔っからじゃん。そうでもおかしくないよ。いつもポケットで『絶頂』や『魔きのこ』[両方とも合成麻薬]の瓶ジャラジャラさせてたでしょ」
「ならなおさら縁切らなきゃ」
「それで真理、フルボッコだよ。無理だって」
「頼むよ、ここから出て一緒に逃げよう。警察に洗いざらい話して保護してもらえば、なんとかなるよ」
「ごめん、無理だよ。分かってるでしょ? あたしらだって殺されたくないし。なあ」
部屋に戻ってきた露出の高い女を見る。
萌音は小さく「うん」と答えた。スティレットを揃えて、おしりをつけない体育座りすると、コンビニのS袋からおにぎりを出して二人に渡し、立ち上がる。
「賞味期限切れてるけど、よかったらどーぞ」
「ありがと」二人がお礼を返す。
「浜田さんは?」理沙がフライでぎらつくアイレットを一瞥して訊いた。
「知らない。出てろって言われた」
それを聞いて、再び南が懇願を始める。
「今のうちにせめてこの子だけでも」
「無理」萌音が目を閉じて遮った。「いい金づるだって、ブチャ笑ってビール飲んでたよ。もうわたしらお金ないし、いよいよ荒れてきてたから。絶対に二人を手放さないかも。こんな状況だから売るものも思うように売り歩けないしさ」
南は、床をこぶしで叩いた。
「あのデブふざけやがって」
奈緒が親友の表情に目を奪われて息を飲む。彼女のその面表は、今まで見たことがないほど追い詰められた形相だった。
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